『あめのひ』
ぼくは、『あめのひ』がすきだ。
あめのひのおと、におい、へやのあたたかさ、そとのつめたさがすきだからだ。
そして、ふだんはいないものたちがたくさんそとにでてきて、いつもとちがうかっきがあるからだ。
ほら、そこにも。
「てるてるさん、おはよう!」
「おはよー、おにぃちゃん」
このひとは、てるてるさん。
あめのひに、いつのまにかぼくのおへやにいるおとこのこ。
しろいレインコートをきていて、なんだかとってもフシギなふんいきがあるんだ。
「きょうも、おにぃちゃんはがっこーなの?」
「うん、そうだよ。いっしょにいく?」
「うん、いこー!」
あさごはんをたべて、したくをして、かさをさしながらいつものつうがくろをあるく。
ほら、あそこにも。
「おはよう、ねこまたさん」
「ふぁ〜……おはよう、小僧達」
へいのうえでねていたこのひとは、ねこまたさん。
くろいようなむらさきのような、ふしぎないろをしているねこさんだ。
しっぽだってふたつあるんだよ。
そして、ねこまたさんは、このちいきの『ようかい』さんたちをかんりしてる、えらいねこさんなんだって。
「にしても、不思議よのぅ」
「なにが?」
「『あめのひ』だけ我らを見ることができる、不思議なニンゲンもおるものよなぁ、と思っとったとこじゃ」
「ふーん?ぼくって、フシギなの?」
そうぼくがいうと、ねこまたさんはフン、とおもしろそうにはなをならした。
「ああ、とっても不思議じゃよ。そもそも我らを見ても普通に接することができているのも驚きじゃて」
「そういうものなの?」
「そういうものじゃ。普通のニンゲンには我らは見えんからの、話したところで誰も信じまいよ」
そういうものなのか。
ぼくにはよくわからないけれど。
「ふつうのニンゲンさんは、ぼくらのことがあんまりすきじゃないんだよー」
「どうしてなんだろうねみんな、こんなにすてきなのに」
「普通のニンゲンに見えんというのが1番の理由じゃからな、怖いやらありえないやらと思うのは仕方あるまいて」
やっぱり、ぼくにはよくわからないや。
そして、ぼくはがっこうにつく。
ほら、ここにも。
「おはよう、やたがらすさん」
「おはよー、やたがらすさん!」
「よぉ、坊主とてるてる、元気そうだな」
このひとは、やたがらすさん。
あしがみっつある、フシギなからすさんだ。
いつもがっこうのさくらのきのうえにいるんだ。
こどもをみるのがだいすきなんだって。
「今日はてるてるも一緒か」
「うん!ついてきたのー!」
「そうかい。ま、学校楽しんでこいや」
「「はーい!」」
そして、きゅうけいじかん。
ほら、そこにも。
「おはようはなこさん、どうしてここにいるの?」
「おはよーはなこさん、ここ、だんしトイレだよー?」
「……おはよう、私はあなたたちの様子をみにきたのよ……」
このおんなのこははなこさん。
ふだんはじょしといれにいるはず……なんだけど、きょうはかべをすりぬけてこっちにきちゃったみたい。
「……私と喋ってくれる人がいないから、『あめのひ』はこっちに来たくなるのよ……。あなたたちは、その……お、お、お友達、だもの……。」
はなこさんは、すこしかおをあかくしてそういった。
「うん!はなこさんとぼくたちはおともだちだよ!」
ぼくはニッコリわらって、そういった。
はなこさんは、さらにかおをあかくして、あわあわしだした。
「そ、そうよね!お友達だものね!え、ええと、その、……次の休み時間もお話できるかしら!」
「ぼくはだいじょうぶ!てるてるさんは?」
「ぼくもだいじょーぶ!」
「じゃ、じゃあ、次の休み時間も来てくれるのね!?」
はなこさんは、うれしそうにそういった。
「うん!もちろんだよ!」
そして、「またくるね」といって、ぼくらはわかれた。
がっこうのかえりみち。
「きょーは、たのしかったー!ありがとー、おにぃちゃん!」
「ううん、ぼくらはおともだちだもん!おともだちはなかよくするものなんだよ!」
と、そのときぼくは、みちばたでふるえているだれかをみつけた。
……あそこにいるのはだれだろう?
「ねぇ、てるてるさん、あそこにいるのはだぁれ?」
「あ、あれは、ドッペルゲンガーさんだー!」
「ドッペルゲンガーさん?」
「ドッペルゲンガーさんはね、いろんなひとになることができるんだよー!」
とってもすごいひとなんだ。
……でも、どうしてここに?
ぼくは、ドッペルゲンガーさんにこえをかけることにした。
「ねぇ!」
「ひっ!な、なによ!ニンゲン!」
「ドッペルゲンガーさんっていうんだよね、どうしてみちばたでふるえてたの?」
ドッペルゲンガーさんは、ぼくとてるてるさんをこうごにみて、とってもおどろいたかおをした。
「なっ……ニ、ニンゲンの癖に、なんで妖怪なんかと仲良くしてるのよ!」
「おにぃちゃんは、みんなとなかよくしてくれるニンゲンさんだよー!」
「はっ、そ、そんなニンゲンなんているわけないじゃないの!私なんて、私なんて……うぅ……」
ドッペルゲンガーさんは、きゅうにボロボロとなきだしはじめてしまった。
「ドッペルゲンガーさん、どうしたの?だいじょうぶ?」
「う、うるざいわよ!あんただっで、ぐすっ、私のごとを怖がるんでじょ!ながよく、しだいだけ、だっだのに、ひっく、ニンゲンの、まねを、したら、みんな怖がって、逃げていぐんだもの!ひっく、ひっく……」
それをきいて、ぼくはかなしくなった。
だから、ぼくはドッペルゲンガーさんのてをにぎって、こういった。
「こわくなんかないよ!ぼくは『あめのひ』しかみんなとあえないけれど、みんなぼくのおともだちだもん!ぼくは、おともだちをこわがったりなんかしない!」
「ほん、とうに……?」
「もちろんだ!」
ぼくは、ドッペルゲンガーさんのめをまっすぐみつめた。
「私も、お友達、なってくれる……?」
「もちろんだ!」
「本当に、怖がったりしない?」
「もちろんにきまっているじゃないか!」
てるてるさんも、ドッペルゲンガーさんにほほえんで、
「おにぃちゃんは、こういうひとだから。おにぃちゃんは、みんなをこわがったりなんてしないニンゲンさんなんだー。それから、ぼくもドッペルゲンガーさんのおともだちになりたいなー」
といった。ドッペルゲンガーさんは、なみだでぐちゃぐちゃのかおでほほえんで、
「うん、私も、あなたたちとおともだちになるわ……。あなたたちのお名前は?」
「ぼくはギン!」
「ぼくはてるてるだよー!」
「そう、ギン、てるてる……ありがとう、それと……よろしくね」
「うん!よろしく!」
「よろしくねー!」
そのとき、さっとくもまからゆうひがさした。
あめも、もうほとんどやんでしまっている。
「もうあめがやむから、もうばいばいしなきゃ。ぼくは『あめのひ』しか、みんなにあえないから」
「そう、なの……。じゃあ、つぎの『あめのひ』に、また会ってくれる?」
だからぼくは、えがおでこうこたえた。
「もちろんだよ」
と。
ぼくは、あめのひがすきだ。
あめのひのおと、におい、へやのあたたかさ、そとのつめたさがすきだからだ。
そして、ふだんはいないものたちがたくさんそとにでてきて、いつもとちがうかっきがあるからだ。
ほら、きっと、そこにもいる。
雨■日■テ■伊■■。
や■らOおきナ[]みミ■とか、[]なメ鬮と■イ鮅。
世快がい■モと血がッて、わくわ■します。
雨の日■てどうして素敵なのでしょう。
子供心に遊びたくなるような魔力でもあるのでしょうか。