第7話。魔術師オールラウンダー
ゴート卿様の立ち合いのもと、私達は教会の一室を借りて魔術師と司法取引を行う事にしました。
監禁されたまま一ヶ月以上も放置されていた女性の魔術師はすっかり衰弱していました。全体的に幼い容姿なので年齢は私より下に見えます。私より小柄な身体は痩せ衰えて骨と皮だけになっており、水分を失ったカサカサの肌には垢が固まりこびりついていました。髪の毛はパサパサのゴワゴワで、絶望に蝕まれ続けて澱み濁ったジト目の三白眼には、隠しきれない憎悪が渦巻いていました。
私が何度も見送ってきた、よく知っている目です。
「…………」
魔術師は一言も喋りませんでした。馬車の中で司法取引と誓約の首輪に関する説明をゴート卿様が行った時も、パンとスープを口にしている時も、お湯とタオルで私に身体を拭かれている時も、事務室の机を挟んでクレア様と向かい合って座っている今も、恨みを込めて私達を睨みつけるばかりです。
「…………」
対するクレア様も、魔術師と向かい合ってから一言も喋りませんでした。何も言わずただひたすら黙って、魔術師と目を合わし続けています。私はそんなお二人を、横の壁際から見続けていました。
「…………」
「…………」
重苦しい沈黙の時間が流れていきます。クレア様の隣に立つゴート卿様もナインさんも、クレア様に倣って口を開きません。
「駄目だな」
しかしその沈黙は、クレア様によって唐突に破られました。
「私が探しているのは優秀な魔術師だ。こんなひと山いくらの凡人は使い物にならない」
そしてクレア様は席を立ちました。魔術師は目を丸く見開いて唖然とし、クレア様は彼女を冷たく見下ろします。
「監獄に戻れ。次は優しい誰かに拾ってもらえるといいな」
クレア様はそう言って魔術師の側に回り込むと、彼女の腕を掴んで立ち上がらせようとしました。
「なっ……なんっで、だよぉ……」
突然の不採用に驚いていた魔術師の顔が悲しみに歪みました。
「まだ何にも話してないじゃんかよぉ……! せめてもっと段階踏んでから判断しろよぉ……! うぅぅぇぇ……!」
魔術師はポロポロと涙を流して泣き始めました。その様子を見て、私の胸が締め付けられるように痛みます。しかし……『僅かな希望を見せてからまた絶望を与える』。これが一番辛くて心を折られたとクレア様に教えたのは私なので、目を逸らすわけにはいきません。
「何だ、話がしたいのか」
「話があるのはそっちじゃないのかよぉっ……!?」
「私はお前みたいな性根の捻じ曲がったような顔の奴と話す事など無い。どうしても話がしたいなら、話をさせて下さいお願いしますと言え。さもなくば監獄に逆戻りだ。塔の穴からお前に餌を運んでいたフクロウも殺す」
「ナイトポスターは何も悪い事してないだろぉ!? お前それでも人間かよぉ!?」
「フクロウの生死はお前の態度次第だ」
「うう……ううう〜……! はっ……話を、させて、下さい……ひっく……お、お願いします……」
どうやら魔術師は早くも心を折られてしまったようです。
「ふん。そこまで言うのなら少しだけ話を聞いてやる」
「ぐすっ……ズズッ……ぐすっ……」
「おい! ありがとうございますはどうした!」
「わたくしめにお話しする時間をくだざっで、ありがとうございまずーっ!」
クレア様に一喝されて、魔術師は泣きながらヤケクソ気味にお礼を言いました。「チッ、躾のなってないガキだ」クレア様はそう吐き捨てて椅子に戻ります。その様子にゴート卿様はドン引きしていて、ナインさんは無表情のまま口の端からヨダレを垂らしていました。
一応、私はクレア様が演技をしていると分かるのですが……こういう時のクレア様は妙に生き生きして見えるので、やっぱり根本的なところでドSのような気がします……。
「まずは自己紹介から始めてやる。住所と氏名、年齢は」
いつの間にか司法取引ではなく、取り調べになっている気がします。私はだんだん魔術師が気の毒になってきました。
「グスッ……以前は、ディセブデオンに住んでたけど……アベルが暴れてから余計に治安が悪くなって、住んでいられなくなったから、捕まるまでは隠れ家を転々としてた……してました……。あの表向きはホテルとして経営してた所も、そのうちの一つです……」
クレア様は隣に立つナインさんにチラッと視線を送りました。するとナインさんはただ一言「白です」と伝え、クレア様は満足そうに頷きます。
「続けろ。名前は?」
「魔術師名は『オールラウンダー』で、歳は…………24」
「裏社会ではここ数年でそこそこ知られるようになった名です、お姉さま。金さえ払えばどんな物品も70点程度のクオリティで用意する道具屋として重宝されています。専門家が見つからない時は大抵、彼女に依頼が持ち込まれるようですね」
「その器用貧乏みたいな評価、気にしてるんだけど……」
「いや、70点なら大したものだぞ」
「それと年齢は黒です」
「ああ、サバを読んでるのは私にも分かった。おいお前、10歳くらい年齢詐称しているだろ。本当の年齢を言え」
「…………34歳」
その回答にクレア様がギョッとしてナインさんを見上げました。「白です、お姉さま」クレア様がナインさんと魔術師を交互にバッバッと見ます。
「34歳ぃ!? この見た目で!? 正しいサバの読み方してたのお前!? 合法ロリか!?」
魔術師オールラウンダーは私と同じか歳下にしか見えませんでしたが、実年齢は20歳も歳上でした。
「たしかにサバ読んだけどさぁ……! 人が気にしてるとこにあんまり触れんなよぉ……!」
「34歳か……34歳ねぇ……やっぱり独身?」
「やっぱりって何だよ!? 独身で悪いかよぉ!? 独身でテメーに迷惑かけましたかぁー!? テメーだって三十路越えれば絶対サバ読むから、今日の事忘れんなよぉ!?」
それはそれとして、やはりクレア様には後でデリカシーについてお話しないといけません。
「クレアさん、司法取引の同意書には魔術師の本名によるサインが必要です。オールラウンダーでは申請が通りません」
「ありがとうゴート卿。じゃあ本名を答えてもらおうか、魔術師オールラウンダー」
ゴート卿に促されてクレア様は魔術師に名前を尋ねました。しかし魔術師は俯いてしまってクレア様を見ようとしません。
「本名は……絶対に笑われるから教えたくない」
「笑うわけないだろ、人の名前を」
「本当? 約束する?」
「ああ、約束する」
「本当の本当?」
「本当の本当に本当」
クレア様はドンと胸を叩きました。
「…………ピュアルン」
「ん? なにが?」
クレア様は誇らしげな表情のまま硬直しました。
「だから……ピュアルン……」
「何がピュアだって?」
「だから! あたし様の名前! ピュアルン!」
クレア様は素早く自分の口元を押さえました。「そ、そうか……ピュアルン……ピュアルン、か」そしてチラッとナインさんに視線を送ります。
「白です。お姉さま」
「ッッ!」
クレア様は両手で顔を覆いました。「ミョっ……名字は?」そして顔を隠したまま、一瞬裏返った声で尋ねます。
「メロリンハート」
「名字まで……ッ!」
クレア様は机に顔を埋めるように突っ伏して、カタカタと小刻みに震えながら自分の太ももをつねり始めました。
「ンンッ! ……失礼」
ゴート卿様は咳をして壁の方を向いてしまいました。でも絶対笑ってますねアレ。
「名字も白です、お姉さま」
そんな中でナインさんだけが無表情を貫いていましたが、様子のおかしいクレア様をチラチラと見て、「ピュアルン・メロリンハート。34歳無職独身」ボソッと呟きました。
「無職はテメーらのせいだろぉ〜!?」
「〜〜〜〜!!」
顔を伏せたクレア様は全身を激しく震わせながら、声を噛み殺して机をドンドンと拳で叩き始めました。私は普通に可愛くて良い名前だと思うのですが、どうやらクレア様のツボに入ってしまったようです。
「だから本名教えるの嫌なんだよぉ! どいつもこいつも人の名前で笑いやがってぇ!」
涙声で訴えるピュアルンさん。
「待て……待って、お願い……! もう限界だから、みんなしばらく黙って! 静かに、してェ……!」
声の裏返ったクレア様から、今まで聞いた事のない懇願が出てきました。この期に及んで律儀にもまだ笑いを堪えようとするのはクレア様らしいですが、もう思いっきり笑ってしまっても一緒のような気がします。
「さて、和やかに自己紹介も終わったところで本題に入ろう」
数分後。クレア様は何事も無かったかのような澄まし顔で、しれっと続きを再開しました。でもよく見ると、まだ自分の太ももをつねっています。
「何一つとして和やかに終わってねーんですわ。人の名前を散々笑い散らしやがりくさって」
「笑ったのは悪かった。だが良い名前だと思うぞ。持ちネタとして鉄板だな」
「自分の名前で笑い取りたくねーんだけど? 笑わせるのと笑われるのでは天地の差があるんすわ」
「だからごめんって。この通り謝るから……なっ?」
「あんだけ威張り散らしたくせに、素直に謝るのかよ……まあ謝るなら許すけど……。そういえばあの人狼は? 今日は連れてきてないのかよ?」
「外に居るぞ。お前が仲間に化けて逃げるかもしれないから、私の合言葉無しにこの部屋を出た奴は生きたままハラワタを引き摺り出して喰い殺せと指示している」
「怖えーよ! わざわざそんな残虐な殺し方する必要あるぅ!? 曲がりなりにもここ教会だろーがよぉ!?」
「それだけお前を警戒しているという事だ。なにせ認識改変さえ使う天才魔術師だからな」
「えっ、天才? 今あたし様を天才って言った?」
「ああ、お前は天才だ。国家に雇われる優秀な魔術師でも一つの技術系統しか習得出来ないのに対し、お前は複数の技術系統を習得していたからな。まさに万能の天才。オールラウンダーとはよく言ったものだ」
「万能の天才!? ええ〜? ちょっとちょっとぉ〜? 急に褒めるのやめよーよぉ〜? 照れるだろぉ〜? ウヒヒ」
憎悪一色だったピュアルンさんの目が、クレア様と話して怒ったり照れたりしているうちにどんどん人間らしさを取り戻している事に私は気付きました。もしかしたらこれがクレア様なりの人心掌握術なのかもしれません。
「その万能の天才の叡智を借りたい。実は先日、この国を【パレード】が通過した」
「来てたの!? 【パレード】が!? うええええ〜……いいなぁ、見たかったなぁ調査したかったなぁ……」
「そして【パレード】はその際に不穏な物品をいくつか落として行った。その中の一つに、現在進行形で問題を起こしている厄介な代物がある」
「なるほど、そこでこの天才魔術師の力を借りたいってわけだ? ふぅ〜ん……公認魔術師をさし置いて、このあたし様に話を持ってくるなんて……なっかなか見る目あるじゃんかよ、お前〜」
「資料は用意してある。実際に現地を訪れた私達の見解も交えて詳しく説明しよう」
クレア様は椅子ごとピュアルンさんのすぐ隣に移動し、資料と補足を交えてシビライゼーションについて説明し始めました。
ピュアルンさんは好奇心がとても強い方のようで、資料を読み耽ったりクレア様に矢継ぎ早に質問したりと、これまでとは全く違うキラキラした目を見せるようになりました。
「ええ〜!? 何これ何これぇ〜! 面白そうじゃんかよぉ〜! これってさぁ、協力するならあたし様も現地に連れてってくれるのぉ〜!?」
「当然だ。だがその前に天才魔術師からの見解を聞かせてもらいたい。現時点で分かる事だけでもいい」
「いいよぉ。この天才魔術師の見解を知りたいんだね」
ピュアルンさんはギザ歯を見せてニヤニヤ笑いながら、資料の一部を指差しました。
「魔術師視点で『ワールドリウム』という異世界仮説の裏付けになるのはここかな。公認魔術師の封鎖結界失敗。この国で結界を張れる公認魔術師は一人しか居ないし、その術式も当然知ってるよ。古風な純正シンセイ式だね」
「シンセイ式?」
「そっ、シンセイ式。聖なる意味で神聖式って呼びたい人も多いけど、あたし様的にはお願いする意味の申請式の方がしっくり来るね。その様子じゃ初耳かな?」
「詳しく聞かせてくれ」
「いいよぉ。魔術には色んな技術系統があるのは知ってるよね? その中でも一番古い魔術が、この申請式なんだよ。知らない文字でゴチャゴチャと呪文やら魔法陣やら絵やら書かれていたでしょ? アレは要するにぜーんぶ注文内容。出入りを禁止したい。侵入者にはこういうペナルティを与えてほしい。範囲はここからここまで。期限はいつからいつまで。私は正式に認可を受けた申請者で申請許可印もちゃんとあります。そういう感じで発注書を送って、請け負い業者に結果を出力してもらうから申請式。結界以外にも色んな魔術に使われてる基礎中の基礎だね。認可を含めて時間がかかるくせに使い捨てなのが欠点かなぁ」
「その請け負い業者とは何者なんだ?」
「さあねぇ。色んな説と派生術式があるけど、少なくとも相手は人間ではないだろうねぇ。まあどうせ神とか天使とか精霊とか悪魔とかでしょ。変わった説では、大絶滅の時に人類を月に匿った裏切り者のゴーレムが今でも稼働していて、文明を失った人類が生活できるように申請式を考案して広めたってのもあるよぉ」
「発注書は誰でも書けて、どんな効果でも作り出せるのか?」
「書けるかどうかなら見本さえあれば誰でも書けるけど、どんな効果でもってのは無理だねぇ。この発注書に使われる古代文字が数千種類もある上に絵とか図解も書き加えないといけないから、難し過ぎて新規開拓は全然進んでいないよぉ。過去に誰かが作った発注書に少しだけ手を加えたり合成したりして使い回しているのが、現代の申請式の現状。この難解極まる古代言語の完全な解読に成功した人物は歴史上でただ一人【パレード】だけって言われてるねぇ」
「申請式の概要は分かった。それがどうワールドリウムの裏付けになるんだ?」
「この申請式は手間暇かかる代わりに、とっても優れた点があってねぇ。術式さえ正確なら、どんな場所でも必ず発動するんだよ。どれだけ深い地下でも水の中でも、生物の身体の中に埋め込んでも、『この世界にある限り』は必ずね。ここまで言えばもう分かるんじゃない?」
「なるほどな。その申請が届かず発動しなかったのだから、ワールドリウムはこの世界ではない、と」
「そーそー! 飲み込み早いじゃんかよお前ー!」
「なるほど、そういう解釈もあるのですね。斬新ですが、より本質を理解しやすい解釈かもしれません」
いつの間にかゴート卿様もピュアルンさんの話に聞き入り、一生懸命メモを取っていました。その様子をニヤニヤと面白そうに見ながらピュアルンさんは続けます。
「聖骸騎士なんだっけ、あんた。じゃあジェルジェから帰ってこなかった聖骸騎士の話も当然知ってるよねぇ」
「ええ、当然知っています」
ですね。ゴート卿様もそこに行った方ですから。
「だよね、だよね。そんでさぁ、魔術も魔法も無効化する聖骸騎士の鎧あるじゃん? 神の奇跡以外の奇跡を禁ずる加護って謳い文句だけど、本当は申請式の魔術を使ってるんじゃない? そう考えると、聖骸騎士が全滅したのも辻褄が合うんだよね。ジェルジェは異空間だから申請式の魔術が使えず聖骸騎士は全滅した、ってさ」
「ご想像にお任せします。また、ジェルジェに関してはすでに解決済みですのでご心配なく」
「えっ、解決済みってどういうこと」
「今は関係の無い話という意味です」
ジェルジェの話を笑顔でさらっと打ち切ったゴート卿様に合わせて「そんな事よりも、情報災害による攻撃は可能なのか」クレア様が本題を切り出しました。
「はいはい、情報災害ね。その相談には乗るけど、ジェルジェの件、ちゃんと後で教えてよぉ? この業界は情報が命だからさぁ」
「分かった分かった。それで……どうなんだ? 都合が良すぎる例だが、読むと三日後に死ぬ呪いの文章を現地に書いて、自分はそれを無効化する魔術で助かる……というような攻撃はやはり不可能か?」
「お察しの通り、申請式に由来する魔術じゃ不可能だね。でも申請式だけが魔術じゃないから、代替手段はいくらでもあるよぉ。例えば三回見たら死ぬ絵とか、条件を満たすと襲ってくる殺人鬼の情報とか、そーゆー危険な物品もあたし様は取り扱ってるよぉ。観測者の認識を改変するマントはあの時に没収されたけど、あの偽装ホテルのアジトにまだまだコレクション置いてあるし、それらが駄目ならまた別の手段を用意してあげるよぉ?」
キヒヒと笑うピュアルンさん。今までで一番魔術師らしい顔です。
「申請式以外の魔術に関しても詳しいのか?」
「当然だろぉ? あたし様は天才だからねぇ。あらゆる分野に精通していた方が応用が効くって気付いてからは、師匠の図書館に忍び込んで夜な夜な叡智を仕入れてきたんだ。そんじょそこらの魔術師じゃ行き詰まる問題も、別方面からのアプローチで解決してきたよぉ」
「なるほど、伊達に天才魔術師を名乗ってはいないようだ」
クレア様は満足そうに頷き、ゴート卿と視線を交わしました。クレア様の意図を察したゴート卿も頷き、鞄から書類の束と銀色の首輪を取り出しました。
「採用だ。ピュ……魔術師オールラウンダー、その類い稀なる叡智を私達に借してもらいたい」
「いいよぉ、交渉成立だねぇ。あたし様としても教会が後ろ盾になってくれるってんなら安心できるし、研究予算の確保も期待できるからねぇ」
クレア様が差し出した右手をピュアルンさんが握り、二人は固い握手を交わしました。
「ところで、この件とは無関係の個人的な相談があるんだが……」
思い悩む表情のクレア様がピュアルンさんに体を寄せ、声のトーンを若干落としました。
「魔術師としてのお仕事かなぁ?」
「ああ、万能で天才の魔術師にしか頼めない案件だ。実は人体に関する相談なんだが……」
「いいよぉ? この件が終わったら、初回限定特別格安価格で引き受けてあげる。ご依頼は何かなぁ?」
クレア様はやはり忘れてはいませんでした。ホルローグでクレア様が選んだアイさんからの報酬、鉄の手足の事を。せめてダグラスさんとアイさんの名前だけでも後世に残し続けられるように、アイさんに使われていた技術を用いた義手義足を作れる魔術師を探していた事を。
残念ながら今日まで義肢専門の魔術師は見つかりませんでしたが、オールラウンダーの異名を持つ魔術師ピュアルンさんなら、もしかすると可能かもしれません……!
「巨乳になる薬を作れないか?」
「クレア様」
「うん?」
「私利私欲に走った罰として今日は晩ごはん抜きです」
「ええええー!?」
「あんたらの力関係、どっちが上ぇ?」