84編入組の苦難
お久しぶりです。
今回は、白蓮視点です。
ピンポンパンポーン
『生徒の呼び出しをします。 紅蓮、白蓮、シオンの三名は、至急理事長室に来てください。繰り返し連絡します。~~』
「「「え?」」」
今日も、シオン様たちとともに昼食をとっていたところ、放送で呼び出されてしまった。
とにかく、内容的に、理事長が僕たち三人を呼び出したのであれば、すぐに向かうべきだと思い、シオン様と紅蓮の顔を見た。
「シオン様、紅蓮。理事長室に行きましょうか?」
「あ、、、うん、、。」「……。」
しかし、ふたりとも微妙な顔で僕を見返してきた。
コンコン、、、
「どうぞ~」
「失礼します。」「「………。」」
何とも言えない顔をしている二人を無理やり連れだし、理事長室に入ると、彼は笑顔で僕たちを出迎えた。
そう、とても笑顔で。不自然なほどの笑顔。いや、あの笑顔は何かしらの感情を無理やり抑え込み、冷静でいようとする顔な気がする。
もし、そうだとすると、いったい何があったのだろう。
「さて、今日君たちを呼び出したのには理由があるのだけど、何かわかるかな?」
「???」
僕には分からなかったが、シオン様と紅蓮は何か気づいたようだ。
「ヒント。白ユリ研修の前に、何かあるよね?」
「白ユリ研修の前に、、、、、あ!テスト」
「そう、期末テストがあるのだよ。」
「「「………。」」」
「君たちは最近編入してきたから、分からないかもしれないから、一応説明するね?
この学校は、卒業後すぐに就職する人が多い。その時に大事になってくるのが、成績だけど、この学校の成績評価は、実技と二回のテストで決まる。
で、君たちは編入組だから、次の期末テストで成績評価されるのだけど、、、」
学園長は、ここでわざと言葉を止めた。
「はっきり言おう。今のままでは君たちの成績が心配で、卒業させられない。」
「「「う……」」」
「三人とも、実技は大丈夫だけど、座学。とくに歴史や数学がてんでだめだよね~
まあ、歴史は白ユリのことだから、無理もないし、数学は今まで習っていなかったら大変だろうし、同情はするけど。
かと言って、君たち編入組を特別扱いするわけにはいかない。 __いくら、君たちが黒ユリから来たからと言ってね?」
「しかし! いくらそう言われても、定期テストって2週間後ですよね!?僕たちはまだしも、シオン様はこの学園に編入したばかりですよ!?」
「そ、そうだそうだ!シオンがかわいそうだから、俺も含めて何とかしてくれ、、ください!!理事長」
紅蓮、、、。君の本音が言わなくてもわかるよ。
でも、紅蓮の言う通りだ。いくらなんでも、この話はシオン様にとって横暴すぎる。
「じゃあ三人は、来年もこの学園に通ってもらおう。もちろん、今年よりも厳しい監視をつけての生活になるが、それで良いんだよな?」
「「「………」」」
学園長のその話に、僕たち三人の拒否権はなくなった。
◇◇◇
「で、結局どうするんだよ… 今からすべての範囲を勉強することは無理だろ?」
「うん。定期テストの範囲は授業で学んだことすべて。つまり、僕たちが編入する前からの範囲も含まれる、ということだよね」
「そうね…」
「じゃあ、とりあえず桜にノートを貸してもらうか?事情を話したら中間テストについても聞けるだろうし」
確かに紅蓮の提案通り、桜たちに頼ることが最善かなと思う。でも、その提案を受ける前に、気になることがある。それは。
「紅蓮、私はその提案には賛成できない。」
そう、シオン様の考えだ。シオン様はおそらく、桜たち、とくに桜に迷惑をかけたくないようだ。
「そんなこと言われても、じゃあどうするんだよ、、」
「全範囲の教科書を読み、問題集を解く」
「いや、それはそうだけど、その方法だと明らかに時間が足りないだろ」
「じゃあ、ヤマをはるのはどうかな?」
「あーーそれなら良いか。 でも、それだと根本的な問題が解決していないだろ。」
「?」
「ま、まあ、とりあえず、教科書を読み込んで問題を解こう!」
僕は、紅蓮の言葉を無視し、話を強引に進めようとしたが、それを紅蓮は許してくれなかった。
「待て、白蓮。シオンにはっきり言った方が良いだろ。
__シオン。お前は初等部の教育を十分に受けられていないから、知識に偏りがあり、基礎を理解できていない。だから、お前は今回の試験範囲を勉強するには、基礎知識も勉強する必要がある」
「なるほど…確かに、ここの授業についていけてない自覚はある……」
「でも、紅蓮。基礎から勉強したら本格的に時間がないよ」
「そこは、俺たちはシオンと比べて初等部の教育は受けていたから、俺たちでカバーするぞ」
つまり、紅蓮が言いたいことはこういうことだ。僕たちでシオン様に基礎を教えつつ、試験勉強に取り組むということだ。
この場合、僕たちで試験の情報収集し、内容を予想し、その問題をシオン様に解かせるのが、僕たちの役割だ。
「……」
シオン様は、僕たちの負担が大きいことに不満、いや心配している様子だったが、反対はしなかった。
(シオン様、このぐらいの負担は大丈夫ですよ。
シオン様は、シオン様のやりたいようにやってください。僕たちに、僕にもっと頼ってください!)
「じゃあ、これから2週間、テスト勉強がんばるぞ~」
「お~~」
「……」
次の話は明日投稿します。




