83にぎやかな学校生活
お久しぶりです。
次の話はまだ書けていないので、もうしばらくお待ちください。
シオンが入学してから数日がたった。
「シオンさん!おはよう」
「シオン、今日こそは一緒に食べよう!」
だが、未だクラスメイトのシオン人気は冷めていない。
理由はシオンの雰囲気だ。
彼女は、一見、他人と距離を取ろうとするが__実際、シオンはそうしようとしている__学校生活に慣れていないせいか、戸惑っている所が多々見られる。そのため、クラスメイトたちは率先して助けてあげようと思ってしまうのだ。つまり、クラスメイトはシオンから庇護欲というものを感じている。
「桜、私そんなに頼りない?」
「そういうことではないんだけどな〜
まぁ、なんと言うか……みんなシオンに優しくしたいんだよ!」
「……だから、それが私の頼りなさからきているものでは?」
だけど、本人は気づいていないようだし、こういうことにニブそうなので、しばらくは黙っていようと思う。
「ところで、シオンは来週から始まる『白ユリ団研修』って聞いてる?」
「『白ユリ団研修』……ああ、朝礼で先生が話していたやつ…」
白ユリ団研修__通称『白研』
毎年恒例の体験入団のことである。
この学園に通う生徒の中で、特に魔法分野で優れている生徒は、卒業後白ユリ団に入団する。勿論、強制ではないが、白ユリ団はこの国で憧れの職業のため、毎年入団試験を受ける生徒は多い。この研修では、実際に白ユリ団に体験入団し、どのような活動をしているのかを知ることができる。また、白ユリ団にとって、ここでめぼしい生徒を見つけることで、入団試験をスムーズに進める狙いがある。
「それで、シオンはどこに配属されたの?」
白ユリ団の中でも、たくさんの部隊があるため、体験入団の1か月前にはどこに配属されるかが通知される。
「確か……第7部隊だったはず」
「シオンも!?」
「ということは桜も…」
「…残念ながら私ではなくて、紅蓮と白蓮なんだよね〜」
「そう…」
「あれ?もしかしてシオン、私と一緒じゃなくて寂しい?」
「……」
おっと、いつもの虫けらを見るような目を向けている。
「あっははは!またやってるね〜」
いつものように軽口を叩いていたら、アヤが腹を抱えながら近づいてきた。
「おはよう、アヤ!……そういえばアヤとは一緒だったね〜」
私は第3部隊に配属され、アヤと同じところだと昨日聞いた。
「はぁ……そのことなんだけどさ、桜」
すると、珍しくアヤは顔をうつむかせてため息をついた。
「竜胆さんからの話だと、あの木蓮と同じ部隊らしいよ……」
「はぁ!?」
木蓮とは、あのウザいぐらい熱血な問題児だろうか。いや、違う…そうに決まっている!!
「朝から元気ね、桜。廊下まで声が聞こえていたわよ」
「おはようございます!桜……確かに聞こえていましたね」
アヤとともにため息をついていると、柊とすみれが苦笑しながら教室に入ってきた。
「いや、これは……うん……」
「桜〜〜私、あいつ殺ってもいい?まだ決勝の時の恨みが残っているからさ」
「だ、だめですよ!アヤ」
アヤの殺気はすみれに止めてもらうとして、この憂鬱な気分はどうしようか。
「まぁ、たまには振り回される身にもなれば良いんじゃないかしら?」
「うっ……まるで私が、いつもみんなを振り回しているみたいな言い方しなくてもいいじゃん」
「はいはい…無自覚な人にこれ以上何も言わないわ」
「桜凄い!あの柊に諦めさせた!!」
アヤが茶化すことで、柊も含め、みんな吹き出した。
「そういえば、柊はどこに配属されたの?」
「私は第5部隊に配属されたわ……すみれ、茜、玲と同じよ」
「実はそうなんです!」
柊は、私たちのほうを見ながら、にっこりと笑った。どう見ても、当てつけだ。
「くっ、平和そうなメンバーだ…羨ましい」
「いや、桜…その部隊にはもう二人いるよ」
どうやらその情報は知らなかったらしく、柊もすみれも驚いたようにアヤを見た。
「なんと、竜胆さんとストックも同じ第3部隊に配属されたらしい」
「「「………」」」
その瞬間、すみれを除く私たち三人は、一つの答えにたどり着いた。
(絶対、面倒くさいことが起きる!!)
「まあ、どこも大変なことは間違えなさそうね…ははは」
「そ、そうだね…みんな頑張って乗り越えよう」
とりあえず、お互いにエールを送りあい、その話題を終えることにした。
「ところで、桜。シオン…さんはどこに行ったの?」
「え?シオンならここに…あれ!?」
アヤの指摘に、私は驚くことしかできなかった。
◇◇◇
「シオン様、例のバッチ、できましたよ!」
そう言って白蓮は、白ユリをモチーフにした掌サイズのバッチを、私に見せた。
「…手間をかけた」
白ユリで学校生活を始めてから、数日。私は、理事長に呼び出された。
内容は、今まで預かっていた私の武器を返還するということだった。
(本当に意味が分からない…)
白ユリにとって、黒ユリである私は、警戒すべき存在である。武器を奪い、監視をつけ、行動に制限をかけることは当然のことだ。しかし、あの理事長はそんなことをしなかった。武器を返し、学校に通わせ、そして桜のことを守れと言った。
(私の存在など警戒するほどでもない、ということなのか?)
「ところで白蓮、貴方のその態度、どうにかならない?」
「な、何か粗相をしてしまいましたか?申し訳ありません、シオン様……」
白蓮は、今日も恭しい態度だ。
黒ユリにいた時から何度も言っているが、本人は申し訳ない態度をするだけで、態度を改めようとはしない。白蓮を優しいやら気の弱いと言っている人がいるが、私からすると、彼ほど頑固な人はいないと思っている。
(最初の頃は避けられるどころか、嫌われていると思っていたが、いつのまにこんな態度になったのか……)
「はぁ……もう良い」
「シオン様?」
結局、面倒くさくなって、私の方が折れた。
(そろそろ、白蓮の態度を変えるのは諦めた方が良いかもしれない。)
「白蓮。そろそろ次の授業が始まるから、もう行く」
私は、まだ不安そうな顔のままの白蓮を背に、その場を去った。




