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花たちは今日も元気に咲き誇る  作者: 椿想香
秋 遠方にいる貴女を想う
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78白ユリVS黒ユリ3

視点は、理事長、紅蓮、桜となっています。


しばらく何の音沙汰も無く申し訳ありません。

ただ作者の気持ちがのらなかっただけです。

本当に……申し訳ありませんでした!!!

「さて、すみれ君と柊君のおかげで黒ユリはこっちに集まりましたね、シャグリさん」

前線で白ユリ団員に混じって戦う二人を見ながら、俺は全体に指示を出していた。

「そうだなジニア、これだけ陽動が大きいと敵さんは城内を手薄にせざる負えないだろうとも」

横に控えているのは現白ユリ団長であるシャグリ。表向きは俺の補佐役となっているが、実際は65歳という白ユリ団の最年長で俺にとって大先輩にあたる。

「あとは黒ユリテトラ全員がこっちに来てくれると助かるけど……」

「まぁ、二人釣れただけでも良いほうだろうよ!ジニア」

こちらに優勢な戦局は、黒ユリテトラの二人が来たことによって滞ってしまったようだ。


「藤〜〜こんだけたくさんいるし、どっちが多く倒せるか勝負しようぜ!」

「はっ?あなたバカなの?あ…バカだったわ……。

アリウム様が何と仰られたか聞いていなかったのかしら?『速やかに白ユリを追い出せ』との命令よ!そんな無駄な事で時間を使わないで!」

「はいは〜い……そんなに怒鳴らなくても良くない?」

「ほら、早く終わらせるわよ!」

「は〜〜い」

フリージアと藤が城から出てくると、他の黒ユリたちは道を開けた。

(黒ユリって本当統率が取れてるな……)

「全員、一旦退避!気を引き締めろ!!」

俺がそう命令するやいなや、フリージアが動いた。

「そう簡単に逃さねーよ!!」

フリージアは軍服の胸元にあるピンを取ると、たちまち彼の身長を超える大きさのハンマーへと変わった。そして間を開けずにそのハンマーを振り下ろす。


ズドンッ!!


ハンマーの勢いは地面をゆらし、白ユリ団の足元をとる。転ぶものなど気にもせず、続けてハンマーを振り下ろす。


ボコッ…ボコボコ…


今度は地面に衝撃を与えるだけではなく、魔法を使ったようだ。おそらくこの様子と二人の生徒の話から考えると、彼の魔法は……。

「ジニア!!」

俺が結論付けようとする前にシャグリさんに腕を引っ張られた。

「た、助かった…シャグリさん」

数秒前に俺が立っていた場所には、大人を潰せるほどの大きさの岩が衝突していた。

「しっかりしろ!お前が負傷したら駄目だろ!?」

「ちえーー!これであっちのトップ?を倒す予定だったのに〜〜」

「これだから、貴方は詰めが甘いのよ」

「なにを〜〜!そんなに言うなら、次は藤がやって見せてよ!」「はぁ…バカに言われなくてもやるわよ」

今度は藤がフリージア同様に、胸元のピンを取り、彼女の武器である鎌に変化させた。

「さて、我らの神であるアリウム様から与えられた使命を果たさせてもらうわ!」

そう叫ぶと、藤はまっすぐこちらに向かってきた。

「させるか!!」

そんな藤を白ユリたちが見逃すはずはなく、何人かが彼女の進路を遮った。

「ふん、邪魔しないでもらえるかしら?」

彼女は鎌を一振りすると、直接斬ったわけでは無いのに周辺の白ユリ団員がその場に倒れた。

「油断するな!!近くにいる奴は倒れた奴を治癒しろ!」

俺は迫りくる鎌を見定めつつ、指示をする。俺がそこまで気が回るのは事前に彼女の魔法を聞いていた事もあるが、最もな理由は俺の近くにシャグリさんがいるからだろう。


ガキン…


「おいおい!そう簡単にここを通すと思ったか?」

俺の予想通り、シャグリさんは藤の鎌を受け止めた。

「チッ……老いぼれが出しゃばらいでくれる?」

藤は剣を握るシャグリさんの手を斬るように、鎌を動かそうとしたが狙いを知っているシャグリさんには通じない。すぐに藤から退避し、二人の間に距離ができた。

「……どうやらスパイが裏切ったようね」

「人望が無いなーお嬢さんの神様は」

「黙れ!この背徳者が!!あの御方の神々しさを理解できないものは居なくなれば良いのに…」

シャグリさんが時間を稼いでくれたおかげで、負傷した団員全員の治癒が終わった。

(フリージアは触れたものの重力を操る魔法。藤は毒を操る魔法。

事前の情報に間違えは無い。さて、作戦を次の段階に移そう。)

俺は白ユリ団員に庇われている柊君とすみれ君に合図した。


バシャン……………カキッ!!


「な、なに?水?いや、凍った!?」

柊君が水を藤の足元まで操り、その水をすみれ君が凍らす。すみれ君の魔法は近距離型だが、柊君と手を繋ぐことにより柊君が操った水を自在に凍らすことができた。

(あの二人、本当に相性が良いな…これからが楽しみだ)


ズドンッ!


「藤!大丈夫か!?」

だが、藤の動きを止められたのは一瞬だけだ。

すぐにフリージアが氷を砕いた。

「別に貴方に助けられなくても自分で抜け出せたわよ」

「なんだよ、その言い方!感謝ぐらしろよ!」

「あーはいはい、ありがとうございます。……これで良いかしら?」

「……なんかムカつく」

「それはお互い様でしょ。それよりも今は」

「こいつらだな!」

やっと、二人は本格的に戦闘を始めるようだ。


(はぁ…できれば本気を出される前に片付けたかったが……仕方ない)

「皆、今回の作戦の最も優先すべきことを忘れるなよ!」

俺は団員たちを鼓舞して、桜君の無事を祈った。



◇◇◇



「ッ……」

俺は蒼星さんがこちらをなめている間に倒そうと、さっきから槍で攻撃しているが、全然当たらない。全て余裕そうに避けられる。

「紅蓮、落ち着いて」

「分かってるよ…白蓮」

苛々しているのに自覚はしてる。だが、こちらの攻撃をあんなに余裕そうに避けられては仕方ないと思う。

「さっすが〜黒ユリテトラ。私たち生徒は相手にしない感じ?」

「別に…そういうわけではないぞ」

「え〜〜」

「こら!アヤ。敵にそんなラフな感じで話しかけない!緊張が緩むでしょ!!」

「え?そこ!?」

横では女子二人と一応敵である男がコントのような会話を繰り広げている。改めて思った。今、俺たちは命がけの戦いをしているのではないか?と。

「……なんか、緊張感が無いね?紅蓮」

「そうだな……白蓮」

「あーー疲れたー眠いー」

敵は相変わらずこんな様子で、どうしたらよいか分からなくなった。

(何なんだこの雰囲気!!絶対戦う気がないだろ!?)


「はぁ……仕方ない。そろそろボスの命令を実行するか…」


目の前の男はため息をつくと、胸元にあるピンを取った。それは俺たちがよく知る、黒ユリテトラの戦闘開始の合図。

「来るぞ!!」

ピンから変化した武器を持った蒼星さんは照準をアヤに合わせて撃った。

「!!」

幸いアヤは避けたが、アヤがいた場所は深く抉れていた。

「あんまり城内では魔法は使いたくないんだけど……まぁ仕方ないか」

蒼星さんは2丁の銃剣を見ながらそう呟いた。

「あっぶな〜」

「……あれが蒼星さん?の魔法?」

「ああ、蒼星さんは雷を手から放出する。あの銃剣は玉は入っていないが魔法を使うことで銃口から電気が放出するんだ。」

「つまり、体力が尽きない限り撃ち続けられるということだよ」

「うわ〜〜」

「桜なら大丈夫でしょ?」

「何でかな?アヤ」

「なんとなく」

「これはひどい言いがかりだ!」


「あー……もう少しそのコントを見てみたいが、そろそろ始めて良いか?」

「………はい」

「すみません…」

「「………」」

(だから何なんだよ!!この雰囲気!!)

とにかくツッコミたかったが、俺は最大の目的のためアヤの友達に合図をした。

「ラス!!今だ!!」

『了解! リンも手伝って!』

「え?え?ちょっ……」

ちょうど出口までの通路近くに桜が立っていたので、そのままリンとラスに運んでもらうことにした。

俺たちの目的は黒ユリと戦うことではなく、桜の奪還である。敵が戦闘を始める前にチャンスがあるのなら遠慮はしない。

「うわ〜〜マジか〜」

「……蒼星さん、今のはワザと隙を作りましたよね?」

「…なんのことかな〜?」

「どうせ、シオンに失態を取り返えさせる、とかですかね?」「ははは……そこはノーコメントで」

「………」

俺が黒ユリに来てから、蒼星さんは何かとシオンを気遣っている感じだった。本当かどうかは知らないが、今の様子からすると間違えではないだろう。

「……昔からシオン様に甘い所ありますよね?」

「へ〜〜そうなんだ〜」

「あれじゃね?娘みたいに思っているとか」

年の差的に有り得そうな話だ。

(まぁ、冗談だけどな)

「……子供には難しい話だよ」

「「「…………」」」

その時の蒼星さんの顔はいつもの眠そうな顔でもなく、アリウムの前での紳士そうな顔でもない。言葉では言い表せないが、何となくこちらの顔が素の蒼星さんのような気がした。


「さて。無駄話はここまでだ。」

再び銃口がこちらにむく。

「かかってこい……白ユリ!」



◇◇◇



「ちょっと!!リン!ラス!離してよ〜」

『駄目です!』

『今回の作戦は桜の奪還。あなたが白ユリ団と合流しないと目標達成しないの!』

「うっ……でもみんなを残すのは…」

『今は桜の無事を知らせるのが最優先!』

「はい……」

リンとラスに片手ずつ掴まれ、強制的に城外へ連れ出された。

「へ〜この城って結構大きいね!中からだと全然分からなかった…」

『そりゃあ、黒ユリの本拠地だしね』

「ふーーん……」

そのまま走っているとが広い森が見えてきた。

『今からこの森を抜けます』

『そうしたら白ユリ団を探すよ!』



ひたすら木の間を駆け抜けると、ラスが止まった。

「え?どうした……!!」


「はぁ…はぁ…… これ以上は行かせない!」

「……シオン」

前方にはシオンが立っていた。フードはとれ、苦しそうに息をしている。

「………一応聞いても良い?

 今回だけ、見逃してほしい。私はシオンと戦いたくないから」


「……貴女が白ユリ団員と合流する前に捕まえる。

 これがボスからの命令……私はそれに従うのみ。」

「でも…」

「私からも聞く。

 貴女には借りがある。抵抗しないならこちらから危害を加えるようなことはしない。

 だから大人しく捕まってくれる?」

「……ごめんね。ここには助けに来てくれた仲間がいるの。

 これ以上みんなに迷惑をかけたくないから……それは無理かな…」

「そう……では、力尽くでやる」

「お互い、それしかないようだね……」

私は知っている。目の前の女の子は敵であるが、彼女は優しくて誠実である。どんな扱いを受けようとも凛としていた姿は同世代の私からはカッコよく思えた。

しかし今、そんな人と武器を持って対面する。

避けたい戦闘だけど、お互いの事情で避けられない。


「……もし私が勝ったら、白ユリに来ない?」

「…………は?」

私は思いつきで言ってみた。

「あ、ごめん……そんなゴミを見るような目で私を見なくても良いじゃん!」

「……馬鹿な事を言った貴女が悪い」

「はいはい……で返事は?」

「もちろん、嫌…」

「えーなんでよー!不満があるなら言って!シオンの要望はできる限り答えるように理事長に言うから!!」

「い、や、だ!」

私たちはお互いの目をじっと見つめた。

「…………」

「…………」

「やっぱり駄目?」

何とかして、シオンを味方に引き込みたい。これからもシオンと敵対するのは心に負担すぎる。

「……私はボスのお側にいたいから、駄目」

「そっか……」

まさかあのアリウムに負けるとは思わず、心に大ダメージを受けた。



(アリウム……お前には恨みが募っているばかりだよ!)


私は説得してリンとラスを安全な所まで離した。



そしていつもより重く感じる右手を刀にかけ、シオンとの戦闘が幕を開けた。


ちゃんと、週1チャレンジ頑張ります……

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