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花たちは今日も元気に咲き誇る  作者: 椿想香
秋 遠方にいる貴女を想う
78/89

76奪還作戦開始

視点は桜、シオン、桜となります。

「これって……鍵?」

私が拾ったものはリングで繋がれた2つの鍵だった。

「どこのだろう?…というかいつからあったの?さっきまで無かったはず」

シオンと本の話をしていたときにはまた無かった。

(ということは、シオンかアイツらが落としたのかな?)

鍵はまた明日考えようと机に置くと、外から物音がした。唯一外の様子が見える穴に目を向けると、カラスが入ってきた。

「カラス!?」

『桜さん、僕はラスといいます』

「ラス?…あ!アヤの友達ね?」

最近アヤのそばでよく見かけるこだ。

(ラス君がいるってことは、まさか…)

「ねえ、みんなは無事なの?」

『はい、皆さん元気ですよ』

「良かった〜」

あのとき、私は眠っていたのでどんな様子だったかはシオンの話でしか知らない。でもラス君がこう言っているので、少し安心した。

「ラス君がここにいるってことは、白ユリ団が来たってことだよね?」

『はい、そうです。真夜中になったら皆さんがここに転移してきます。』

「そっか……」

今は真夜中になる一歩手前。

(できれば、朝日はあっちでみたいな〜……みんなと一緒に)

『それで、白ユリ団がここに来ると桜さんは危険な目に合う事が予想されるので、サポートするためにもう一羽連れてきました』

すると、また穴からもう一羽が入ってきた。そのこはラス君と比べて体が小さい、雀だった。

『こいつは、リンといいます』

『リンです。よろしく!』

「か、かわいい…」

首には鈴がついているのにリンリンと鳴らない。なんとも不思議なつくりだ。

『では、僕は急ぎ戻ります。……大丈夫です、白ユリ団は強いです。必ず貴女は助かりますよ!』

そう言って、ラス君は真っ黒な空に飛び立った。

(そんなに不安が顔に出てたのかな?……やっぱり恐怖心は騙せないか)


起きたら突然、足には鎖があり目の前は檻がある部屋に監禁されたら、どうしても気が滅入る。心の中で軽い感じで話していても、アリウムに対する恐怖は無くならない。こんなものは何の意味も無い。憎しみで誤魔化しても、心の中のどこかで不安だった。

紅蓮たちは本当に無事なんだろうか?

白ユリはアイツに勝てるのだろうか?

私は紅蓮たちにまた会えるのだろうか?


(怖い)


また誰か傷付くのだろうか?

また私は誰かを失うのだろうか?


(みんなを助けたいと願ったこの魔法が原因で…………なんて皮肉なんだ)


『桜さん!リンの存在をお忘れですか?』

「あ……ごめんね〜。さて、私はどうすれば良いの?ジッとするべき?動くべき?」

『…桜さん、今すぐに会いたい人はいますか?』

「会いたい人?」

突然話が変わって困惑したが、せっかくなので真剣に考えてみた。

「そりゃあ私の友達だよ」

『一人ですよ?』

「一人か……」

(アヤは…何か違うんだよな〜

柊は…すっごく心配して怒ってるだろうから最初に会いたくないかな

すみれは…会ったらきっと泣いちゃうし…

白蓮には…私が寝ている間に起こった出来事を聞きたいかな〜

紅蓮は………紅蓮は……)



『俺と白蓮は桜を監視するために黒ユリから送り込まれたスパイだ!』


『あの言葉にあった意味は、こういうことなんだろ?……お疲れ様』



私は、紅蓮の気持ちが知りたい。

なぜ紅蓮はスパイだったのに、あの花火大会の時、私に優しくしてくれたのか…

あれは作戦?同情?それとも…。

(まぁ、とにかく今後はあんな事はしないで欲しいな。

………甘えたくなってしまうから)


「そうだね……今すぐ文句を言いたい人がいるよ」

『では、その方の為に頑張りましょうね!』

「ふふふ…リン、ありがとう」

こんなかわいいこに、心配されたら元気になるしかない。

手の震えはいつの間にか止まっていた。

「リン、私のことは桜でいいよ?」

『分かりました!桜』


「あ、リン!さっきこんな鍵を拾ったのだけど、どこの鍵だと思う?」

『桜とりあえず、一回試してみたら?』

「確かに!」

私は1つ目の鍵を足枷に付いている鍵穴に差し込んだ。


カチャ……


「あ…………開いちゃった」

『お見事!』

「え、もしかしてもう一つの鍵も……」

私は檻に付いている錠前に鍵を差し込んだ。


カチャ……


「開いちゃったよ!!」

『す、すごい偶然!!これで出られるね!』

外を見ると月が輝き始めていた。作戦開始は、真夜中と言っていたのであと数分だ。


「さて、どうしようかな…」

『桜はここから出たくないの?』

「出たいよ?でも…」

ここにいれば白ユリのみんなに迷惑をかけるし、アリウムの良いように扱われるので、早くここから出たい。

だけど、私が脱獄してしまえばあの子が……シオンがまたアリウムに暴力をふるわれる。たった数日の交流であるけれど、すぐに見捨てられないほどの繋がりができてしまった。

「あの子が………いや、何でも無い」

でもこれ以上白ユリのみんなに迷惑をかけたくない。


『!? 桜、白ユリ団がこの島に転移したよ!』

「ありがとう、リン」

私は覚悟を決めて檻の扉を押した。

『ゴメンね、本当はすぐに作戦を教えるべきだったのに…』

「良いよ〜リン。そんなに気にしないで」

『説明は移動しながらするから、とりあえずリンに付いてきてもらっても良い?』

「うん!お願いね」

もう一つの扉を開け、私とリンは走り出した。


『今向かっているのは武器庫。桜の刀はそこにある可能性が高いからね』

「良かった〜あれが無いと困るから〜」

『紅蓮と白蓮によると、略奪した武器や防具はそこに保管しているらしいから…』

「そっか………あ、ここ?」

扉がたくさんある石畳の通路を走り、何回か曲がると、リンが一つの扉の前で止まった。

『桜、ここを押してもらっても良い?』

「う、うん」


ガチャ…


石造りの壁の一部を押すと、鍵が開いたような音がした。

「え?」

『さあ、行くよ?』

扉を開けて中に入ると、意外とごちゃごちゃした部屋だった。

「す、すごい…」

棚や台はあるが、整理整頓はしていないみたいだった。そしてこの部屋には、廊下にあったような松明がないせいか全体的に薄暗い。窓らしき穴から入り込む月光しかないので、私の刀を探すのに結構な労力が必要そうだ。

『まさかここまで片付いていないとは…』

「二人から聞いてなかったの?」

『聞いてたけど、想像以上だよ…』

「ははは…………あ!」

苦笑しながら奥に進んでみると、背の低い棚の前で歩みを止める。

『桜?…あ』

そこには鞘に収まった刀があった。

私は刀を手に取り、鞘を抜く。刃には変化はなく、椿が書かれていた。

『すぐに発見できて良かった〜。桜、黒ユリに気付かれる前にここから出ましょう!』

「そうなんだけど…………ちょっとだけ待ってくれる?」

『え?』

「もしかしたら、椿の刀が……」

リンの話からすると、アリウムが椿から奪った刀がここにあるかもしれない。あの日椿は桜が書かれた刀をもっていたから、可能性は低くないはず。アリウムがそれを奪っているかは知らないけど、少しでも椿の思い出があるなら、私は探したい!

『…リンも手伝います。でも、本当に少しだけですよ!』

「ありがとう!」


私は棚に置いてある箱の中を一つ一つ見て、リンは上からそれらしいものを探した。ぐちゃぐちゃだった部屋は、私のせいでもっとぐちゃぐちゃになった。反省はするけど、後悔はしない!片付けていない黒ユリが悪いのだ。

『桜、城外で白ユリと黒ユリの戦闘が始まったみたい……』

「……黒ユリが私の脱獄に気付かれる前に、そろそろここから出よう!リン、手伝ってくれてありがとう」

『全然力になれなくてゴメンね…』

「そんなことないよ!」


ガチャ…


そう言って出口に向かおうとしたら、扉の鍵が開く音がした。

『桜こっち!』

「!!」

リンはとっさに隠れられる場所を見つけてくれて、私たちは奥にあった用具入れの中に入った。

「……ここにもいない、か」

隙間から覗くと、そこには……。


◇◇◇


ボスに今日の報告を終えてから、私は走って桜がいる部屋に戻った。

(鍵が、無い…………どこで落とした?)

物を失くさない方だと認識していたので、とてつもなく焦っていた。今のところ誰にもバレていないが、時間の問題だと思う。

(こんな失態をボスに知られる前に何とかしないと!)


急いで扉を開けると、檻は開いていて足枷だけが残っていた。

「!!」

檻に近付くと、床に2種類の鍵が落ちていた。

「ッ…あのときか!」

この部屋で落としたとするならば、おそらくアイツらに絡まれたときだ。檻に打ち付けられた拍子に、鍵が檻の中に飛んでいったのだろう。

「まだ大丈夫……ボスに知られる前に見つけ出せば、問題無い」

私は向きを変え、桜を探しに走り出した。

人がいるときはごく自然に歩き、部屋の一つ一つを探した。


バタン…


「ここにもいない……いったい何処に…」

見張りが少ない場所を中心に探していたが、中々見つからない。

「あとは……武器庫か?」

あそこには鍵がかかっていて開けられないと思うが、桜の刀があるので可能性は低くはない。

私は武器庫の鍵を開け、中に入った。


ガチャ…


中には誰もいなかったのですぐに出ようとしたら、そこにあるはずのものがすでに無くなっていた。

「!!」

(桜はすでに来ていた!?……本格的にヤバくなってきた。

ここに来るまでに桜とはすれ違っていないから、まだ城内にいる!早く見つけないと!!)

私は刀が置かれていた所をもう一度見て、気持ちを入れ替えた。


ガタッ!


そのとき、奥から物音が聞こえたと。

「……」

(念の為、確認しとくか…)

私は武器庫の奥に進み、人が隠れられそうな所を(しらみ)潰しに探した。

「……あとは、」

人が入るには少し狭い用具入れ。けれど、桜ぐらいの少女ならば入れる場所だ。私は用具入れを開けようと手を伸ばすと…


「シオン様!!シオン様はいらっしゃいますか?」

「……武器庫に」

廊下から私を呼ぶ声が聞こえたので、仕方なく返事をした。


ガチャ…


「失礼します!シオン様、アリウム様が呼んでおります。それと、白ユリが」

「!!!……分かった、すぐに向かう…」

このタイミングで白ユリが来るとなると、桜は仲間との連絡が取れているのだろう。それにしても最悪だ…………この状況では、この事をボスに報告しなければならない。


「……挽回しなければ」


◇◇◇


バタン…


『行ったみたいね……はぁ、本当に危なかった!』

「白ユリのみんなに助けられたね!」

『刀も手に入れたし、次の行動をするよ』

「リン、次って何するの?」

『まずは、紅蓮と白蓮とアヤに合流だよ!!』

「は?…………………………はあああああ!?」

『シーッ!!ここ敵地!』

「リン……」


そのメンバーはいったい何なんだ!?

というか、紅蓮たちも来ているのかよ!?


__会いたい人との再開は意外にも早かった。

次回はいよいよ戦闘かな?(予定)

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