65日常が変わるその瞬間2
桜視点です。
「白蓮なら見てないけど……いったいどうしたの?」
「見ていないのなら良いんだ。情報ありがとう」
紅蓮は私からの質問には答えずにまた走り出そうとしたが、アヤが紅蓮の前にたった。
「紅蓮何かあったの?もし急ぎであれば私の力を貸すよ?」
「………そうだな」
紅蓮はまだ納得していなかったが、アヤの諦めない様子からため息をついて同意した。
「それで、何か白蓮にあったの?
もし白蓮が紅蓮から逃げているだけだったら協力しないからね」
アヤはでっかい釘を紅蓮にさした。
紅蓮は数秒考えて、先程の焦っていた顔から一転して不安げなものになった。
「実は……根拠とか証拠とかは無いが、嫌な予感がするんだ」
「それって……双子特有の?」
「ああ…多分そうだ」
「まぁ、有り得なくも無い話ね…」
「………」
私にも経験はある。椿の気持ちが分かったり、私の気持ちが椿に知られたり……。これは魔法ではないが、双子は何か特別な繋がりでもあるんだろう。
「嫌な予感、ね……分かった。とりあえずラスくんに頼んでここら辺の烏に協力を頼んでみるね~」
そう言ってアヤはラスくんを呼んで頼みごとをした。
「…アヤは凄いなー」
「人、物探しはアヤに頼むのが良いね」
私たちは忙しく飛び回る鳥たちをみながら心を落ち着かせた。
すると、三分もたたないうちにラスくんはアヤのもとに戻ってきた。
「…なるほど、ありがとうラスくん!協力してくれたみんなにも感謝してるって伝えてくれるとありがたいかな」
『お安いご用だよ!』
そしてラスくんは近くにいた鳥たちに向かって飛び、何回か鳴いてからまたアヤの近くにきた。
「紅蓮~白蓮見つかったよ~」
「本当に助かる!!さっそく行ってみるよ
それで、白蓮はどこにいるんだ?」
紅蓮はアヤに期待のこもった目を向けた。
「私についてきて~そっちの方が速い!」
とアヤは言ったので、私たちもついていこうとしたら紅蓮に止められた。
「悪い……これ以上迷惑をかけたくないから俺一人で行くよ」
(え?急にどうしたの?)
「……なんで?こっちの方が速いよ?それに人数が居た方が何かのためになるだろうし~」
「それは、そうだが……じゃあ、アヤだけお願いしても良いか?」
「だから人数が居た方が良いって!」
「嫌な予感って言っても根拠はない。だから…「紅蓮!!」 …分かった。
柊も俺に力を貸してほしい………これが俺にできる最大の譲歩だ!!」
「紅蓮?」
さっきから、紅蓮の様子がおかしい。
アヤと言い争っているとき、紅蓮は異常に焦っているだけじゃなくて何か必死に隠そうとしてるようだ。
「(…柊は大丈夫。だけど、二人、いや桜についてきて欲しくないのかな?)
…そんなに言うなら従うけど、心配した二人がついてこられるより、今一緒に行った方が良いと思うな~」
アヤはちらりと見ながら口を開いた。
(何故ばれた!?)
ひそかに動揺していると紅蓮もこちらをちらっと見た。
「はぁ……確かにな。
………じゃあ、先頭は俺とアヤ。ちょっと離れて柊、桜、すみれがついて来る感じでどうだ?」
紅蓮はなぜか呆れた目をしながらつぶやいた。
「了解!じゃあみんな、さっそく行くよ!
ラスくん、………お願いね?」
アヤはラスくんを一撫でしてから走り出した。
「アヤ…まだか?」
「落ち着いて紅蓮…………あ、いた!あの噴水の所!!」
アヤが指さした所には噴水の縁に座る白蓮がいた。
だが、いつもの様子とは違って何か思い詰めているようだった。
「………やっぱり今日だったのか」
「紅蓮?」
「いや、何でもない。とにかく間に合ったようだな、アヤ本当にありがとう!」
紅蓮はアヤに向かってそう言ってから白蓮の様子を伺っていた。
「いえいえ~ところで、行かないの?」
「ああ……おそらくもう少しで誰かが…あ!」
話の途中にいきなり紅蓮は声を上げて走り出した。
「え?どうしたの!?」
私たちも紅蓮について行くように走った。
前を見ると白蓮はすでに移動し始めていて、追いつけるようにスピードを上げた。
周りにはたくさん休日を楽しむ人でいっぱいだったが、謝りながら間を駆け抜けた。
今、白蓮を逃したらダメだと、本能で感じとった。
「白蓮!!!!」
なんとか追いついた先にあったのは、人気の少ない路地裏だった。辺りは暗く静かで、さっきまでの広場とは全然違う世界にいるようだった。
「紅蓮……なぜここに……」
白蓮は驚きに満ちた顔でそう言った。
その白蓮の隣には、黒色のフードを被った少女一人が立っていた。
「嫌な予感がしたから追いかけてみれば、白蓮と………シオン様に会えるとは、光栄ですね?
今日は本当に運が良さそうだ!」
「「「「シオン様!?」」」」
「……まさか、あの?冗談だよね?紅蓮」
私は震える声で紅蓮に問い掛けた。
冗談だと言って欲しかった。
笑い飛ばして欲しかった。
夢なら覚めて欲しかった。
もし私の願望がどれも叶わないのなら、貴方は、紅蓮は………
「紅蓮…君は何か誤解していないかい?この方は道に迷ったらしく、僕が案内しようとしただけで……」
「白蓮……やめなさい……」
白蓮は慌てて言い繕うとしたが、隣の少女に制止されていた。
「しかし!!」
それでも何か言おうとしたが、先に口を開いたのは………
「あいつは、黒ユリテトラの一人、シオン様だ!!
そして、俺と白蓮は桜を監視するために黒ユリから送り込まれたスパイだ!」
「「「「!?」」」」
「紅蓮!!」
弟の紅蓮の方であった。
まだまだ続きます。




