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花たちは今日も元気に咲き誇る  作者: 椿想香
秋 遠方にいる貴女を想う
64/89

62決勝戦続_後半_4

客席サイド、桜視点、茜視点、彩芽視点、また桜視点に戻ります。

「柊さん、アヤ容赦ないですね……」

「そうね…(アヤは怒らせない方が良いわね)」

「木蓮ドンマイ~(笑える)」

「も、木蓮は、アヤに何をしたんだ?(転移魔法が無かったら黒焦げだったよね?)」

「そ、それな白蓮 竜胆教えてくれないか?(これが『ミナバシ大会』か……)」

「そっか…二人は知らないのか 実は…」

~~~

「……教えてくれてありがとう、竜胆」

「アヤの友達には気をつけることにするよ」

「そうしたほうが良いね(アヤ面白いな…)」

客席の一部は、皆遠い目をしていた。


◇◇◇


「さて、じゃま……あつくる……じゃなくて、木蓮が消えたね!」

アヤは輝かんばかりの笑顔でそう言い捨てた。

「まさか、あんな鳥まで呼べるなんて……(聞いてない!)」

「アヤ、手加減しないからね‼」

「こっちもだよ!!

じゃあ、さっそくいかせてもらうね!」


アヤは何か合図を出すと、大きな岩の塊を持った鳥たちが何十羽もやってきて、私と茜のそばに落としだした。


ドン ドドン  


「うおっと…(これ少しでも油断すると危ない)」

仮に逃げ遅れたとしたら、岩は私たちの身長をはるかに超える大きさなので間違えなくつぶれて死ぬだろう。__しかし、ここは魔法学園。この速さなら転移魔法が間に合うので、アヤは失格にはならないし私たちが死ぬことはないが、転移されたら私たちは負けとなるのだろう。

「不規則に落ちるから、防御で精一杯ね……」

茜も苦しそうだ。

(あ、そうだ!!この際前からやりたかったこと、試してみようかな~)

私は周りを見て、もし失敗しても大丈夫なタイミングを待つことにした。


「どちらにしようかな~リリウム様の言う通り! よし、まずは茜から倒そう」

アヤはこのまま待つのではなく真っ向勝負を仕掛けるようで、鳥から降りて茜のそばまで走った。

普通なら私も近づいて乱闘したいところだが、今は岩の雨が邪魔で近づけそうにない。仕方なく、傍観することにした。__もちろん、岩の雨を避けながら


◇◇◇


「チッ……勝負だ!彩芽」

「望むところだ!」

降りてきた彩芽に向かって啖呵を切ったのは良いが、正直どうすることもできない。彩芽はスイスイ岩を避けている……いや鳥が気を付けているのか?……まあ、どっちにしろ誤爆する気配はない。つまり、私から攻撃をしなければいけないのだ。


「茜、こっちだよ~」

ビュン…

「こっちこっち~」

ビュン…

「そっちにはいないよ~」

ビュン…


さっきから彩芽はわざと私に声をかけ、私が攻撃するころには違う方向から声がかかる、とその繰り返しだ。

(私の動揺を誘っている?何がしたいのかしら……)

この岩の雨がなければ私の得意な俊足攻撃ができるのだが、この状況ではタイミングを計る必要がある。

「このっ!!」

私のイラつきは頂点に達したので、声の方向へ攻撃ではなく走り向かった。地面には大量の岩の塊がたくさん落ちているので視野や平らな地面は狭くなっている。しかしそれは相手も同じ。こちらが大きく動き続ければ、あちらも攻撃を仕掛けるのが難しくなるはず。


ガキンッ


「なっ…」

今度は彩芽は私に攻撃を仕掛けた。横から棒が迫ってきたので思わず細剣で受け止めた。するとすぐに上から岩が降ってきたのでその場から退散した。しかし彩芽は追いかけてきたので、私は岩の上に飛び乗り、飛びながら岩の上を移動することにした。

(疲れるけど、彩芽から逃げやすくするにはこれしかない)

彩芽も私のように岩に飛び乗り、追いついてきた。


ガキッ ガキッ


岩の上は不安定で彩芽の攻撃を受け流すだけでも大変だ。

私は平らな地面が多い所がないかと視線を周囲に向けた瞬間、目の前から彩芽が消えた。

「しまった!!」

回りには当然いない。雨をよけ、剣を構えて警戒するが、見つからない。後ろに振り返ったそのとき、私の背から何かが迫ってきた。突然のことで、菖蒲色の棒を細剣で受け止めてしまい、私の重心は後ろに傾いた。

私の体は後ろにゆっくりと倒れていき仰向けとなったので、空とたくさんの鳥と落ちて来る岩が良く見えた。


(ああ、私は転移されるな…)

私は静かに目を閉じた。


◇◇◇


「茜!!」

(茜のようすから私たちの勝負に決着はついたはずだから、岩を止めても大丈夫)

私は一番速く飛べる鳥である(しゅん)にお願いした。

(しゅん)!!」

『了解!』

瞬は物凄い速さで降りてきて茜の上に落ちようとする岩を掴もうとした。しかし……

「悪いけど試し斬りさせて!!」

どこからか現れたその生徒は、桜色の髪を風で揺らしながらその岩に近づいた。

「桜!?」

(あの岩は重くてとても丈夫よ!?その刀で斬れるはずが…)

私は手で口を隠した。本当は両目を隠したかったがなんとか理性を振り絞って最後まで見ることにした。


「はあああああ!!」


ガキン!!!!  …ズシンッ


結果、岩は真っ二つに割れ、(もう転移された)茜、桜、私は全員無事だった。

「……瞬、戻って良いよ。ありがとう」

とりあえず友達を返し、桜との決着をつけることにした。


「無事だからいいけど、ほんっとうに桜は無茶なことをするな!」

私は文句を言いながら、攻撃を仕掛けた。

「まあまあ、できたんだし良いじゃん!」

そういって桜は軽々攻撃を受け流しては、迫り来る岩を次々と斬っていった。

(どうにかしないと…)

と、焦って意識が桜からズレたとき、桜は目の前から消えた。

「まさか!?」

これは間違えなく、さっき私が茜にしたことと同じだ。

(ということは、桜は……。)

全てを理解した瞬間、桜は私の後ろから飛び(・・)出して攻撃した。そう、岩から一瞬で降りて相手の後ろに回り、足下から飛び出るということだ。

(『灯台下暗し』ってことね…)

「自分の作戦で負ける訳にはいかない!!」

私は両足を踏ん張り、なんとか桜の剣を持ちこたえた。

「まだまだよ!!」

すると桜は膝を深く曲げ、フワッと飛んだ。

飛んださきには落ちて来る岩があり、一瞬そこで両足をつけると、今度はこっちに向かって飛んできた。

下の方向に飛んでいるので速さは速くなり、下にいる私に全ての重量がかかる。対してこっちは不安定な岩の上で、警戒していたせいで両手で棒を持っていた。

結果私は踏ん張りながら、両手で持った棒で攻撃を受けなければならなくなった。


(たかが痩せ型の女子一人分の重量のはずなのに、こんなにきついなんて…)

「っ……」

私の体は後ろへと下がる。

そしてすぐに腕に力が入らなくなり、私の足は岩から外れた。

あ、落ちるっと思ったところで、桜が私の片手を掴んだ。


カランッ


私の手から滑り落ちた棒が地面に落ちたことで、負けたことを自覚すると、観客が一気に湧いた。

『試合終了!審判の判断により、ミナバシ大会の優勝者は一組の桜とする!!

会場の皆さん、出場した選手の健闘に暖かい拍手をお願いします。』

「「「おおおおぉぉぉ~~!!!!!!」」」

パチパチパチ


「完敗だよ、桜」

「いやいや、この岩の雨はやばかったよ!」

「軽々岩を斬ったくせに、よく言う~」

「あれは、前からやって見たかったんだよ!」

「桜はどこを目指しているんだか…(コンニャク斬れるようになったら教えてね?)」

「行ける所まで私は行くよ!!(もう斬れます~)」

「マジか!?(マジか!?)」


◇◇◇


「あなたはこのミナバシ大会で素晴らしい戦いをしました。よってその健闘を称えこれを賞します。…おめでとう、桜くん」

「ありがとうございます、理事長」


パチパチパチ


表彰式は意外とすぐに終わり、観客全員から拍手をもらった。

客席を探すと、すみれが涙を浮かべていてそれを竜胆さんと柊があやしているのが見えた。

(あんなに喜んでもらえるのは嬉しいな…)

ちょっとホッコリしていると、紅蓮がこっちに向かってサムズアップしているのが視界に入った。

(ふふふ、やっぱり笑っている顔が一番だね……)


そんな感じでぼんやりとしていたら、司会の方がマイクを持ってこちらに来た。

「優勝、おめでとうございます!」

「ありがとうございます」

「優勝者から何か一言、お願いしても良いですか?」


(何か一言、か……)


「そうですね……

今はまだ実感が湧かないけれど、こんなに大勢の人から拍手を貰えるのは嬉しいです!



それと、……このことを私の家族に、早く自分の口から言いたいですね!」


「ありがとうございました」



___何気ない一言。

事情を知らない大勢の人は感動した。彼女の親を大切に思う心に…

彼女に近しい人は憐れんだ。彼女の不憫さに…


そんな正反対の感情で、大会の幕は閉じた。

まだまだ執筆頑張ります!!

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