60双子の笑顔2
今回もアヤと桜のブラブラ散歩
「御注文はお決まりでしょうか?」
「あ、はい」
私とアヤはちょっと変わった喫茶で、メニュー表を見ていた。内容は軽いものからカレーライスなどガッツリしたものまであるので、裏方は大変そうだと思った。
注文は決まり、店員さんを呼ぼうとしたらメイドさんが一人来たので注文した。
「ねぇ、あれって茜じゃない?」
「そうだね」
私たちは注文をし終えて、改めて周りを見渡すと、茜が一人で席に座って紅茶を飲んでいるのが目に入った。
茜は美人系で大変この雰囲気と紅茶が似合うため、男性客からの視線を集めていた。
(ご愁傷様……でも、似合っていてかわいいなぁ)
「めちゃくちゃお嬢様ぽい!」
アヤはちょうど同じようなことを口にした。
「君かわいいね…」
「……」
「一人?それとも友達待ち?」
「……」
「あ、茜、お客さんから話し掛けられているー」
「あ~あの可愛さは仕方ないか…」
「どうする?茜困っている感じだし…」
茜は男性二人の客に絡まれていた。明らかに一番茜がかわいいと思うので、今までもこんな感じで大変だったのだろう。
「助けにいくか!」
そう言って腰をあげようとしたら、誰かがさっそうと茜の前に現れた。
「お客様、お嬢様が困っていますのでお止めください。それと、御注文の品をお持ちしました。ただいま大変混雑していますので、お早めに(・・・・)いただいてくださると助かります。(俺の茜に手を出すんじゃねーよ、さっさと帰れ!)」
「「はい……」」
燕尾服をきた男は、スラスラと言葉を残して、男性客二人を元の席に戻した。
「ねぇ、あれって…」
「やっぱり、アヤもそう思う?」
「お騒がせしてしまい、申し訳ありません。ささやかながら、ここにいる皆様にデザートを用意しました。ごゆっくりお過ごしくださいませ。」
この喫茶のオーナーのような人の声に合わせて、他の執事やメイドがデザートを運びはじめた。
「ねぇ、あなたはもしかして、鈴?」
私は注文の品を運んできた先程の燕尾服をきた男にそう尋ねた。
「そうです……こんな恥ずかしい格好させられるなんて聞いてなかった」
どうやら、この服を着ると言われたのは当日だったらしい。準備期間に服の大きさや身長を聞かれたので疑問に思っていたらしいが、こんなことが待っているとは予想できなかったらしい。
「鈴って前髪あげると雰囲気がガラリと変わるよね」
「そうだよ!本当に驚いた!」
なんて話をしていたら、茜がこちらにきた。
「あ、茜!」
「こんにちは二人とも…」
「災難だったね、茜」
「えぇ…そうね」
茜の目から一瞬光が消えたのを、私は見逃さなかった。
(お疲れ様…)
「それにしても、鈴くんカッコイイ!」
「まさか、あんなに堂々と助けるなんて…さすが茜の自慢のかれ「それ以上口にしたら、ぶっ飛ばす」…はい」
「そう言えば茜、あの作戦はどうなったの?」
「作戦?それはどう「鈴、お願いだから何も聞くな…」…了解……じゃあ僕は仕事に戻るね、あ、、茜」
鈴は少し照れたように茜の名前を呼んでから違うテーブルに向かった。どうやらこの二人は順調に進んでいるようだ。
「それで、茜…作戦は成功?」
「結論から言うと、成功した。だけどあの記憶は抹消したい…」
「あはははは!よかったじゃん!一緒に花火が見られるのだから」
お察しの通り、作戦とは茜と鈴が花火を見に行くために相手を誘う方法である。
作戦はこうだ。まず茜は鈴に勝負を持ちかける。勝負内容はなんでも良く、勝ったらいつもの茜のように『私と一緒に花火を見なさい』と言えばよく、負けたら『鈴と一緒に花火を見る約束がしたかったな……』と悲しそうに言うという、とてもシンプルで簡単だ。
茜の様子から、どうやら負けてしまったのだろう。
(普段の茜と違うから、鈴はギャップ萌えしたに違いないな)
「でも、、、あなたたちのおかげで約束できたから、ちょっとだけか、感謝する」
「「ふふふ…」」
「なに?言いたいことがあるなら言えば!」
「何にもないです~」
「お幸せに~」
私とアヤはそれだけ言って、茜の若干赤くなった顔には何も言わなかった。
「あ」
「「あ」」
喫茶から出て、校内をひとしきり回り終えたとき、見回り中の白ユリ団員とすれ違った。すれ違いざまに声が聞こえたので振り返って顔を見ると、安須田さんだった。
(なんだか久しぶりな気がするような、しないような…)
「こんにちは安須田さん!」
「…見回り、ご苦労様です。」
私が遠慮がちに声をかけると、向こうもどうやら戸惑っているようだ。
時は遡ることミナバシ大会決勝戦後、起きたらあのあと何があったのかはあらかた理事長から聞いている。__もちろん暴走した私を止めるために安須田さんが魔法を使ったことも
「あー………元気そうで安心したよ。カトレアとかスターチスは心配そうにしてるから、見かけたら声をかけてやってくれ…」
安須田さんは核心に触れないようにしたようだった。
(私の魔法とか聞きたいだろうに、申し訳ない…)
「はい、ぜひそうします。ご迷惑をおかけしてすみません………あのときはありがとうございました」
最後の方は声を小さくし、元気に過ごしていると証明するように無邪気に笑った。
「もうちょっとですみれや柊がやってくるね~」
あのあと時間もあまり残っていなかったので、集合場所である屋上に向かった。
「すみれたちがきたらどこ行こうかな~」
私は屋上から見下ろして店を探した。下にはまだまだ人はたくさんいて、どこの店も大変そうだった。
そのなかでも一際混んでいる所があったのでその店に視線をずらすと、そこには見覚えのある二人がいた。
「あ、紅蓮と白蓮だ」
「本当だ!うわー大変そう…」
二人とも本当に忙しそうにしていたが、とても楽しそうに見えた。
「良かった…」
「桜?」
心から笑っている二人に思わず言葉が出てしまい、アヤはそれを聞き逃さなかった。
「あーほら……最初は険悪な雰囲気だったけど、今は本当に楽しそうじゃん?」
「そっか……桜はさ、あの姿を見て寂しくはならないの?」
珍しい。
アヤは普段こういった話をしないので、顔をアヤのほうに向けた。
「目の前に笑っている双子がいて辛くない?」
アヤも私に目線を合わせ、なぜか目をそらしてはいけないような気がした。
「寂しくない、て言ったら嘘になる。けれど辛いと感じたことはないかな…。むしろ嬉しく感じるよ!」
「なんで?自分は叶わないかもしれないのに?」
「それは………。確かにアヤの言う通りかもしれない。でも私は悲しげな人の顔を見るより、幸せそうな顔を見るほうが、何倍も、何十倍も、何百倍も、心が満たされる気がするんだ。…理由は分からない。けれど自分がそう感じるのだから良いんじゃない?、という精神で私は過ごしているよ」
「ふふふ、本当に桜は………」
バタンッ
「桜、アヤお待たせしました。」
「案内って楽な仕事ではなかったわ」
アヤが何か話そうとするとふたりがやってきたので、私たちの会話はここで終った。
「二人ともお疲れ様」
「こっちはいろいろと楽しかったよ!」
私は思考を双子から目の前の二人に移動させた。
次は、ミナバシ大会決勝戦を書きたい…です。
それと、登場人物紹介も更新したので、暇な方はぜひ見てみてください。




