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花たちは今日も元気に咲き誇る  作者: 椿想香
秋 遠方にいる貴女を想う
59/89

57仲たがい

紅蓮視点です。

『私には白蓮のあの目が嘘のようには見えない!』


「あいつの目、か…」

こうして改めて考えてみると、俺がク……兄貴の目を見ていないことに気がついた。いや、見てはいたが気付こうとしなかった。



最初は目も合わせたくなかったから、いつも俺から目を逸らしていた。だけど、あるとき目を逸らすのが遅れた。数ヶ月ぶりに見た…兄貴の目には、暗いものが沈んでいた。

(白蓮の目はこんなにも暗い色だったか?)

俺と…兄貴の目は同じ色だから、嫌でもすぐに違いが分かった。だから、兄貴に尋ねようと思ったが………。結局俺がそうすることはなかった。

兄貴と話をしたくなかったこともあるが、一番の理由は他にあった。_俺は兄貴を倒す(・・・)に、あいつを……アリウムを倒さねばならないのだ。


しかし今、俺は一度兄貴と向き合う必要がある。何か変わるのか変わらないのかは分からないが、そうしなければならないのだ。桜が……自分の本能が……俺に叫んでいる。



俺は学生寮に向かう白蓮を見つけ、走り寄った。

「あ、兄貴!」

「!…どうしたんだ?紅蓮

(紅蓮から声をかけてくるなんて、あの日以来初めてだ。何かあったのか?)」

「その、引き止めて悪いが、……ちょっと場所を移動できるか?」

「俺は大丈夫だよ(???)」


学園内の校舎の裏まで来ると、俺は白蓮に今まで気になっていた一つの質問をした。

「あ……白蓮はあの日、本当に俺たちの親を殺したのか?」

「……それは」

白蓮は目を見開いた。しかし、それはほんの一瞬だった。

「それは、どういう意味だい?……俺は確かに、この手で、両親を、殺した。…紅蓮も見ていただろ?」

いつもの俺なら激怒して白蓮に切りかかったし、そもそもこんな質問をしなかった。第三者…桜があんなに熱く語ってくれたおかげで、ふと我に返ったのだ。

「確かに俺は、返り血を全身に浴びた兄貴を見た。しかし、殺しているところを見ていない。」

「それはそうだけど、普通あんなに返り血を浴びることはないと思うよ……殺した奴以外はね。」

「……お前の隣にはアリウムがいた。あいつが両親を殺して、その血が近くにいたお前にかかったのではないか?」

「あの方は……関係ない。

おい、今日はどうしたんだ?紅蓮。何かあったのか?」

「俺の話を逸らすな!」

「逸らしてしないよ。ただ、紅蓮がいつもとちが「どうして、」…」

「どうしてあのとき、涙を流していたんだ?」

「っ…涙なんて流していないよ?記憶違いじゃないか?」

「いや、涙が流れていた………血の色のな。」

俺が白蓮を見たとき、全身が血まみれでもちろん顔にも返り血が付いていた。あのときは突然のことで頭に血が昇り、白蓮の頬に涙のような跡赤い線に気付かなかった。あれは、涙に血が混ざり、流れてできたものだ。

「あれは……返り血が流れただけだよ」

「本当に?」

俺はもう、白蓮と向き合うと決めた。何が真実で虚実なのか。桜と白蓮と俺のなかで誰の主張が正しいのか。俺は知りたいのだ。

だから俺は白蓮の目をじっと見た。

「………」

「ほ、本当だよ?」

「………」

しばらく黙って見ていると、白蓮の様子が変わった。焦っているような感じで目を泳がしていた。

「白蓮」

「……っ」

白蓮が顔を逸らしたので、俺は両手で白蓮の顔を掴みもとに戻した。

「そろそろ話してくれないか?白蓮」

「……………言えない。」

「っ白蓮!!」

(まだ粘るのか!!)

少し苛立ちを覚えると、白蓮が俺の手を勢いよく外した。

「これは……言えないんだ!!」

そしてそのまま走り去ってしまった。


「白蓮!!」

俺は突然のことで、動くことができなかった。


何が悪かったのだろう。……いや答えは自問する前から分かっている。俺が白蓮に踏み込み過ぎたんだ。

「あー……兄弟って難しいな~」

今までの俺の行動を思い出して、軽く自己嫌悪に陥った。


◇◇◇


「……すまない、紅蓮。

こんな兄貴で、本当に、すまない…」

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