51墓参り2
遅くなって、本当に申し訳ありません!!
「……どういう意味か、今日は話してもらうぞ。」
「はいはい、分かってますっ
……もう一人は、理事長がよく知っている人ですよ。」
私は振り返って理事長の方を見た。
「火事のあと、私は孤児院で過ごしました。
白ユリ団の人たちに事情を聞かれましたが、私は何も答えられず、事故か放火で片付けられそうになりました。」
「え?なんで…」
「証拠がなく、状況から判断したのだろう。黒ユリが一般家庭を襲うなんて、誰も想像がつかないからな…」
「…そんなことまだ6歳だった私には理解出来ず、いつまでたっても犯人を見付けられなかった周りの人たちに嫌気がさした。」
「すまない…」
「今は大丈夫ですよ。………そんなことがあって一人でふさぎ込んでいたときに、もう一人の大切な人、ビオラさんに出会ったのです。」
「なるほどな…」
「ビオラさんって誰なの?」
「アヤ、ビオラさんは白ユリ前理事長だよ」
「「「前理事長!?」」」
「今までの人たちと交代して、ビオラさんが私の所に訪れたけど、あの日の話は一切しなかった。ただ私と楽しい話をしたり、一緒に遊んだりして過ごした。毎日来るものだから、自然と心を許せる唯一の人となっていた。」
「………」
「だから私は、あの日のことをビオラさんに話してしまった……………近くにアリウムがいたのに。」
「「「え?」」」
「現黒ユリのボスの…アリウムは、白ユリ団員だった。俺とアリウムと…黒ユリテトラの一人の蒼星は前黒ユリボス討伐隊の一員で、俺達三人は討伐に大きく貢献した。」
「「「………」」」
理事長の知り合いであることは予想できていたが、まさか討伐隊(前黒ユリボスを討伐するため魔法に優れた十人で構成された一時的な隊)の一員だとは知らなかった。
「アリウムは時々ビオラさんの付き添いで来ていた。最初は気にしていたけど、こちらに何もしてこなかったから警戒は薄れていた。
ビオラさんにあの日の話すと、『辛いことをよく話してくれたね。あとは私に任せて!必ず犯人を捕まえるから!』と言ってくれて、私は初めて希望の光が見えた気がした。」
「桜…」
「その日の夜、『犯人が分かった。今から学園で会えない?』と書かれた手紙が私のもとに届いた。
不思議に思ったが私は学園に向かい、アリウムに理事長室まで案内してもらった。でもそこには……ビオラさんが血まみれになって倒れていた。」
「「「!!」」」
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10年前
「ビオラさん!!」
私はビオラさんに駆け寄った。理事長室は棚や机の上に大量の資料で埋め尽くされていて、ビオラさんは棚に強く打ち付けられたように倒れていた。血はいつまでも広がり続け、床や資料を紅く染めていった。
「ビオラさん、ビオラさん、ビオラさん!」
馬鹿みたいに名前を連呼して、助けるを求めようと後ろを振り返ると、アリウムが嗤っていた。
「な、なにしてるの?ビオラさんが 「だから?」 っ…ふざけないで!!」
「くくく、良い余興だな。」
「さ、くら、、?、、に、、げて、、はや、く」
熱いなにかを腹の底から吐き出そうとしたら、ビオラさんの声が聞こえた。
「ビオラさん!喋らないで!今、人を呼んでくるから!」
「ア、リウム、、から、、に、げて」
「ビオラさん!それはどうい 「まだ気がつかないのか?俺がビオラをやったんだよ」 !」
「あれだけ斬ったのにまだ喋る気力があったとは、驚いた。」
(ふざけるな!!)
「、、な、ぜ?」
「理由ね……斬りたかったから斬った、だな。あ、あと桜を絶望させたかったからだな!」
「私?」「さ、くら?」
「ああ。こいつの話を聞いただろ?あの犯人は俺だ。」「なん、、ですって!」
「あの日は本当に愉しませてもらったな……
子を守る親を切り刻むのは心の底から興奮したな…くくく」
アリウムはあの日を思い出しているのか、どこか遠い所を見て、愉快そうに嗤っていた。
私の目の前は赤く赤くなったが、逆に言いたい言葉が消えた。
「外道、、」
「くくく その外道に騙されたお前は大馬鹿者だな。
どうだ?信頼していた味方に殺される気分は」「っ、、、人の命を、、なん、だと思っ、ているの?」
「道具だよ。それがなにか?」
「私の家族は……そんな理由で殺されたのか?
私と椿の約束は……お前みたいな奴に潰されたのか!!」
「さく、ら」
「私の…大切な人がまた……お前みたいな奴に奪われるのを黙って見過ごせるか!!」
私は刀を抜き、アリウムに向かったが、軽くいなされた。
「弱い弱い」
私は追加攻撃をしようとしたら、ビオラさんが魔法を使った。彼女の固有魔法は、転移魔法だった。
「ビオラさん!?」
ビオラさんの優しく暖かい笑顔が最後に、目の前の景色が孤児院に変わっていた。
 ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
「その後、孤児院の先生に『ビオラさんはいつ来るの?』という質問を何度も何度もした。先生たちは最初『忙しいから来れなくなった』とごまかしていたけど、私がある程度成長したら諦めて本当のことを教えてくれた。『亡くなった』ってね…」
「「「………」」」
「理事長…ビオラさんのその後を教えてくれませんか?」
「………はぁー、事情が事情だからな…
ビオラ先輩の死は世間には病死として発表した。元仲間だった黒ユリが事件を起こしたとなれば白ユリに混乱を招くからな。だから事件の真相を知っているのは、次期理事長候補の俺と数人しか知らない。ちなみに俺が理事長になるまで、真相を知る数人が理事長代理をして、4年前に正式に俺が理事長となった。」
「理事長代理?」
「ゴタゴタを処理するためには仕方なかったんだ」
「そうですか…」
「…ビオラ先輩の墓に案内しようか?」
「………やめておきます。」
「「「え?」」」
私は目を閉じ、大切な人を亡くした日と…しアリウムの嗤っていた顔を思い出した。
(ここまで話してしまったし、隠す必要もないか…)
「あの日、鎮火してすべての後処理が終わったあと、現場には骨ではなく灰しか残っていなかった……白ユリ団員曰はく、炎が強すぎたからだって。だから、この墓には……いろいろ混じった灰しか埋まっていないんだ……」
「っ…」「そんな…」「、ぅ、、」「……」
「なんだそれ…
私にはお墓に入れるものがないということか?
遺品は、この刀しかないということか?
…ふざけるな!!!
家族だけでなく、思い出も奪っていくのか!!!
アリウム
お前を、絶対に許さない。
何があろうと、この身が滅ぼうと、地獄の果てまで追いかけて、私の刀を取り返す。」
「「「桜!?」」」
「……ということで、こんな気持ちでビオラさんに会いたくないかな~」
ちょっと冗談っぽくして、話を締めくくった。
「その刀、椿さんのなんだよね。少し見せてもらっても良い?」
「良いよ」
そう言ってアヤに椿柄の刀を見せると、数秒してから目を輝かせた。
「椿柄なんだね~かわいい!………桜柄もいつか見てみたいね。」
「アヤ!」
アヤの言葉に柊が声を上げた。
(大丈夫だよ、柊。今更そんな言葉に気にしないって…)
「さ、桜。大丈夫ですか?わ、私のハンカチを使ってください。」
「え?すみれ、何を、言っているの?」
「き、気づいていないのですか………そんなに涙を流したら、目がはれてしまいますよ?」
私の手に何かが落ちた。それは
「なんで涙が……」
「やっぱり、桜は椿さんのことを今でも待っているんだよ。」
椿を待っている?
「違う!!私はもう、あきらめている……」
「でも、刀を大切にしているし、病室で椿さんの名前を呼んでいたし、それにここを案内してくれた時は椿さんの名前だけ躊躇していたよね。それって、今でも椿さんとの約束を信じているんでしょ?」
「っ……」
今まで、椿のことを待っていなかった日は一日も無い。
それでも、現実は残酷だった。
時間だけが過ぎていく日々に、焦りを感じ始めていて、少し疑い始めていた。
そんな時、治癒系魔法を持つ人がいると聞いた。
そして今日、そのひとに出会ったのだ。
期待しない訳がない。
「あの子が、もしかしたら椿じゃないかなって思ってしまった。
でも、違った。
相手はあのアリウムに忠誠を誓う黒ユリテトラ。そして、私に、、攻撃を、、、躊躇なくしてきた。
っ、、、やっぱり、いないのかな?、、、刀は、消えてしまった、、の、かな?」
「「「桜……」」」
「期待した私って、バカみたい。期待することを、やめられないのは、、もっとバカ、みたい、、っ……っ……」
___しばらくの間、墓場には静かな泣き声が響いていた。そして、桜の涙は夕焼け空をきれいに映していた。
これにて、2章は終わりです。
次から3章が始まりますが、次の投稿は少し遅くなると思います。
1か月以内には投稿しますので、3章もよろしくお願いします。




