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花たちは今日も元気に咲き誇る  作者: 椿想香
夏 過去に思いを馳せても、今は変わらない。
51/89

49燃え立った決別の日

この話は作者が書きたかった話の一つです。


投稿が遅れてしまい,すみません。

10年前


「勇者はわる者をたおして、国にかえりました。」

「そして、かわいい姫様とけっこんして、いつまでもしあわせに暮らしました。」

「「おわり」」

私と椿は寝る前にベッドの上で本をお互いに読み合うことが日常だった。

「この本面白かったね、桜」

「うん!また椿といっしょによみたいな~」

「今日はおそいから、また明日だね」

「やったー!楽しみだな~」

椿は本を片付けて、またベッドに戻ってきた。

「でんき消すね?」

「うん おやすみ椿」

「おやすみ、桜」

私はすぐに意識を深く深く沈めた。



いつもなら心地好い気分なのに、この日はザワザワとして苦しかった。だから、

「やめ~~~…」

「ぜったい~~おまえに~…」

「二人~~…」

大きな声が聞こえたとき、私は段々と目が覚めてきた。


(何を言っているの?…この声はお母さんとお父さんと……誰?)

「お願い~~~~は、見逃して!!」

「駄目だ。あいつは~~…」

「くっ…~~~」

(き、聞こえないか…

何かこわいな……これを聞きたいけど、聞きたくない。

どうしよう……あ、椿に聞いてみよう!)

「つば、、き?」

隣で寝ているはずの椿に声をかけようとしたら、そこには枕と布団しかなかった。

(椿?椿?どこにいるの?)

焦った私はベッドから立ち上がると…


ガシャン!!

「やめろ!!」


食器が割れるような、ガラスが割れるような、木材がへこんだような……とにかく大きな壊れた音とお父さんの声が聞こえた。


私は怖くなって、またベッドに腰を下ろした。

カチカチ、カチカチと歯がかち合う音がやけに大きく聞こえ、息も段々と荒くなっているのに気付くのが遅れた。


カチャ……

「!? 椿?」

そんなときに扉が静かに開いて、息の荒い椿が入ってきた。

「はぁ、はぁ、桜!…起きてたんだね?」

「う、うん、さっきね……それより椿はどこ「話は後。すぐに隠れて!」 へ?」

椿は私の戸惑いは無視して、ガサガサと両親からもらった刀を探していた。

「はぁはぁ、いいから早く………クローゼットに隠れるよ!」

刀を見つけるとすぐに、私が何か言う前に腕を引っ張られ、二人でクローゼットに隠れた。


「椿、下で何があったの?」

「……分からない。でも今は私を信じて静かにしていて…お願い、桜」

「……分かった。椿を信じる!」

私は椿に抱き着いて、耳を椿の胸にあてた。

ドクドクドクドクと早い曲だった。


しばらくそうしていると、臭いがした_とてもくさい臭い。

「ま、まさか……」

「椿?」

バンッ

「桜、今から走って逃げるよ!」

「に、逃げるって…」

(いったい誰から?)


椿は私の手をとって、物凄い勢いで階段を駆け降りた。

一階は…………………火の海だった。

「!?」

「やっぱり、か…」

「……お父さんとお母さんは?」

「………」

「…ここにいるの?」

「………」

「…ねぇ椿、答えて!!」

「そ、それは…」

ガタッ

何かが私たちの近くに飛んできた。……それは、

「「お父さん!!」」

血で全身が赤くなったお父さんだった。

「お父さん!ねぇお父さん!!」

「っ……桜、逃げるよ」

お父さんに駆け寄ろうとした私の手をつかみ、椿はまた走った。

「いや、いや、いや!お父さんが……まだお母さんがいるかもしれ「桜!!!!」 っ…」

椿は振り向いて、駄々をこねる私の頬を両手で押さえた。


「あとちょっとで玄関だから、桜一人で行けるよね?」

「へ?…でもお父さんとお母さんと椿が」

「しっかりしなさい!!今大事なのは桜の命なの!

金色で緑色の目の化け物は桜を狙っている!たぶん桜の魔法だと思うけど、くわしいことは分からない!だけど、あんな奴に捕まっちゃダメなことだけは分かる!

だから……だからお父さんとお母さんはあの化け物と戦って、そして……

分かった?桜は早く行きなさい!絶対に生きなさい!!」

椿はそう言って、私の背を玄関の方に向けて押した。

「椿、、椿といっしょなら行く!」

「それは、

『ガタッ』

……ごめん。それは出来ない。」

椿は音のした方を見て、近くにあった小さな本棚や物をこちらに来られないように積み上げはじめた。

「そんなことしなくていいから、早く逃げ」

「先に行って!私は大丈夫だから 私は絶対ここで死なない!死ねない!

だから、桜急いで!」

「本当に?」

「…うん。」

「…だったら、私と約束して! 私は椿の刀、椿は私の刀を持つ! そして、次に会うときにお互いの刀を返す!

この約束を絶対守って!」

涙がこぼれるのを我慢し、私はいつもより強く言った。

「………分かったわ 約束する」

椿は儚げに笑ってそう言った。

(その笑顔は……)



私は椿柄の刀をしっかりと握りしめて、走った。炎が自分の頬を撫で、腕を撫で、足を撫でても、構わず走った。

ようやく玄関の扉にたどり着き、ドアノブに手をかけた。

(大丈夫……大丈夫、大丈夫、大丈夫)

私は動きを止めずに外に出た。


扉は開けたままにして、数歩歩いた。

一歩歩くたびに力が抜け、5歩歩いたころには、すべての力が抜けて膝をついた。


周りには大人がたくさんいて、私を燃えている家から離した。ほかの大人たちは、白ユリ団や消防車を呼んでいるようだった。

「ああ…」

「家が崩れたか……」

「かわいそうに…」

「あそこの子供はまだ小さいだろ?」

後ろを振り向くと家が崩れていた。そして、扉が開いている玄関からはただただ赤い炎しか見えなかった。


「ぁ、、、、あぁ、、ああぁ、、、ぁぁぁあああああぁあああああぁぁあああああああああ~~~!!!!!!!!

お父さん!!!、、お母さん!!!、、、、、、椿!!!!!」

私は手を伸ばした。

届くはずもないのに、手を取るはずがないのに。

……意味なんて無いはずなのに燃え上がる家に向かって走っていった。

周りは止める。

でも私は泣き叫んで、暴れて、また手を伸ばした。


「椿、椿、椿ぃ~~!!!」

お父さんとお母さんは、さっきの様子と椿の様子で手遅れであることは、薄々気付いていた。

でも、椿は違う。数分前に私と約束をしたのだ。

だから、きっと、、、、生きている!!




また暴れようとすると、眩しい光が目に飛び込んできた。

私は驚いて目を閉じ、光が収まってから徐々に目を開けた。するとそこには、椿が目を閉じて立っていた。


(神様,お願いします。


どこかで笑っているのなら、

面白い本を読んでいるのなら、

好きな曲を聞いているのなら、

おいしものを食べているのなら、

きれいな花を見ているのなら、

この空の下で元気にしているなら、


椿が生きているなら、教えてください。


私はずっと待っています。

どんなに遅くても怒りません。

少し拗ねるかもしれないけど、ずっとずっと待っています。


だって約束したのです。

刀を返してくれるって、約束を。




椿、お願い。

早く、帰ってきて。)

その瞬間、椿が目を開け私の顔を見た。そして、にこりと微笑んだ。私は思わず手を伸ばして呟いた。

「…椿」



「「「「桜(君)!!!!」」」」

耳元から声が聞こえたので、目を開けた。そこでやっと、今まで昔の夢を見ていたということが分かった。

(まぁそうだよね~椿の笑顔が見れるなんて幻想でしかないか……。

視界がぼやけている……ということは私、泣いていたのか………恥ずっ!)

私はいそいで天井に伸ばしていた手で涙を拭いた。

「あ~えっと……確か決勝中に倒れたんだよね?」

頭を上げて、周りを見渡しながら言った。

「……ここは病室だ。決勝はまた後日となるだろうな。」

「そうですか」

アヤとすみれと柊と理事長がいた。

「桜、大丈夫?」

アヤは『何が』とは言っていないが、多分精神的なことだろう。

「…全然大丈夫だよ」

「で、でも、アヤと柊さんから聞きましたよ。その……決勝での出来事を…」

(この二人はあの場にいたのか…どうごまかそう……)

「それに、最近ミナバシ大会のために血を、寄付していたのでしょう?少し休みなさい。」

「これぐらい平気だって、柊~」

「っ……無理して笑わなくて良いって言ったのはあなたでしょう!」

「…柊?」

ごまかそうと笑って見せたら、いきなり柊に怒鳴られてた。

「いつもいつも他人のことばかり気にして、他人のために泣いて、他人のために笑うのに、、なんで自分のことは考えないの?決勝での様子や今の様子がどれだけ私たちを心配させているか、わかっているの?」

「ご、ごめん……柊」

どうすれば良いか分からなかった私は、とりあえず謝った。

「っ……私は、謝罪を求めているのではなくて………」

するとなぜか、柊は泣き始めて、そのまま病室から走って出て行ってしまった。

「柊さん!」

すみれは柊の後を追うように出て行った。

まさか柊が泣くとは思わず途方に暮れてしまったところに、理事長は口をはさんだ。

「お前、なんでこういう状況になったか理解できていないだろう?」

「は、はい……」

「はぁ~~……桜君はいままで,すみれ君や柊君に散々お節介をやいてきた。助けられた柊君は自分を助けた桜君を助けたいのに、本人が話そうとしないし、頼ってくれない。で、柊君はそんな歯痒い気持ちを我慢していたが、今回のことで桜君の問題が思った以上に根が深いと感じて、今回こそ助けたい、と決意した。しかし、目が覚めた桜君は何もなかったことにしようとしたので、柊君の怒りが爆発したってところだ。」

「そ、そうですか……(断定した言い方だから、魔法を使って柊の心を読んだのかな……)」

「いや~~あれは柊かわいそうだよ?桜」

「う、、、言われてみれば……そうな感じはします……(え、私が悪いの?)」

「本当に理解したか?」

「もちのろんですよ~(バレてる……でも、柊を泣かせてしまったことは反省しないとな…)」

「それで、桜。これからどうするの?」

「どうするって言われても…」

「先に言っておくが、このまま謝罪したって意味が無いからな」


トントン


「入っていいぞ」

「「失礼します」」

「すみれに……柊」

「桜。柊を含めた私たちに何か言うことは?」

「えーと……(アヤまでそちら側か)」

「いいわよ、桜。無理しなくて良いから、私が勝手に泣いただけだし……」


正直、過去の話はしたくなかった。自分が闇に沈んで二度と上がってこれなくなる気がしたからだ。でも、

(目を腫らした柊にこんな言葉を言わせたくないし、心配させたままにしたくない。)


「……理事長、すみませんが今から行きたいところがあります。外出許可をください。」

日は少し傾き始めていた。


次も一週間後に投稿したいな~と思っています。

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