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花たちは今日も元気に咲き誇る  作者: 椿想香
夏 過去に思いを馳せても、今は変わらない。
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47女の戦い(物理)6 

遅くなってすみません。


視点は竜胆、彩芽、桜となっています。

転移先の治療所にて…


腹に衝撃を感じてヤバイと思ったときにはもう、吹き飛んでいた。転移される直前、俺は久しぶりに恐怖という感情に出会った。…あいつ、鈴の目はそれぐらい怒りに染まっていたのである。

転移された場所は治療所(学園内にある学生、白ユリ団員専用の病院)のベットの上で、近くには医者と白ユリ団員がいた。怪我の具合などを見てもらい、最後にゼリーみたいな柔らかく透明な膜で覆われた小さなものを渡された。中には赤い液体が入っていて、噛まずに飲んだら胃の中で膜が溶けて液体が体に染みて怪我が治るらしい。数十分かかるので、しばらくここに安静にしているようにと言って、二人は出て行った。ここは個室なので、俺以外は誰もいなくなった。

窓の外を見ると、空は清々しいぐらい青く、少しムカついた。治療所は学園内にあるので、もちろんミナバシ大会の決勝の歓声はここまで届いて来る。俺は先程の試合を思い出し、ため息をついた。

「あ~あ……俺、カッコ悪いな~……」


コンコン

「し、失礼します。」

薬が効きはじめて痛みが大分落ち着いていた頃、ドアが開いた。なんと、すみれが来たのだ。

「す、すみれ!?」

「怪我、大丈夫ですか?……あやが重傷だねって言っていたので、居ても立ってもいられなくて…」

「そうなんだ…(余計な事をしやがって…後で覚えていろよ?彩芽)

怪我は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。

……………試合、見ただろ?…ほーんと俺、カッコ悪かったよね(すみれに幻滅されたかな…)」

「え、そうでしたか?私はそうは思いませんでしたが………………でも、竜胆さんの様子が、変でした。」

「様子が変?」

「はい……いつもの竜胆さんじゃない気がしました。あ、私が感じただけなので、、き、気にしないでください。」

いつもの俺じゃない、か………やはり俺はまだまだだな。

「ふふふ、あはははは」

「竜胆さん!?」

「ははは……すみれは凄いね。…確かにあの時、俺はいつもの俺ではなかったかな。」

「それは、どういう…す、すみません。私なんかが聞かない方が良いですよね?」

「……つまらない話だけど、聞いてくれる?」

「は、はい。」

すみれはその汚れ無き瞳をこちらに向けた。

「俺には、優しい両親がいたんだけど、父は俺が幼い頃に事故で亡くなったんだ。」

「そんな…」

「顔も覚えていないから悲しくはなかったんだ。…だけど、、母は違った。隠しているようだったけど、毎日泣いていたよ。でも、ある日ぱったりと泣かなくなったんだ。

その日から母は今まで以上に仕事に打ち込んだ。そして俺のことも尚一層愛してくれた。俺は母が悲しみから振り切れたんだと思って、嬉しかったし、俺もそんな母を支えようと頑張った。

だけど、そんな幸せな日々は母が倒れたことで終わったんだ。

病室で見た母は痩せていて顔色が悪く、弱弱しかった。いつもは服や化粧でごまかしていたんだろうね。…母は俺を見るとすぐにいつもの笑顔になった。

それを見て、瞬時に理解したんだ。この笑顔は、、我慢している顔だってことを。

涙、痛み、そして多忙な日々……。俺は、母が無理して、、強気な態度をとっていたことに気づきもせず、ただのうのうと過ごしていた。

結局、母は亡くなったよ、『ごめんね』という言葉を残してね……。

だから、あいつ…茜さんの無理した強気な態度に、イラっとしてね……つい言葉が過ぎてしまったんだ。

あとは知っての通り、鈴くんに怒られてしまったよ。あはは…」

「竜胆さんは、悪くないです!」

「え?でも母のこともあの試合も俺が…」

「違います!お母様が強気な態度をとったのは竜胆さんを安心させるためであって、竜胆さんを悲しませるためではありませんよ。それに、茜さん?にとった態度だって、お母様みたいに無理をして欲しくなくて忠告してだけではないですか!だから、絶対竜胆さんは悪くありませんし、カッコ良いですよ!!」

「!(言いたいことは沢山あるがそれよりも、、今カッコ良いって言わなかったか?)」

「っ!(わ、私、今なんて言いました!?)」

すみれの顔は段々と赤くなった。

「そうかそうか…俺はカッコ良いのか?」

「うっ……か、帰ります。お大事に…。」

そう言って、すみれは走って部屋から出て行った。

「ふ~~ん。脈は無し、ではないんだな? さてと、引き続き頑張るか。」

俺はクスリと笑って、窓の外を見た。

いつのまにか、空は綺麗な菫色に染まっていた。


◇◇◇


恋する男二人が転移されて、茜と桜だけがリンクに残された頃、彩芽の方では、

「………」

「す、すみませんでした!」

「それだけ?謝るだけで済むと思っているの?」

「え…彩芽さん、お、俺は何をしたら良いですか?」

「言ったでしょう?このこたちの餌になれ、てね?」

「いやいや、さすがにそれは…」

「あぁ?」

「はい何も言ってません!!」

木蓮の心が崖っぷちに立っていると、彩芽の目の前に何かが転移された。

「!…………ペロちゃん?…怪我が治ってる…」

『そうだよ。学園の人に治してもらったの。……それよりも、あや。人間を餌にしてはだめよ!』

「で、でも~…あいつが私の大事な友だちを食べようとしたんだよ!」

『それでも、だめ絶対!あやが私たちのために怒ってくれているのはうれしいけど、取り返しのつかない事をするのは良くないよ!』

「…分かった。………ふん、ペロちゃんに感謝しろよ?」

『……木蓮さん、あやは普段良い子だから、許してあげてね?』

「わ、分かった。…彩芽の友だちは傷付けないようにする。」

「……その言葉は本当?」

「ああ」

「それは良かった。」

私はカラスをたくさん呼んだ。次々とカラスが集まっていく様子に木蓮を引き付けている間に、ペロちゃんを会場から逃げてもらった。大分集まったところで、カラスたちに声をかけた。

「カラスさんたち、こいつに攻撃をして欲しいな~。やってくれる?」

『『『『『『『もちろん。』』』』』』』

バサバサ…バサバサバサバサバサ

「いって~~~~。カラスめ!」

木蓮が剣を振り回そうとしていたので、私はすかさず口を挟んだ。

「あっれ~?誰だっけ?私の友だちを傷つけないって言ったのは~~」

「っ!!ひ、卑怯だぞ?」

「男に二言は無し、だよね?」

「くっ…」

_絶対に許さないからな?木蓮。


◇◇◇


「うわっ…なぜかカラスが大量にいる……。あや、何しているんだ?」

「……そうね。(大方あの問題児のせいだろうけど…)」

私は茜さんと戦闘をしているところである。だけど、突然カラスが集まりだしたので目線があやに移動してしまったのである。

ガキンっ

「余所見するなんて、余裕なんでしょうね?」

「いやいや…。」

案の定、茜さんから攻撃してきたので正面から受け止めた。

茜さんは試合開始直後より迷いがない動きになった。鈴くんのおかげかは知らないが、強敵であることに変わりはない。私は少なくなってきている体力で、何とかしようと奮闘した。

茜さんは少し下がって剣を刀から離して、連続攻撃を仕掛けてきた。細剣は私の急所を次々と突いてくる。私は体をずらしたり、刀ではじいたりした。このままでは埒が明かないので、攻撃が左腕をかするのを承知で刀を相手の首一直線を狙った。慌てて防御するのが一般人だが、相手はただ後ろに下がるだけだった。

(目の前にきた剣をを吹っ飛ばそうと思ったのに…)

思い通りにはいかなかったが、隙ができたのは確かなので、私は刀を引き体を少し前に出して、相手の足を引っかけた。

「なっ…」

茜さんはそのまま後ろに倒れそうだったので、私は追加攻撃をするため近付き刀を向けようとしたが、細剣が私の額に突き出そうとしていた。(私を殺す気か?)私はすぐさま退避し、茜さんは態勢を戻した。

「茜さん…私を殺す気でしょう?」

「戦闘ですからね。」

「ははは…(怖い……)」


「さて、再開しま………」

茜さんと白熱した戦いを繰り広げているなか、…………不穏な空気がリンクに流れた。




『か、会場にいる皆様に連絡します。緊急事態が発生したため、白ユリ団員が避難指示を行います。皆様、どうか落ち着いて従ってください。繰り返します。緊急事態が~~』

とりあえず、何か良くないことが起こっているのが分かった。

「生徒たち、決勝は中止だ!今すぐリンクから退場しろ!!」

入場口を見るとそこには理事長が荒い息をしながら走っていた。

「て、転移魔法は…」

「それは無理だ!とりあえず走れ!!」

「「「「はい!!」」」」

あやたちは比較的入場口の近くだったが、私たちは遠い方だった。

「間に合わない…」

茜さんがそう零していた。それはそうだろう。だって、リンクの中心に、禍々しい黒いものが現れたのだから。



でも私は、それを目の隅に捉えたとき、時が止まった。


白ユリ団はそれを囲み始め、茜さんは走り続けたが、私は足を止めていた。



「「「桜(君)!!!」」」


あや、柊、理事長の声が聞こえたが、私は白ユリ団に紛れて中心部に走った。


ここから始まります。

何がって?それは次回のお楽しみに~!

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