44彩芽の友3
視点は彩芽です。
私は彩芽。固有魔法は動物と話すこと。読んで字の通り、攻撃力なんてほとんどない。
ましてや…
「おーい!どうした?構えないのか?」
この問題児に通じる訳がない!!
(ごっほん。現実逃避はここまでにするね?)
花清さんとネリネさんの決着がついたあと、風がなくなったーって油断していたら、奴が目の前に現れた。正確に言うと、近くにいた私に気付いてしまったのだ。
なぜ私は木蓮君の目線の先に立っていたのだろう…
「お前が動物を操る奴だろ?」
「違う!操ってない!
…貴方の魔法と違って私の魔法は攻撃魔法ではないわ。」
「そうか、それはすまなかった。さて、俺と勝負しろ!」
「…は?(え?私今、攻撃力はないって言わなかった?)」
「準決勝からお前と戦いたいと思っていてな!ちょうど良いだろ?」
「え…あの…(いやいや何も良くないから!!)」
(柊のとき、他人事のように観戦していたけど……ごめん柊!笑ってごめん!こいつ、想像以上に面倒くさい!!!!))
ということで、私は諦めて勝負をすることにしたのだった。
「む?お前の武器は……棒、なのか?初めて見たな」
「そうですね~」
私の武器は長さ2mの円柱状である菖蒲色の棒である。学園ではいろんな武器の使い方を学ぶ授業があり、まだ武器を決めていなかった私は色々受けた。少し前まで弓が良いと思っていたが、あの海の出来事でもう少し接近戦で戦える武器の方が良いと思い、変えることにした。戦闘に慣れていないのであまり接近しなくても良く、万が一にでも動物を傷付けないものが良いと思い、棒にすることにした。ちなみに予選・準決勝は魔法だけで臨んだため、武器を使った戦闘を全生徒に見せるのはこれが初めてだ。
「では、俺から行かせてもらうぞ!」
「どうぞ…(そこはレディーファーストだろ!)」
木蓮君は大剣に火を纏い向かってきたので、私は棒を横にして両手で受け止めた。
「はっはっは、俺の熱で溶けないのか!」
(こいつは武器を嘗め過ぎている。私たちは戦闘訓練を受けているのに、相手の魔法で武器が使えなくなっては日頃の成果が出せないだろう。)
相手の剣を両手で受け止めていても、力が強いせいか押され気味であった。そこで、私は魔法を使うことにした。_心の中であのこに声をかけた。
「(ラス君!ちょっと力を貸して!)」
「む?なんだ?頭の上に……カラスか?」
ラス君…一羽のカラスが私の作成通りに木蓮君の頭の上で小さな袋を持って飛んでいた。ラス君とは私が付けた名前である。このこはあの海で手伝ってくれたなかの一羽であのあとに話してみたら仲良くなったため、ここに引っ越ししたそうだ。学園で会ったときにそのことを教えてもらい、感謝の印として名前をつけたのだ。_ちなみに、これまでも仲良くなったこには名前を付けている。
「いてっ!……これは栗か?」
ラス君は袋の中身(鋭い刺をもつ栗)を木蓮君の顔にぶちまけた。
普通はこれで怯むはずだが、問題児は
「栗は焼けばおいしくなるのか?」
と言ってすべて燃やした。
(せっかく熊のベア君が頑張って集めてくれた栗を…)
私は少し怒りを覚えたが、気にせずにラス君に声をかけた。
「(ラス君!次は頭よ!)」
すると、ラス君は木蓮君の頭の上に乗った。
「っ!カラスか……頭が痛い…離れろ!」
さすがの問題児もカラスの爪は痛いらしく、意識がラス君に向き、火と力が弱まった。そこで、私は作戦を次に進めることにした。
私は木蓮君をリンク外に向けて押した。押して、押して、押して、押しまくった。しかし、あと一歩のところで木蓮君が今の状況に気付いてしまい、ラス君に剣を振るおうとした。
「ラス!逃げて!!」
命からがらラス君は逃げることができた。
ラス君に意識がいっているうちにリンク外に落としたかったが、無理そうなので次の作戦に。
「(みんな、お願いね?)」
今度の作戦は、水の中には魚や蛙がいっぱいいることに試合開始前に気付いたので、そのこたちに『リンク上に上がって木蓮君の服でも引っ張って意識をそちらに向けよう』というものだったが…
「魚と蛙か?おいしそうだな!焼いて後で食うか。」
「に、逃げて~」
(わ、忘れていた…こいつ火の魔法保持者だった。
でも、大丈夫。これは陽動(今決めた)。本命は…ペロちゃん!)
「何か絡み付いて…こ、これは!」
次の作戦はヘビのペロちゃんだ(雌だよ)。隙間からなんとか侵入してもらい、魚や蛙に構っているときに木蓮君の首に巻き付いたのだ。これで締め付けるか、毒を与えるなど、脅して降参に導けば……
「ヘビか。こいつもおいしそうだな!」
___問題児はただの問題児ではなかった。野生問題児であったのだった。
木蓮君は赤々と光る剣をペロちゃんに近づけた。
「ペロちゃん!!!!」
しかし、首に巻き付いていたせいか、避けきれずにペロちゃんのしっぽが少し…いや大分焼けていて、臭いがここまで漂った。そんな重傷を負ったペロちゃんは私の足元に来て、こんな作戦を考えた私を責めずにただ一言言った。
『失敗しちゃった……あや、ゴメンね。』
その瞬間、何かがプツリと切れた。
「おい。…さっきから黙って見てたが、何勝手に私の大事な友達を傷付けようとしているんだよ!!あと、『焼いて食う』?ふざけんな!!このこたちはお前の食べ物じゃねーんだよ!!なんならお前がこのこたちの餌となって、ペロに詫びろ!!!!」
木蓮はただただ目を見開いてこちらをじっと見ていた。
そしてペロちゃんは……なぜかすぐに転移されてしまった。
ということで、彩芽ブチギレ回でした。
次話も一週間以内に投稿したいと思います。




