43脳筋と腹黒とチャラ男2
視点は桜、竜胆、第三者となっています。
決勝戦の開始と同時に、花清さんが魔法を使った。準決勝の時とは比べられないぐらいの大きさの強風を放ったのだ。
リンク上は吹き荒れていて、出場者は防御に徹した。
会場も強風でビュービューと音が響き、観客は恐怖に陥った。客席は透明な壁の魔法で守られているため被害は出ていないが、さっきから壁がミシミシといっているのは気のせいだろうか…
(一歩も進めないなんて…)
風の強さに呆れていると、剣と剣がぶつかる音が聞こえた。
「この風、邪魔なんだけど。」
「あなたたちを邪魔しているのですよ~。」
「そう、じゃあ消して?みんなをぶった斬りたいから」
「神様に私の力を示したいから、嫌で~す。」
「そう…」
花清さんと(戦闘狂状態の)ネリネさんが強風のなか、戦い出した。
私は下手に動くとリンク外に出そうだったため、防御に徹することにした。
◇◇◇
「やあ、ストック君。元気ですか?」
「え…竜胆さん?よくこの強風で自然と歩いていられますね~!僕なんて、立っているだけでも大変なのに~~って!!」
俺はストック君の話を最後まで聞かず、攻撃した。
「り、竜胆さん!?さっきも思ったけど、僕に対して酷くないですか!僕何かしました?」
「……(俺に対しては)何もしてないよ。」
「それなのにこの扱い……さすがの僕でも泣きたい~」
「じゃあ泣け。…あ(口がすべったか…)」
「うわ~~ん!!竜胆っちって口悪いね…もしかしてそっちが素?」
「さぁ?どうでしょうね~」
「うわっ…(恐い)」
(失礼な…せっかく有償な笑顔をしてあげたのに。
まぁ良い。さっさとこいつを殺るか…)
俺は短剣を構えてクズに向かった。
「ちょっ……僕今、防御で必死なのに…」
「男だろ?このぐらいの風堪えてくださいよ。」
(クズの武器はサーベルか…。間合いはこっちの方が狭いが、防御に徹する相手では間合いなど関係ない。)
俺は遠慮なく(もともと遠慮する気はない)攻撃をした。
相手が簡単に倒れないように浅い傷口になるよう手加減をした。
「いてて…竜胆っち手加減してよ~」
「真剣勝負だから、仕方ないですよ。(手加減してるのにな~)」
俺は短剣だけの攻撃には飽きたので、クズの腹に回し蹴りをした。
ビュー……
「え?この強風のなか蹴り飛ばされたら、リンク外に飛ばされ……ない!?」
「なんだ…風止まっちゃったのですか…(タイミングが良いな。)」
どうやらあっち(花清とネリネ)の戦いに進展があったようだ。
俺は未だ状況が掴めていないクズの顔に向けて跳び蹴りをした。
「あう……普通、顔に跳び蹴りします?」
「男の顔なんで誰も気にしませんよ?(うわっ鼻血出てる…)」
「もー許しません!」
すると、クズは氷の杭を俺の足元に出現させた。俺はそれらを避けると、相手との距離が広がった。クズはそのタイミングを逃さず、自分の周りに杭を作った。これは…
「これで竜胆っちは僕の影は踏めませんよね☆」
「なるほど。(頭は軽そうだが考えているのか)」
「僕の怒りはまだまだですからね!」
クズは杭をただ出現させるだけでなく、俺の顔や腹を狙うように伸ばしていた。
全部避けるのは面倒なので、足元を狙う杭以外は短剣で壊すことにした。次々と出てくるが、そこまで大変ではなかった。
「かすり傷一つつかないなんて~…竜胆っち強すぎ~」
「…強いかどうかは知りませんけど……………………怒りは俺の方が上だ。」
「へ?」
俺は少し助走をつけ、そのまま近くにあった杭にのり、そこから飛んでクズを囲う杭の上に立った。
「こ、氷の杭の上に立てるの~!?」
普通の氷魔法では無理だったかもしれないが、クズを囲う杭は壊されないために固くしているだろうと予想して飛び乗ったのだが、どうやら予想通りのようだ。
腰ぐらいの高さの杭の上に乗ったので、当然相手を見下す形となった。
クズは恐怖のあまり顔が氷よりも青白くなっていたが、俺の知るところではない。
(俺のすみれに怪我させ、手を出したんだ。こんなもので済むんだから、俺の良心(笑)に感謝してほしいもんだ。)
俺は杭から飛び降り、クズの前に立った。
「ひっ…」
「くz…ストック、お前に一つ言いたいことがある。」
「な、なんでしょう?(素になった!)」
クズはなおいっそう青白くなった。
声は弱々しく、体は震えはじめ、歯のかち合う音がうるさくなった。
俺は短剣を振り上げて言った。
「今後一切すみれに手を出すな。分かったな?」
そして顔に向けて振り落とした。
ドサッ…
短剣を顔に刺さる直前で止めると、クズは膝をつき泡をふき、そのまま前に倒れた。もちろん、クズに触れたくなかったので俺は横に避けた。
その瞬間、俺を囲んでいた氷の杭が塵となり辺りに降り注いだ。
クズの死体(成りかけ)はすぐに転移され、そこには何も残ってはいなかった。
「メンタル弱すぎ…」
___否。竜胆が恐すぎるのである。
◇◇◇
数十分前
「貴方、素晴らしいですね~。この強風のなか、私に向かってくるなんて~。貴方を倒したら~、神様は私を褒めてくださるでしょう~。」
「あ?神様?ごちゃごちゃうるさいな!あたしは強い奴と戦えればそれで良い。だからそれを邪魔するあんたから倒す!」
熱心なリリウム様信者と戦闘狂がついに衝突してしまった。まさにこれこそ『混ぜるな危険』状態だろう。
この強風のなかだと普通は花清の方が優勢だが、今回は違った。
花清の大太刀に対し、ネリネは双剣(刃、約45cm)である。攻撃速度は当然小さい武器の方で、尚且つ相手は二本持っている。
こうして勝負はネリネの優勢に見えたが、花清はそんなに甘くはなかった。
ビュー……
花清は風を止めた。
「な!?」
ますますネリネが優勢になることはなく、膠着状態となった。なぜなら、花清は大太刀を振り回すときに、風も相手に向かって何発も放っているからだ。これによりネリネは避けながら攻撃をしなければならないので速度は落ちてしまうのだ。
「ちっ…邪魔くさい風たな!」
「神様は私に試練をお与えになった。私はこの試練に必ず打ち勝たなくては!」
二人はこのままでは埒が明かないと考え、いったん距離をとった。
そして深呼吸をし、しばらく二人の間に時間が流れた。
嵐の前の静けさ…なんてものはろくでもない。
花清は最初に放った強風よりも強い強風を大太刀に纏って構え、ネリネはまだ残っていたリミッターを解除して双剣を構えた。
互いの目が合った数秒後、リンクの中心で衝突した。
「「はああああぁぁぁ~~!!」」
火花は散り、風が吹き荒れ、会場中の空気を震わせた。
観客全員、言葉を飲み込んでただただ見ていた。
そして、永遠に続きそうだった二人の勝負は、ついに決着が付いた。
バンッ!!
衝撃音がした。
それは………リンク外の壁に人が押し付けられる音だった。
二人の力は同じくらいだったらしく、二人同時にリンク外に吹き飛ばされた。
バシャン…
そしてそのまま水に沈み、転移された。
観客は激しく戦っていた二人が突然脱落したことに、反応することができなかった。
ちなみにリンク上の生徒は…
「やっと、うるさいのが消えた。」
「あーちゃん、大丈夫かな?」
「はっはっは。やはり決勝は楽しいな!」
「風がなくなって、ラッキー!」
「目的果たしたし、次はどうするか…」
「今は防御に徹していたから、次から頑張ろう!」
緊張感など無いようだった。
個人的に「男だろ?」「男の子だろ?」という台詞がめちゃくちゃ好きです。
この台詞がアニメや漫画に出ると、気分が上がります。w
次回も一週間以内に頑張ります!




