40試合後8
残酷な描写があります。
視点は桜、第三者、桜となっています。
前半はシリアスだけど、すぐにいつも通りになるので、安心して(?)読んでください。
不言色の目を見た後、私は暗闇のなかにいた。とりあえず歩いてみる。すると、前の方から光が見えてきた。光の前までたどり着くと、私は足を止めた。
そこには家族三人が仲良く手を繋いでいた。笑い合いながら、とても幸せそうな顔をしていた。
その三人はようやく私に気付いて、こちらの顔を見た。
『桜?』
『こっちに来て話しましょう。』
『ほら、早く!早く!』
「父さん、母さん、、椿…」
『来ないなら行ってしまうぞ?』
『桜、行くわよ?』
『じゃあね!!』
「っ…行かないで!」
行きたいのに、そばに行きたいのに、なんで足が動かないの…
『…』
彼らは私の声が聴こえないのか、振り向いて光の方に歩きはじめた。
「ま、待って…お願い待って!私の声を聴いて!!」
それでも彼らは歩き続けた。
「お願い…私もそばに、、椿と話したいのに…」
すると椿が振り返った。私の声が届いたのだろうか。
「つば…………き?」
もう一度声をかけようとしたら、さっきまでの光が消えていた。
そのかわり、目の前の三人は、赤く、黒く、赤く、染まっていた。
両親は血まみれになった体をこちらに向けて、口から血を零していた。
「さ、く、ら…」
「つば、き……っ」
手を伸ばそうとしたら、三人を囲むように炎が燃え上がった。
「……い。……ない。………さない。…………許、さない。…許さない。許さない!絶対に許さない!家族を…大切な人をこんな目に合わせたお前を絶対に許さない!!!!
絶対に…お前を、アリウムを、殺す!
…絶対に、殺す!!」
私は燃え上がる炎を睨んで叫んだ。
これが現実でないと頭の片隅では分かっていたけど、殺意を止めることが出来なかった。
私の理性が消えていくなか、椿は赤い涙を流していた。
◇◇◇
「「「!?」」」
それは一瞬の出来事だった。
月見と藍草から血が噴き出し、その場に倒れた。
すぐに転移されたため、命に別状はないと思われる。
「さ、桜?私が見える?」
すいれんの呼びかけにも答えず、殺意に飲まれた桜色の目はすいれんを捉えると、すぐに斬りかかった。
「し、試合は終わった。お願いだから目を覚まして!!」
「……」
やはり懸命な少女の声にはなにも反応せず、攻撃の速度を速めるだけであった。
「っ……」
なんとか攻撃をしのいでいたが、ついに椿が描かれた刀はその少女の体を貫いた。
その瞬間は、白ユリ団が来たのと同時の出来事だった。
すいれんはすぐに転移されたが、桜色の生徒はまだ暴れようとした。
近くに白ユリ団がいるのに気づくと、攻撃を仕掛けてきた……いや、仕掛けようとした。
桜はそこでやっと目が覚めたらしく、攻撃をやめた。
そして刀を収め、目を閉じ、しばらく息を整えた。
そして…目を開けた。先程までの殺意などどこにもなかった。
「…怪我はありませんか?」
「…はい。ご迷惑をおかけしました…」
「では、この試合はあなたの勝利です。」
『この試合は桜の勝利とする。』
「え?」
「ちなみに、これは理事長や今戦った生徒の主張です。」
「(理事長の主張って…それ決定事項じゃん!)」
こうして、(ちょっと問題は起きたが)無事Eブロックは終了した。
◇◇◇
(『なんか分からないけど、生徒を傷つけたのに勝者となってしまった桜です。
いやー驚いたなー。月見君の目を見た瞬間、意識が持ってかれてね、記憶がないんだ。
そうそう。だから委員長と月見君を斬ったり、すいれん様を刺したりしたこと、全部全部記憶にないんだ~~。あはは~~~』
って出来たら良かったのに……。
記憶?バリバリあります。なんなら、斬った感触も覚えています。
あーあーあー。どうしよう。
今、三人が治療した(私の血を飲んだ)あと念のためベットに安静にしているらしい部屋の前にいます。
入って、謝りたいのだけど、、勇気が!!!
え?試合後?普通に先生に事情を詳しく話して、そのままここに直行したよ。
やっぱり、謝るなら早くしないとね…。でも、勇気がな~~~~。)
ポン
誰かが自分の肩に手を置いたので振り返って見ると、
「扉の前で何してるんだ?」
「え……ナンデココニ理事長が…」
「アフターケアだよ。お前のな。」
「う、、そうですか…」
「なになに『私のことを怖がっていたらどうしよう…』『絶対おこっているよね…なんて謝れば良いのだろう…』てか?」
「ち、ちょっと!!勝手に人の心を読まないでくださいよ!」
「あ、当たりなんだな?今適当に言っただけだが。」
「そ、そんな馬鹿な!!そんなに分かりやすく顔に出てました?」
「嘘だ。」
「っ…いくら理事長でも、やってよいことと悪いことが「元気でたな?」…」
「ほら、一緒にいてやるからさっさと入れ!」
「え、ちょ、心の準備~~」
バンっ
「さ、桜さん?」「桜?」「!…。」
「こ、こんにちは…」
「お邪魔するよ。」
「「「り、理事長」」」
「……ご、ごめんなさい!!
謝ってすむ話じゃないけど、私はあなたたちに攻撃し、あと一歩で死ぬような傷を負わせていて、恐い思いをさせた事実は…えっと…その……何をしようと消えない。だから、私のこと罵るとかして一生許さなくて良いから!というか、許さないで!」
私は土下…額を地面につけながら、誠心誠意謝った。
「「「………」」」「ふ…ふふ……」
三人とも黙っていたので、私は心のなかで泣きそうになっていた。
(これだけのことをしたのだから、仕方ないか…)
ちなみに笑いをこらえている理事長は無視することにした。
「「「………ふ」」」
何か聞こえたので、恐る恐る頭を上げると、
「ふふふ、」「あはは、」「ふ…。」
なぜか笑っていた。
「え、あの~」
「ご、ごめんなさい。気が抜けちゃって…」
「僕もごめん。何故か笑えてきて」
「あ、謝るのは…僕です…。そもそも、僕が魔法を、コントロール出来てたら…。」
「たしかに月見のせいではないと言い切れないけど、私が止められなかったのだから、私のせいでもあるわ。」
「それを言ったら僕もですよ?」
「ふふ…それではみんなのせいだな。」
「あ、あの!!怒ってないの?恐くないの?」
「全然」「いいえ。」「別に…。」「ふ、ふはははは」
(ど、どういう状況?)
「ふふふ。良かったな?桜君。」
「え、……(何も解決していないような…)」
しばらく笑い続けたあと、話を詳しく聞いた。
月見君曰く、あの魔法は対象の記憶によって影響が全然違うらしく、叫んだ生徒の嫌な記憶が相当なものだったかららしい。つまり、私の記憶は……いや考えないでおこう。みんなもあえて聞いてこなかったので。
そして勝敗は、いくら私の理性がなかったとはいえ三人とも瞬殺されたのですいれん様を含む全員が決勝を辞退したらしい、本当は四人でやり直す選択があったのにだ。それを聞いて、私は三人に大きな怪我を負わせてしまったので辞退しようとしたら、もう決まったことだと却下された。
「いやいや、ルールは二人が勝ち上がるのですよね?良いのですか?それに観客も見ていたので、それを変更するとなると…」
「ああ、観客のことは問題ない。見ていなかったからな」
どうやら私の様子がおかしくなったときから、カメラの不具合とか何とかごまかして、スクリーンに映していないらしい。
「えー…」
「一人いないところで決勝にそこまで影響はでない。」
ということで、私は決勝に進むようです。
「……怪我、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。」
「それにしても、治癒魔法は凄いね。」
「一瞬で…治ったらしいね…。」
怪我で気絶しているときに、私の血を飲ましたのだろうか。何はともあれ無事で良かった。
「今度治癒魔法保持者に会ったらお礼を言っとくぜ?」
「ほ、本当ですか?それではお願いします。」
「助かりましたと伝えてください!」
「…僕は……会ってみたいって……伝えて欲しいな……。」
(なんだこの空間…恥ずかしいし、居ずらい!!)
___今度こそ無事、Eブロックは終了した。
次も一週間以内に投稿したいです。




