39最後はEブロック7
長くなってしまいました。
視点は桜です。
Dブロックはあっという間に終わり、私は準決勝最後のEブロックに出るため、集合場所に今いる。
「次か~…」
周りは知らない人ばかり、ではなく、藍草委員長がいた。
藍草君。彼は私のクラス委員長で、こちらは本物の真面目で誠実な男子生徒である。どこぞの腹黒さんとは違う。みんなからも好かれ優しい良い人だが、ひとつ欠点がある。それは…
「あ、委員長!」
「こんにちは、桜さん」
「準決勝、自信はあります?」
「う~~んどうだろう…みんな強いからね。
でも藍ちゃんが応援しに来ているから、絶対カッコイイ姿を見せて『おにぃ、カッコイイ!』ってあの天使のような笑顔で言われるように頑張るよ!」
「あ、そうですか…」
「藍ちゃんはね~いつも『おにぃ、おにぃ』て呼んでくれてね、どこか出かけるときは手を繋いでくれたり、写真を一緒に撮ってくれたりするんだ。眠いときに近くにいると頭を肩にのせてくるんだ~。休日は僕のために料理を作ってくれてさ~。もうめちゃくちゃ可愛くない?あ、写真見る?確か~」
「あ、いえ…遠慮しておきます。」
このように、手の終えないシスコンな兄なのである。ちなみに妹の名前は藍という。
「え~。まあ今から試合だよね?仕方ない…。」
「ははは…(諦めてくれて良かった)」
『各々の転送位置に移動してください。』
「あ、では。」
「お互い頑張りましょう。」
私は転送位置に着いた。
『3、2、1、試合開始!!』
転送されたところはちょうど広いスペースがあるところだった。
「戦いやすい場所だし、誰か来るまでここにいようかな~」
私は相手が来るのを呑気に待つことにした。
ガサガサ…
しばらくすると、草が何かに擦れる音がした。
現れたのは…
「君は…桜さんだよね?」
「す、すいれん様!?」
なんと、あのすいれん様だった。
「あー……えっと……(どうしよう…)」
___さすがの桜も動揺をするのであった。
「気を使わなくて良いよ。君の予選を見たのだけど、本当に素晴らしい剣の腕だね。そんな君と戦えることを嬉しく思うよ。君と較べたら未熟だけど、私の相手をしてくれないだろうか?」
「……」
(え?今なんとおっしゃりましたか?私と勝負したいと言ったような…)
「私では力不足かな…」
「いえ、滅相もありません!!私なんかでよければ…し、勝負しましょう!」
シュンとしたすいれん様が見ていられなくて、反射的に受けてしまった。
「では、勝負『ガサガサ…』誰だ!!」
また音が聞こえたので振り返ると…
「え?委員長!?」
「先程ぶりですね、桜さん。すいれん様も居ましたか…」
藍草委員長も現れてしまった。
「えっと…(どうしようこの状況…)
とりあえず、桜です。よろしくお願いします。」
「すいれんだ。よろしくね。」
「藍草です。よろしく。」
「じ、じゃあ、三人で勝負しますか?」
「私は賛成だよ。」
「僕も異論は無いよ。…開始の合図はどうする?」
「うーん…あ! この石を誰かが投げて、地面についたら開始でどうでしょう?」
「「了解」」
「誰が投げます?」
「桜さんで良いですよ。」
「発案者だからね。」
(マジか…)
「……では僭越ながら。」
私は石を掴んだ。
すいれん様と委員長は等間隔になるように、円を作った。
そして、すいれん様は太刀を、藍草委員長は脇差を、そして私は打刀を構えた。
全員の準備が終わったのを見て、私は石を投げた。
ヒュ………コン
落ちたと同時に三人が走り出した。
ガッ
ちょうど円の中心で刀が火花を散らした。
「悪いけど、打ち合いには負けないよ?」
打刀はまだしも脇差は、太刀とは相性は悪い。
その結果、私と委員長は押され気味になった。
「勝負は今からですよ?」
そう言うと委員長は刀を手前に傾け、すいれん様のバランスを少し崩した。私も崩しそうになったため、いったん離れた。
委員長はそのまま流れるように斬ろうしたが、すいれん様は即座に刀を相手に向けた。
互いに距離が近かったため、すいれん様は腕に、委員長は頬に傷ができた。
二人が互いの傷に意識がいった瞬間、私は攻撃を仕掛けた。
近くにいたすいれん様に目掛けて斬りかかった。予想通り受け止められたので、その反動で後ろに跳び、委員長に回し蹴りをした。
相手は不意を食らったらしく、少しよろけた。
私はその隙を付こうと近づくと、前の委員長から刀を向けられ、後ろからはすいれん様が迫ってきたため、いったん右に待避した。
「あとちょっとだったのに~」
(あのあと攻撃が出来てたら、委員長を倒せたのに~。さすがに準決勝は厳しいか…)
「危なかった…」
「あんな動きをするなんて…」
ほんの数秒、三人の息だけが辺りに響いた。そして…
「「「じゃあ、続きをしようか?」」」
___偶然にも三人とも好戦的な性格であった。
今度は委員長が私に仕掛けてきた。
距離が一瞬で縮められ、私は攻撃に備えて刀で防御するしか出来なかった。
委員長はすぐに刀を振り下ろし、なんとか受け止めることが出来たが、重みが予想していたより重く、足が後ろに下がった。
「くっ…」
「ここまで粘るとは凄いですね。」
移動速度が速まり、力が強くなっている。今まで手加減をしていた、という考えもあるけど、もしかしてこれは…
「魔法?」
「…正解。さすが桜さん。」
(身体強化というところか…今の場面では厄介すぎる。)
私がギリギリで受け止めていると、すいれん様の蔦が委員長の足に巻き付いていた。
「いつの間に!」
すいれん様は動揺している委員長に後ろから近づき、攻撃を仕掛けた。魔法を使っている委員長はそれを軽々しく受け止めた。
ということは私に向いていた刀がすいれん様に向けられたので、私は二人に向かって攻撃をした。打ち合いをしている二人の真ん中に入れるように体を小さくし、そのまま突撃をした。二人は私の行動が読めないらしく、防御に意識をすることが出来ていなかった。私はこれ幸いと、二人の腹に傷を作った。
私が通り過ぎると、私の刀には血が付いていて、そして後ろから、血の臭いが漂ってきた。
「大丈夫ですか?」
「君は大丈夫に、、見えるかい?」
「ゆ、油断した、、」
「ははは…」
二人の傷はそこまで出血はしていなかったので、大したダメージを食らっていない感じだ…。
(マジか…これでどっちか脱落して欲しかったのに…)
おそらく、二人は少しでも傷を浅くしようと、体を反らしたのだろう。
(…あの一瞬でそれをするなんて。やっぱりこの二人は凄いな。)
「そろそろ降参します?」
「うーん。さすがに無傷な相手を前に下がりたくないけど…」
「その相手が強すぎるからな…」
「この二人に言われると、なんか…良い気分になります!」
「「ははは…。」」
「おしゃべりはここまでにして…。」
「決着がつくまで、やりますか。」
「望むところです!」
三人とも十分な距離がとれたところで戦闘を開始しようとすると、近くで叫び声が聞こえた。
「ぎゃああぁぁぁ~~~~!!」
「な、なに?」
「どうみても異常な声だよね?」
そうなのだ。何かに驚くようなものだったら、気にしないで戦闘を続けていたのだが、どうみても異常なことが起こっている。
「僕が様子を見に行きますか?」
「いや、ここは先生方に任せる方が良いと思う。」
数秒待っていると、アナウンスが流れた。
『戦闘不能と判断した生が居たため、転移しました。』
「え?」
「試合続行のようですね…」
「何も問題は無いと判断したのかな?」
私たちは考え込んだが試合は続いているため、とりあえず決着をつけることにした。
いざ始めようとすると、またまた草が何かに擦れる音がしたので振り返ると…
「生徒…いた…。」
「月見か…」
「わあ~…すいれん様だ…。」
小柄な男子生徒が現れた。
「す、すいれん様。この生徒は?」
「私と同じクラスの月見だ。」
「僕は月見…よろしく、ね…。」
「桜です!」
「藍草です。よろしく。」
「彼は少し人見知りをする性格で、おとなしい生徒だ。彼のペースに合わせてくれると助かる。」
「分かりました。あ!そういえば、月見君はあの叫び声が何だったか知っている?」
「ちょうど彼の現れた方向から聞こえました。」
「何か知っているか?月見」
「……うん…。」
「本当!?」
「良ければ、教えてほしい。」
「私からも頼む。」
私たちは月見君に駆け寄った。
「…あの、叫び声はね……僕の、、魔法のせいなんだ…。」
「「「え?」」」
月見君は不言色(黄色系)の目を光らせて、私たちの目をじっと見つめた。
「なにを言って、、」
「っ……」
「頭、、が、痛い、、」
突然私を含めた三人に頭痛が襲った。
「この、、痛みは?」
そんな中、一人だけ質問に答えた。
「僕の魔法は、人にある記憶を思い出させること…。
今まで、楽しい記憶や恥ずかしい記憶だけ…見せてた…。
今回は…準決勝だから……嫌な記憶を……見せた…。
最初は、上手くコントロールできた……。
でもさっきの人は……悪夢を見た…らしい…。
なんでだろう…あんな反応は今までなくて……どうしたら良いか、分からなくて…。」
月見君は今、気が動転していて、無意識に魔法を使ってしまったのだろう。
「そう、、か、。月見、魔法を、止められるか?(月見が落ち着いたせいか、頭痛が大分収まったな。)」
「う、うん!…今やってみる…。」
「おや、頭痛がやんだようだね。」
「私もだ。月見、よくやった。」
「あ、ありがとう……でも、僕のせいでごめんね?…。」
「気にするな。今反省したら明日につながる。」
「うん!…。」
「…ところで、桜さん?大丈夫か?」
「…………」
「さ、桜?」
「ま、魔法は…解除した、はず…。」
「……す」
「「「???」」」
「…ぜ……ろす。」
「桜さん!!」
「(あきらかに様子がおかしい。息使いもあらいし。それに殺気が…)」
「絶対に、殺す。」
「「「!!」」」
___桜は先程までうつむいていた顔を上げた。
その目には、あるもの以外なにも映っていなかった。それはすいれんでも藍草でも月見でもない。
殺したいほど憎む人物しか、映ってはいなかった。
次も一週間以内に投稿したいとおもいます。




