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花たちは今日も元気に咲き誇る  作者: 椿想香
夏 過去に思いを馳せても、今は変わらない。
41/89

39最後はEブロック7

長くなってしまいました。


視点は桜です。

Dブロックはあっという間に終わり、私は準決勝最後のEブロックに出るため、集合場所に今いる。

「次か~…」

周りは知らない人ばかり、ではなく、藍草委員長がいた。

藍草(あいぞう)君。彼は私のクラス委員長で、こちらは本物の真面目で誠実な男子生徒である。どこぞの腹黒さんとは違う。みんなからも好かれ優しい良い人だが、ひとつ欠点がある。それは…

「あ、委員長!」

「こんにちは、桜さん」

「準決勝、自信はあります?」

「う~~んどうだろう…みんな強いからね。

でも(らん)ちゃんが応援しに来ているから、絶対カッコイイ姿を見せて『おにぃ、カッコイイ!』ってあの天使のような笑顔で言われるように頑張るよ!」

「あ、そうですか…」

「藍ちゃんはね~いつも『おにぃ、おにぃ』て呼んでくれてね、どこか出かけるときは手を繋いでくれたり、写真を一緒に撮ってくれたりするんだ。眠いときに近くにいると頭を肩にのせてくるんだ~。休日は僕のために料理を作ってくれてさ~。もうめちゃくちゃ可愛くない?あ、写真見る?確か~」

「あ、いえ…遠慮しておきます。」

このように、手の終えないシスコンな兄なのである。ちなみに妹の名前は(らん)という。

「え~。まあ今から試合だよね?仕方ない…。」

「ははは…(諦めてくれて良かった)」

『各々の転送位置に移動してください。』

「あ、では。」

「お互い頑張りましょう。」

私は転送位置に着いた。


『3、2、1、試合開始!!』


転送されたところはちょうど広いスペースがあるところだった。

「戦いやすい場所だし、誰か来るまでここにいようかな~」

私は相手が来るのを呑気に待つことにした。


ガサガサ…


しばらくすると、草が何かに擦れる音がした。

現れたのは…

「君は…桜さんだよね?」

「す、すいれん様!?」

なんと、あのすいれん様だった。

「あー……えっと……(どうしよう…)」

___さすがの桜も動揺をするのであった。

「気を使わなくて良いよ。君の予選を見たのだけど、本当に素晴らしい剣の腕だね。そんな君と戦えることを嬉しく思うよ。君と較べたら未熟だけど、私の相手をしてくれないだろうか?」

「……」

(え?今なんとおっしゃりましたか?私と勝負したいと言ったような…)

「私では力不足かな…」

「いえ、滅相もありません!!私なんかでよければ…し、勝負しましょう!」

シュンとしたすいれん様が見ていられなくて、反射的に受けてしまった。

「では、勝負『ガサガサ…』誰だ!!」

また音が聞こえたので振り返ると…

「え?委員長!?」

「先程ぶりですね、桜さん。すいれん様も居ましたか…」

藍草委員長も現れてしまった。

「えっと…(どうしようこの状況…)

とりあえず、桜です。よろしくお願いします。」

「すいれんだ。よろしくね。」

「藍草です。よろしく。」

「じ、じゃあ、三人で勝負しますか?」

「私は賛成だよ。」

「僕も異論は無いよ。…開始の合図はどうする?」

「うーん…あ! この石を誰かが投げて、地面についたら開始でどうでしょう?」

「「了解」」

「誰が投げます?」

「桜さんで良いですよ。」

「発案者だからね。」

(マジか…)

「……では僭越ながら。」


私は石を掴んだ。

すいれん様と委員長は等間隔になるように、円を作った。

そして、すいれん様は太刀を、藍草委員長は脇差を、そして私は打刀を構えた。

全員の準備が終わったのを見て、私は石を投げた。


ヒュ………コン


落ちたと同時に三人が走り出した。


ガッ


ちょうど円の中心で刀が火花を散らした。

「悪いけど、打ち合いには負けないよ?」

打刀はまだしも脇差は、太刀とは相性は悪い。

その結果、私と委員長は押され気味になった。

「勝負は今からですよ?」

そう言うと委員長は刀を手前に傾け、すいれん様のバランスを少し崩した。私も崩しそうになったため、いったん離れた。

委員長はそのまま流れるように斬ろうしたが、すいれん様は即座に刀を相手に向けた。

互いに距離が近かったため、すいれん様は腕に、委員長は頬に傷ができた。


二人が互いの傷に意識がいった瞬間、私は攻撃を仕掛けた。

近くにいたすいれん様に目掛けて斬りかかった。予想通り受け止められたので、その反動で後ろに跳び、委員長に回し蹴りをした。

相手は不意を食らったらしく、少しよろけた。

私はその隙を付こうと近づくと、前の委員長から刀を向けられ、後ろからはすいれん様が迫ってきたため、いったん右に待避した。

「あとちょっとだったのに~」

(あのあと攻撃が出来てたら、委員長を倒せたのに~。さすがに準決勝は厳しいか…)

「危なかった…」

「あんな動きをするなんて…」

ほんの数秒、三人の息だけが辺りに響いた。そして…

「「「じゃあ、続きをしようか?」」」

___偶然にも三人とも好戦的な性格であった。


今度は委員長が私に仕掛けてきた。

距離が一瞬で縮められ、私は攻撃に備えて刀で防御するしか出来なかった。

委員長はすぐに刀を振り下ろし、なんとか受け止めることが出来たが、重みが予想していたより重く、足が後ろに下がった。

「くっ…」

「ここまで粘るとは凄いですね。」

移動速度が速まり、力が強くなっている。今まで手加減をしていた、という考えもあるけど、もしかしてこれは…

「魔法?」

「…正解。さすが桜さん。」

(身体強化というところか…今の場面では厄介すぎる。)

私がギリギリで受け止めていると、すいれん様の蔦が委員長の足に巻き付いていた。

「いつの間に!」

すいれん様は動揺している委員長に後ろから近づき、攻撃を仕掛けた。魔法を使っている委員長はそれを軽々しく受け止めた。

ということは私に向いていた刀がすいれん様に向けられたので、私は二人に向かって攻撃をした。打ち合いをしている二人の真ん中に入れるように体を小さくし、そのまま突撃をした。二人は私の行動が読めないらしく、防御に意識をすることが出来ていなかった。私はこれ幸いと、二人の腹に傷を作った。

私が通り過ぎると、私の刀には血が付いていて、そして後ろから、血の臭いが漂ってきた。

「大丈夫ですか?」

「君は大丈夫に、、見えるかい?」

「ゆ、油断した、、」

「ははは…」

二人の傷はそこまで出血はしていなかったので、大したダメージを食らっていない感じだ…。

(マジか…これでどっちか脱落して欲しかったのに…)

おそらく、二人は少しでも傷を浅くしようと、体を反らしたのだろう。

(…あの一瞬でそれをするなんて。やっぱりこの二人は凄いな。)


「そろそろ降参します?」

「うーん。さすがに無傷な相手を前に下がりたくないけど…」

「その相手が強すぎるからな…」

「この二人に言われると、なんか…良い気分になります!」

「「ははは…。」」

「おしゃべりはここまでにして…。」

「決着がつくまで、やりますか。」

「望むところです!」

三人とも十分な距離がとれたところで戦闘を開始しようとすると、近くで叫び声が聞こえた。


「ぎゃああぁぁぁ~~~~!!」

「な、なに?」

「どうみても異常な声だよね?」

そうなのだ。何かに驚くようなものだったら、気にしないで戦闘を続けていたのだが、どうみても異常なことが起こっている。

「僕が様子を見に行きますか?」

「いや、ここは先生方に任せる方が良いと思う。」

数秒待っていると、アナウンスが流れた。


『戦闘不能と判断した生が居たため、転移しました。』

「え?」

「試合続行のようですね…」

「何も問題は無いと判断したのかな?」

私たちは考え込んだが試合は続いているため、とりあえず決着をつけることにした。

いざ始めようとすると、またまた草が何かに擦れる音がしたので振り返ると…


「生徒…いた…。」

「月見か…」

「わあ~…すいれん様だ…。」

小柄な男子生徒が現れた。

「す、すいれん様。この生徒は?」

「私と同じクラスの月見(つきみ)だ。」

「僕は月見…よろしく、ね…。」

「桜です!」

「藍草です。よろしく。」

「彼は少し人見知りをする性格で、おとなしい生徒だ。彼のペースに合わせてくれると助かる。」

「分かりました。あ!そういえば、月見君はあの叫び声が何だったか知っている?」

「ちょうど彼の現れた方向から聞こえました。」

「何か知っているか?月見」

「……うん…。」

「本当!?」

「良ければ、教えてほしい。」

「私からも頼む。」

私たちは月見君に駆け寄った。


「…あの、叫び声はね……僕の、、魔法のせいなんだ…。」

「「「え?」」」

月見君は不言色(黄色系)の目を光らせて、私たちの目をじっと見つめた。

「なにを言って、、」

「っ……」

「頭、、が、痛い、、」

突然私を含めた三人に頭痛が襲った。

「この、、痛みは?」

そんな中、一人だけ質問に答えた。

「僕の魔法は、人にある記憶を思い出させること…。

今まで、楽しい記憶や恥ずかしい記憶だけ…見せてた…。

今回は…準決勝だから……嫌な記憶を……見せた…。

最初は、上手くコントロールできた……。

でもさっきの人は……悪夢を見た…らしい…。

なんでだろう…あんな反応は今までなくて……どうしたら良いか、分からなくて…。」

月見君は今、気が動転していて、無意識に魔法を使ってしまったのだろう。

「そう、、か、。月見、魔法を、止められるか?(月見が落ち着いたせいか、頭痛が大分収まったな。)」

「う、うん!…今やってみる…。」

「おや、頭痛がやんだようだね。」

「私もだ。月見、よくやった。」

「あ、ありがとう……でも、僕のせいでごめんね?…。」

「気にするな。今反省したら明日につながる。」

「うん!…。」

「…ところで、桜さん?大丈夫か?」

「…………」

「さ、桜?」

「ま、魔法は…解除した、はず…。」

「……す」

「「「???」」」

「…ぜ……ろす。」

「桜さん!!」

「(あきらかに様子がおかしい。息使いもあらいし。それに殺気が…)」




「絶対に、殺す。」




「「「!!」」」

___桜は先程までうつむいていた顔を上げた。

その目には、あるもの以外なにも映っていなかった。それはすいれんでも藍草でも月見でもない。

殺したいほど憎む人物しか、映ってはいなかった。



次も一週間以内に投稿したいとおもいます。

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