29予選は苦戦?2
バトルだけどバトルじゃない…です。
開始と同時に相手が動き出した。
事前の調査で相手の魔法はどちらも移動速度を上げる、というものであると分かっていた。こんな魔法を持つ二人なら速攻を仕掛けると容易に予測できたので、私たちはそこまで驚かなかった。
「桜!」
「分かってるって、柊」
私は柊と目を合わせずに返事をし、向かって来た相手に、刀に手を添えて近づいた。
相手は私たちを離して1対1に持ち込む様子だったので、私たちはそれに乗ることにしたのだ。
柊と十分な距離が取れた所で私は刀をぬいた。相手も自身のサバイバルナイフを構え、そして口を開いた。
「悪いけど、どんな魔法を持っているか分からないあんたから脱落してもらうぜ」
彼の言う通り、私は人前で魔法を使わない。そのため、数日前から調査していたらしいが、彼の様子から何も情報を得られなかったのだろう。そして『どんな魔法でも先に倒したら問題無い!』という考えにたどり着いた、と………これはテキトーすぎだろ!?
「桜!!!!」
心の中で愚痴をこぼしていると、柊が聞いたことのないぐらいの声量で叫んだ。
(マジか…)
後ろから凄い勢いで誰かが近づいてきていた。_その誰かが柊だったら良かったのだが…現実はそう甘くは無かった。
なんと、後ろから来たのはサバイバルナイフを持ったもう一人の相手だった。つまり私は、挟みうちになっているのだ。
相手は持ち前の速さで攻撃を仕掛けるために私に近づいた。そして自ら入ってきたのだった__私の間合い(テリトリー)に
それからの展開はお察しの通りです。獲物…違った。敵がわざわざ間合いに入ってきたので、私は遠慮無く刀を振った。相手はまさか攻撃できると思わず(普通は早過ぎて攻撃出来ないらしい…)、一人は攻撃をもろに食らって少し飛ばされ、戦闘不能。もう一人は味方が脱落したのを見て一旦下がろうと慌てて、私に背を見せたので、その隙を私はこれまた遠慮無く近づき、後ろから刀を相手の首筋にあてた。
…ゴクリっ
ぽた…ぽた…
相手は恐怖のあまり息を呑んだ。その行動のせいで少し皮膚が切れ、赤い血が刀を伝って地面に落ちた。
『試合終了!!!!
一方のペアが戦闘不能と判断したため、この試合は桜・柊ペアの勝利とする。
動ける人は退場してください。』
私は刀についた血を払い、鞘に収めた。その瞬間相手は崩れ落ちたが私のせいではないだろう。そうそう私のせいじゃない。血が出たのは相手が悪かったからだ!
バシッ
「いって~!柊ひどい~!
試合頑張った私の頭を叩くなんて!!」
「…加減というものを知らないのかしら?桜」
「えー…あれ私が悪く「さ~く~ら~?」あ、はい。すみません。私が悪かったです。」
「はぁ~。全く心配して損した…」
「え、心配?柊が私を心配?やった!うれしい!今日は赤飯だ~~!!」
「……はぁ。私は桜が予想以上に剣の腕が良くて驚いたわ」
「ふふん!まー、昔からやっているからそれなりになっているかな~」
「そのどや顔が無ければ素直に尊敬できるのに…」
「え、尊敬?柊が私を尊敬?やった!うれしい!今日はせ「さっさと退場するわよ」…」
セリフを遮られてショボーんとする桜であった。
近いうちに次話を投稿したいと思います。(希望)




