22海と緑と水と桜5
幸いなことかどうかは分からないが、意識は失わなかった
しかし手足に力が入らなくて、体を起こすことができないようだ
「柊!!」
「柊さん!しっかりしてください!」
アヤメが私を上向きにし、怪我の状態を見ているようだ
因みに蔦は私を刺したあとに消滅したため、辺りは砂浜と私たちと匪黒さんだけで、さざ波の音が響くだけだった
「傷口が大きいせいか、血がなかなか止まらない!
すみれ!押さえる物持っていない?」
「あ、ハンドタオルならあります」
「ありがとう ……っまだダメか…」
「…もう…いいわ…」
『自分の死は自分がよく分かる』
確かにそう思う
段々と自分の意識が遠退くのを感じている
「ひ、柊さん!!」
「…わたしはもう死ぬ…と思うから…ほっといて…」
「諦めないで!!柊はまだ、生きているんだよ!
応援が来たら絶対助かるよ!」
「そうですよ、柊さん」
「ははは…」
アヤメの言葉に弱々しい声で答えた
多分、二人の顔を見る限り分かっているのだろう …私が助かる可能性が低い、と
「私は…小さい頃から盗みをしてたの……魔法で人を殺したことがあるの…
私がここで死ぬのは自業自得よ…」
「…仮にそうだとしても柊がここで死んでいい理由なんて無い」
「そうですよ、柊さん
今は応援が来るまで安静にしていましょう」
「…私は…あなたたちを信じて、いなかった…疑っていたのよ だから…自分の魔法を…言わなかった…」
「「…」」
「怖かった、……また裏切られるのが……また人を殺すのが…
…ふ こんな、自分勝手なやつは…死ぬべきだね…」
ザザー ザザー…
いよいよ瞼が重くなり、閉じようとすると…誰かが近づいてきた
「私もだよ、柊」
いつのまにか近くにいた少女、桜が微笑んでそう言った
「私は…皆に嘘をついた」
彼女は鞘から椿がデザインされた刀を出した
「桜?」
「桜さん?」
(……嘘?)
私が混乱していると、彼女はその刀で手首を切った…
「「「は?!!」」」
そして手首から流れた血を私の傷口に垂らし始めた
すると先程まで流れていた血は止まり、傷口は閉じた
痛みはまだ多少残っているが、遠退いていた意識は戻ってきた
ザザー ザザー ザザザー…
波の音が先程よりも大きく聞こえた気がした
「私の固有魔法は、自分の血で他人の傷を癒すことなんだ」
やっとここまで書けたー という気持ちです。




