21海と緑と青と赤い薬4
桜方では…
敵は10人…リーダー格が麻見という人か…
そして全員苦無を持っている
「そこのあなた 大人しく人質になってくれない?
今なら大切に扱ってあげるよ♪」
「…ごめんなさい
柊に迷惑をかけたくないので…」
(この人たちは柊とどういう関係なんだ?敵でいいよね?)
「仕方ない……命令よ!その子を捕まえなさい
ああ、命はとらないようにね」
私を囲んでいた敵は一斉に切りかかってきた
…どうやら手加減はしないようだ
(10人一斉に攻撃、か…)
□□□
(麻見さん視点)
柊の知り合いの子がまさか目の前にいるとは…
まあ…人質は多くても困りはしないから捕まえておきますか…
そして私は彼らに命令をだした
(こんなガキ1人に10人は大人げないかもしれないけど…まあいいでしょう)
私は用が済んだと思い彼女に背を向けた
「っ!」
瞬間、背中から殺気を感じたので思わず振り向くと、血のついた桜色の髪が、目の前で揺れているのが見えた
そして私の意識はここで消えた………
□□□
少女は麻見が背を向けたあと、腰近くにあった刀を構え、次々と殺さない程度に斬っていった
そして麻見が少女を見たときにはもう、彼女を斬っていた
返り血を浴びた少女はその後、何事も無かったかのように飲み物を買い、柊たちのもとへ急いで向かったのだった
後ろには足跡と血を残して……
(そんなバカな…)
確かに固有魔法には治癒系はある
しかし治癒系は珍しく、そして重要なもののため、白ユリでは国に報告しなければならない
なぜなら、黒ユリが治癒系の固有魔法を手に入れようとしているからだ
まだ目的は分からないが、そういう背景で国は治癒系魔法の保有者を守る必要があり、現れたら国は国民に『治癒系魔法を保有する者がいる』と通達する
現在白ユリには1人いる
だか盗賊団にも1人いるとは…誰も予想していなかっただろう
それぐらい珍しい固有魔法なのだ
「盗賊団に治癒系魔法があるとは……」
「あ~~…別に説明してもいいかな~…
これは盗賊団の誰かの魔法ではない
『黒ユリテトラ』の1人、シオン様の能力だ」
黒ユリテトラ…
黒ユリは人口は白ユリと比べて少ないが、戦闘に優れているものが多く、特に優れていて・強力な固有魔法をもち・ボスに忠誠を誓っている4人のことを畏怖や尊敬を持ってこう呼ばれている
ここで黒ユリテトラが出てくるということは…
「俺たち盗賊団はここで長年上手いこと稼いでいたら、ボスから声がかかった」
『お前たちの活躍は十分に聞いている
白ユリでもっと大暴れしてみる気はないか?
こちらに付くならば力を貸してやろう』
「いや~あの時の感動は今でも思い出すよ…
あの方は…ボスは素晴らしい人だよ」
「…それでさっきの赤い薬は貸して貰った力ですか?」
「ああ、そうさ
薬1錠では小さい傷を癒すだけだが、何錠かをまとめて飲むと効果は上がってさっきのような傷ならば癒すことができる
その赤い薬を毎月100錠ずつもらえるのだ」
「っ…治癒系は厄介だね、柊」
「ええ…そうね」
「どうしましょう…」
「それでも………敵は絶対倒す!」
私たちは丸腰である匪黒さんに向かって攻撃しようとすると6本の蔦が出現した
「ここからは本気で行くからな」
6本の蔦は先程のように…いや先程より早い動きになって私たちに向かってきた
最初に捕まったのはすみれだった
すみれはどうしても私より機動力がなく、魔法を使う前に2本の蔦に動きを止められた
「すみれ!…っ」
次にアヤメが…
アヤメに向かってきた2本の蔦は矢の攻撃が届く前にアヤメを捕まえた
そして私は連戦の疲れが溜まっていたせいか先程より早い動きをする蔦から逃れることが出来なかった
蔦は手を巻き込むように腹辺りでぐるぐると巻かれていて、段々と締め付けられていた
…しかし、幸いなことに足は地面についていた
(まだチャンスはある!)
私は先程の固有魔法(足裏に水を噴射)を使って速攻を仕掛けたが、………6本目の蔦に捕まってしまった6本目の蔦は棘があり、私の体から血が零れだした
匪黒さんは私たちを空中に浮かした
一応足や手をばたつかして抵抗したが無意味に終わった
「案外呆気ないものだったな~
…柊、最後にもう一度聞く
俺と一緒に…黒ユリ(・・・)に協力しないか?」
「絶対に、嫌です」
「そうか…なら仕方ないな」
そう言って匪黒さんはより一層蔦に力を入れた
「っく…」
より一層私の体から血が流れた
「ひ…いらぎ…さん…」
「っ……お…願い…(みんな力を貸して!)」
バサバサっ バサバサ…
私が目を閉じて痛みに耐えていると、近くで音がしたので目を開けてみた
すると海からカモメが…反対からカラスが翔んできた
カモメは匪黒さんに群がり、こちらから姿が見えないぐらいにカモメで覆われていた
するとカラスは私たちのほうに来て、器用に蔦を引きちぎり始めた
蔦が切れ、受け身をして地面に着地したあと、先程蔦で捕まったときに落とした苦無を拾った
すみれは蔦から解放すると、カラスによって短くなった蔦6本を凍らした
続いてアヤメの矢とすみれの氷(15cmの氷の槍)で凍った蔦に攻撃をした
パリーン
一斉に割れた氷は雨のように降った
私はその下にいた匪黒さをに近づいた
カモメは私が近づいたと同時に飛び出した
混乱していた匪黒さんは私からの攻撃を避けることができず、苦無は心臓近くに深く突き刺さった
「くそが……」
そして彼は気を失って後ろに倒れた
(苦無を抜いたら大量の血しぶきがでて彼は死ぬだろう)
私は止めを差せて安心した
だからだろう…後ろから7本目の細い蔦が迫っていたことに気が付かなかったのは
グサっ
「っ……ぐは…」
血を吐いてしまった
血と共に力が抜けていくような感覚になった……いや、実際そうなんだろう
感覚が段々とゆっくりになっていった
すみれとアヤメは顔を青くしてこちらに走ってきた
それと同時に私は前に倒れた
「「柊!!」さん!!」




