20海と緑と水とまた敵3
遅くなってしまい、申し訳ございません。
「柊、お前の力はある御方が認めるほど、素晴らしいものだ
だからこっちへ戻って来ないか?」
「…私は人に胸をはれる生き方をしたいと決めました!
私は、もう二度と人を殺したくないので絶対嫌です!!」
「人を殺しの何が嫌なんだ?」
「それは……」
「お前自身は人を殺したいはずだ
実際、お前は蠅を倒しただろ」
「殺しては…」
「何がそんなに気にくわないだ?」
「っ…」
自分自身、なぜ匪黒さんに反抗しているのか分からなくなった
確かに盗賊団に居たくないと思った、でも……明確な理由が思い付かない
なぜ私は人を殺したくなかったのだろう
私がそうやって思い悩んでいたら相手は固有魔法を使った
彼の固有魔法は3本の蔦を自分の周りに生やし、それを自由自在に動かすこと
蔦は太さ約7cmで約15mの長さである
それを3本とも自由自在に速く動かすので避けることは難しい
もちろん考えに入っていた私が避けることなど出来なく、1本の蔦が腹に直撃して呆気なく飛ばされた
受け身をとった私に追加攻撃をしようと2本の蔦が迫ってきた
(これはダメだ…)
そう諦めたら、蔦が突然止まった
詳しく言うと、蔦の1本が氷漬けにされ、もう1本には矢が刺さっていた
「すみれ…アヤメ………何でここに」
「カモメに感謝しなさいよ
あのこたちが教えてくれたから柊を助けられたんだからね」
「柊さん、怪我してませんか?」
「えぇ…特に痛い所は無いわ」
「ふ~良かったです」
「いや、あの~」
「あ、理事長がまだ応援が来るのに時間がかかるからそれまで持ちこたえてくれって」
「…」
「観光客の人たちは全員避難が完了しました」
「…」
「それじゃあ味方が来るまで…桜が帰って来るまでに倒すぞ」
「はぁ…分かったわ」
(ここは諦めて2人と協力しましょう)
とりあえず2人と簡単な作戦会議をした
「俺は敵の話が終わるまで待つほど優しくないからな!」
そう言って彼はまた3本の蔦で攻撃を始めた
まず迫ってきた蔦の先端にアヤメが矢を当て、攻撃を防いだ
その間に私が匪黒さんに攻撃を仕掛け、魔法への集中を妨げた
匪黒さんは先程のように蔦が氷漬けされるのを恐れてか、すみれに近づかないようにしているようだ
確かにすみれの魔法はものを凍らすが、遠くにあるものを凍らすことや速い動きをするものを凍らすことは難しいらしい
(凍らして蔦の動きを止めるのが一番楽だったけど…仕方ない次の作戦にしましょう)
私は、アヤメとすみれに合図をした
そしてすぐに膝を曲げて、今すぐ走り始められるように腰を上げた
敵に向かって走り出すと同時に足裏に水を噴射し、猛スピードで切りかかった
匪黒さんは驚き集中力を妨げ、数秒の間魔法を止めることに成功した
その数秒ですみれは2本の蔓を凍らし、アヤメはもう1本の蔓に矢を放った
そして私は匪黒さんの腹辺りに苦無をぶっ刺した
その瞬間匪黒さんは血を吐いた
止めをさそうとして苦無を抜いたら…
「ふっはははははははははははははははははは」
突然笑い出した
そして匪黒さんはポケットに手を突っ込み、小さな布袋を取り出した
その袋から薬を5錠ぐらいを手にのせ、一気にのみ込んだ
すると…匪黒さんの傷口から流れていた血が止まり、そして傷が(・・)段々と消えていった
私は思わず距離をとった
「どういうこと?」
「傷が消えて…いる……?」
「治癒系の固有魔法もつ人なんて今はいないはずですよね…」
私たちの困惑した顔を見て匪黒さんは鼻で笑ったように言った
「悪いな……俺の後ろにはあの(・・)黒ユリがいるんでな」




