8すみれという少女の話
ちょっと暗い話です。
私の家には医者である父、同じく医者である母、大きな会社の社長の長女、弁護士である長男、この国一番の大学で教師をする次男、そしてこの国の魔法学校に行く末っ子の私がいる。
見ての通り、エリート家族である。……………私を除いて
父や母、姉や兄たちはいつもすごい。家では最低限の勉強をするだけだ。私の家族は、何もかも要領よくすべてを完璧にできる。
「何もかもそつなくやり、何もかも他のものより優れることは絶対だ。それができないものはこの家の人ではない。それができない他のものは人ではない。周りのものは人ではないと思え。」
と、家族全員が何回も言っていた。
だけど、私はそうは思わなかった。…いや思いたくなかった。私がそれを認めることは、私がこの家の人ではないと認めることと同義だからだ。
私は昔から勉強が出来なかった。しかも要領は悪く、何か1つを覚えることにとても時間がかかった。そのせいで家族から何回もあの言葉を言われた。
小さい頃の私は、両親に…姉に…兄たちに……家族全員に愛されたかった。だから、努力をした。人1倍努力し、勉強を頑張った。
小学校ではいい成績をキープすることは出来た。しかし……家族はそんな私を見て
「努力をするものはこの家の人ではない。努力をしても天才はその上を行く。つまり、おまえのやり方は社会では無意味だ。…おまえには失望した。おまえはこの家の恥だ。」
と言われた。
私はその言葉を聞いて、納得するしか出来なかった。いや、納得してしまった。私は泣きもせず、ただただ床を見ていた。家族の顔を今見たら心がおれそうでうつむくことしか出来なかった。
私の父は
「おまえはこの家にはいらない。今すぐ出ていけ!
そして、どこかでのたれしね!!」
と言って私の髪を引っ張り玄関に向かった。他の家族は軽蔑した目、冷たい目、興味のない目で私を見ていた。
バンっ ドサ……
「二度とここに来るな!!」
父はそう言って私を外に投げ、扉を閉めた。
「お父さんっ!」
私の声は赤い赤い空に広がらず、すぐ近くで消えるだけだった。
今は秋から冬にむかっているため、すこし肌寒かった。しかし、そんな感覚はすぐに消えた。家族に捨てられたことがとても悲しく、このときの私は受け止めることが出来なかった。
私はただ……ただ愛されたかった。何でもできる家族が大好きで…誇りに思っていた。私は家族と笑いあいたかった。
そんなことを考えているとふと3歳のときのことを思い出した。あのときはまだ、家族は私を愛していて、私の誕生日を祝ってくれた。あのときの家族の笑顔は……今はもう見れない。そう思うと胸が苦しくなった。
そして、今まで我慢していた涙がこぼれ始めた。大声で叫びたい衝動をおさえて、ただただ涙をながした。
こんな思いで死にたくなかったので泣きやみたかったが、私の涙は止まらなかった。
「…っ………っ…こんな…思いで……死にたく…ない!……家族を…大好きな家族を…っ……うらみたくない!!……こんな…思いは…っ…凍らせて…一生溶けないように…したい!…っ…こんな思い…なんて………凍らせて…っ…かくしてしまいたい!!…昔に戻りたいとか…っ…思い…たくない!!!…っ……この思いを……昔の思い出を……氷にして……壊してしまいたい!!!!」
そう言ったら、私の倒れていた地面が凍った。何が起こったのか分からないが、地面が凍った。
そのとき、わたしは直感した。
私が固有魔法が使えることを。
それから私は、魔法学校に行き、理事長に会った。
この国では13歳までに固有魔法が使える人は使えるようになる。魔法は遺伝が多いが、13歳までに強く何かを願うと固有魔法が使える人もいるらしい。そのため、ある日突然固有魔法が使えるようになるため、混乱する子供が多いらしい。そのため魔法学校はいつでも相談ができるようにしているらしい。
私は今、11歳。魔法学校は15歳から入ることができる。それまではどうしたら良いか分からないから、相談することにした。
理事長は
「あなたの固有魔法は素晴らしいです。ぜひすみれさんには、魔法学校にかよっていただきたいと私は思います。」
と言ってくれた。そして年月はすぎ、15歳になった私は魔法学校にかようこととなった。
クラスの人とはあまりなじめないと思うけど、家族との思い出を忘れられるぐらい頑張ろうと思った。
だけど、テストの紙がはりだされたとき、家族の言葉を思い出した。
「努力をするものはこの家の人ではない。努力をしても天才はその上を行く。
つまり、おまえのやり方は社会では無意味だ。…おまえには失望した。おまえはこの家の恥だ。」
人はそう簡単に忘れることは出来ないと、私は思い知らされた。
すみれ……




