第一話
「急いで!」「ち、ちくしょう!」
鬱蒼とした森の中を、一組の男女が駆けていた。
革の鎧をつけた女が男を急かす。けれど厚い金属鎧を身に付けた男の速度は上がらず、脚は遅々として進まない。
「このままじゃ追いつかれる! お前だけでも先に逃げろ!」
「嫌に決まってるでしょ! 二人で逃げるの、ほら早く!」
二人は逃げていた。自分たちを襲う脅威――『魔物』から。
やがて走り続けていた彼等は開けた場所に出る。森の中にぽっかりと空いた、大きな広場だ。
久しぶりに日の光を全身に浴びて、けれど浸っている暇は無い。
「どうする。いっそ迎え撃つか!?」
「出来ると思う? 私達だけじゃ勝ち目は無いのに?」
男を叱咤し、女は踏み出す。
瞬間――がさりと音を立て、背後の草むらから飛び出す影。
「っ、ギール!」
振り返った女が男の名を叫ぶ。
咄嗟に、男――ギールもまた振り向き、その手に持った重厚な盾を構えた。
激しい金属音を鳴らして弾かれた影が低く呻る。
「くそ、もう追いつかれたか」
影の正体はベヌーと呼ばれる魔物だった。
真っ赤な毛を逆立たせた狼のようなこの魔物は、俊敏な動きと凶暴性に定評がある。おまけに、集団で行動し密な連携を取って狩りをする習性を持っていた。
「まずい……囲まれた」
当然今も一匹では無い。
周囲を囲う六匹のベヌーに、二人の顔が青く染まる。
ベヌーは決して高位の魔物ではない。が、まだ駆け出しの冒険者である二人には、少々荷が重い相手でもあった。
「どうしてこんな浅い所にベヌーが居るんだ。こいつ等の生息地はもっと奥のはずだろ!」
「さあね。餌が見つからなくて探しに出てきたんじゃない? ――やるしかない。構えて、ギール!」
「畜生、仕方ねぇか。死ぬなよ、ミラ!」
ミラと呼ばれた女が両手の短刀を前に出す。
応じるように、ギールもまたその手の盾と槌を構えた。
二人、背中合わせで唾を飲む。
「グルルルル……ガァアアッ!」
二人へと飛び掛かるベヌーの群れ。
武器を振り回し、何とか第一波を退ける二人だが、その攻撃は終わらない。
的確に繰り返される波状攻撃に、二人の体力がじりじりと削れていく。
(このままじゃ嬲り殺しだ。何か、何か手は無いのか――!)
必死で考えるが、妙案は一向に浮かんでこなかった。
それどころか、長く走っていたこともあり体力が限界を向かえ、揃って膝を着く始末。
「く、そ。此処で死ぬのか……?」
「諦めないで、ギール!」
懸命に鼓舞するも体は動かない。
チャンスと見たベヌーが襲い掛かって来る様を、二人は呆然と見続けて――
風が、走った。
「え……?」
「な、何だ!?」
二人の周りを何かが高速で駆けて行った。
途端、襲いかかろうとしていたベヌーの半分が血を吹いて倒れ伏す。
気付けば傍に、青年が一人立っていた。
「大丈夫か?」
「あ、ああ……」
現実を受け止めきれず、ギールは呆然と呟く。
何の変哲も無い青年だ。真っ黒な髪、精悍な身体、鎧も身に着けていない軽装で、手には一本の長剣を握っている。
街中でも割りと見かけそうな格好である。少なくとも、魔物の生息する森に来るそれでは無い。
だが、援軍である事は確かなようだった。
「手を、貸してくれるのか?」
「ああ。といっても、そちらは動けそうにないし……後は俺一人で片付ける」
止める暇もなく青年は駆けだした。恐らくは、だが。
見えなかったのだ、二人には。青年の動きが速すぎて。
影が線を引いたかと思えば、次の瞬間にはベヌーの首が飛んでいる。まるで狐に化かされたかのような、現実離れした光景だった。
戦いは十秒で終わりを告げた。青年が刃についた血を払う。
「た、助かったのか? 俺達」
「多分――「いや、まだだ」え?」
思わず疑問の声を上げる。
青年はまだ戦闘体勢を解いていなかった。じっと、森の奥を見詰めている。
「あの、まだ何か?」
「居る。下がっていろ、もう来るぞ」
訳が分からなかったが、二人は頷き、素直に後ろに下がる事にした。
相当な手練れであるらしい青年の言う事を、此処は聞いておくべきだろうと判断したのだ。
数秒後。薄暗い木々の間から、それは現れた。
「う、嘘だろ。オーガ!?」
「何でこんな所に。ベヌーと同じく、生息箇所はもっと深部のはずなのに」
真っ青な肌、三メートル近い巨体、全身に付いた筋肉。大の大人も裸足で逃げ出す厳つい顔は、間違いなくオーガと呼ばれる魔物であった。
彼の魔物といえば、実力有る冒険者でさえ複数で掛かるという強敵である。その太い腕で殴られれば、きっと自分達の頭などあっという間に弾け飛んでしまう事だろう。
「お、終わりだ。幾らあの人が強くても、一人じゃあ……」
「ど、どうするの、ギール。逃げる? あの人を見捨てて?」
恩人を見捨てる選択をするには、二人は優しすぎた。
迷っている間に、オーガはのしのしと脚を進め青年へと近づいて行く。
彼が言葉を零した。
「このままじゃあ、ちと面倒か」
振るわれるオーガの巨椀。
それをステップでかわし、青年は一旦距離を取る。
同時、己が剣、その鍔元に手を這わせた。
「我今、招来す。万象貫く、黄雷の仕手!」
ゆっくりと刃に沿って動かされる左手。
するとその後を追うように、黄雷が音を鳴らし刃を覆う。
「魔法剣――レイルーン!」
剣を手に、青年は飛び出す。
反応したオーガが丸太のような腕を振るう。身長を活かした愚直な打ち下ろし。
それを懐に潜り込む事でかわし、青年は黄色の刃を振り上げる。
「はあっ!」
「ゴォォオオオ!?」
オーガの顔が驚愕に染まった。
柔な刃物ならば容易く弾くはずの己の皮膚が、あっさりと断ち切られていたのだ。
腹から胸に掛けて刻まれる大きな傷跡。身体に走った雷に、オーガの筋肉が僅かに痙攣する。だが、動きを止めるにはまだ足りない。
「ヒュー……」
「グオオオオ!」
再び交差。足元の人間を排除しようと繰り出された前蹴りを鋭い呼気と共に避け、青年は脇を通って背後に抜ける。
抜け様斬り付けられた脇腹から、またも鮮血が飛び散った。今度は先程よりも大分深いらしく、巨体がぐらりとよろめき傾く。
「や、やった?」
「いや、まだだ!」
深手と感電により膝を着くオーガに、ミラが歓喜の声を上げる。
しかし、直ぐにギールが制した。オーガの目はまだ死んでいない。
「ガ……ア……アアアアアア!!」
雄叫びと共に無理矢理体を立ち上がらせ、オーガが振り向く。
だが遅い。晒した一瞬の隙は実戦の場では致命的だ。
「ゴアッ!?」
首に、刃が刺さっていた。黄雷を帯びるその刃を、青年は跳躍と共に切り上げる。
オーガの頭部が真っ二つ。断末魔の声さえ上げられず、巨大な魔物は辺りを真っ赤に染め上げて、地に伏したのであった。
「こ、今度こそ。やった……?」
「あ、ああ。多分……」
流石に頭を真っ二つにされて生きている事はないだろう。
ほっと、二人安堵の息を吐く。駆け出しの自分達からすればレベルの高すぎる戦いだった。
と、そこで青年が近づいて来ている事に気付いた。彼は剣を鞘に納めると、細く長い息を吐く。
「ふー。とりあえずこれで終いだ。付近に魔物の気配は無い、一安心だろう」
「あ、ありがとう御座います。その、助けていただいて」
代表してギールが礼を言う。
ミラも、横でぺこりと頭を下げた。
「いいよ、別に。通りがかっただけだ。それより二人共、早く街に帰った方が良い。今日の森は少し物騒だ」
「何か知っているんですか?」
「一応な。この森の奥に凶悪な魔物が住み着いたそうだ。その影響で、奥に居た魔物たちが浅い所まで出て来ている」
「きょ、凶悪? あのオーガ達よりもですか?」
自分たちからすれば、ベヌーやオーガだって相当に凶悪だ。そんな魔物達が逃げ出すほどの相手。一体、どれだけ恐ろしい魔物だというのか。
「あ、あの。貴方は帰らないんですか?」
「ん? ああ、俺はその魔物を討伐しにきたからな。このままじゃあ帰れないよ」
二人は揃って目を見開いた。
同時に思う。この人ならば何とかなるのではないか、と。
「そ、それじゃあ、俺達は街に戻ります。どうかご武運を」
「ありがとう。帰り道、気をつけてな」
暢気に手を振る彼に見送られ、二人は再び森の中へと入っていった。真っ直ぐ、街へと帰る方角だ。
幾度か後ろを振り返りながらも、そういえば、とギールが手を叩く。
「名前くらい、聞けばよかったな。さっきの人」
「……いや。聞く必要は無かったかも」
神妙な顔の相棒に首を傾げる。
するとミラは考えを纏めるように唸りながら、
「知らない? 私達冒険者の中でも特に有名な人達の事」
「有名……? って言われても、名の知れた冒険者なんてのは一杯居るからなあ」
「そうじゃなくて。その中でも特に有名、って事」
そこまで言われれば、察しの悪いギールでも見当が付いた。
「もしかして『デッドオーバー』の事か?」
「そう。S~Gの八段階でランク付けされる冒険者の中でも、最上級のSランク。その更に一握りだけが持つ称号。殊更凶悪な、一部の魔物を倒した者にだけ与えられる特権階級」
「あの人がそうだってのか?」
「多分。……聞いた事があるの。デッドオーバーの中に、巷じゃまるで使い物にならないって言われている『魔法剣』を主軸に戦う人が居る、って。早々使い手の居ない魔法剣であの強さとなると、私にはその人しか思い浮かばない」
絶えず周囲を警戒しながら、彼女は告げる。
「名前は確か……マサキ・コウノ」
森の何処かで。青年がくしゅん、とくしゃみした。
~~~~~~
「う~。風邪でも引いたか~?」
鼻を擦りながら、俺は小さく身を震わせる。
季節はまだ春になったばかりで、確かに多少の肌寒さはあったが、風邪を引くほどじゃないはずだ。
それじゃあ噂でもされてるのかな、何て思いながら森の奥へと歩を進める。
俺がこうして森に魔物討伐に来ている理由は、普通の冒険者のそれとは少々訳が違っていた。
普通、冒険者は組合の掲示板に張り出された依頼の中から良さそうなものを選び、受けていく。
けれど今回の依頼は俺が選んだのではなく、組合の方から俺を指名して頼んできたものなのだ。
こういった事態は今までにも偶にあった。如何せんデッドオーバーという、名も実力も知れた称号を貰っているだけに、並みの冒険者では手に負えない依頼を頼まれてしまうのだ。
面倒ではあるが、無視する訳にもいかない。他の人ではこなせないからこそ俺に回ってきたのだ、放って置けば大変な事になる。
という訳で、俺は少しの人助けと多額の報酬に目が眩み、この依頼を引き受けた。
しょうがないだろう、俺だって金は欲しい。高ランクの依頼もこなせるおかげで貯蓄はあるが、金はあるに越した事はないのだから。
「っと、情報通りならもうすぐか」
警戒を緩めていた訳ではないが、慌てて気を引き締める。
組合から貰った情報が確かならもうすぐ例の魔物の住処に着く。
情報が少ないため大まかな強さしか分からないが、気を抜ける相手ではなさそうだった。
「あの洞窟か……」
木陰に潜み、目的地を窺う。
岩場にぽっかりと穴が空いていた。まるで人を飲み込もうとする、竜の口のようだ。
「そう深くはないはず。一気に踏み込むか?」
そのまま中で戦うか、外に場所を移すかは、魔物を見てから決めれば良い。
少々場当たり的にそう考えて、俺は一歩踏み出し――足先に何かが当たる。
「? 何だ、これ」
そこにあったのは、半球状の、兜のような物体だった。
見た事のないデザインだ。表面に黒くなった血が跳ねており、戦闘があった事が窺える。
「誰か、犠牲者が出たのだろうか。……早く魔物を討伐しなくちゃな」
動揺は無い。こんな稼業だ、誰かが死ぬのには慣れている。だからといって何も感じない訳ではないが。
出来れば装備が外れただけであって欲しい。そう心の中で祈りながら、俺は洞窟内部へと踏み込んだのだった。
――この時、ちゃんとこの兜を見ていたら気付けたのだろうか。
いや、例え気付いていても変わらないだろう。何せ兜に刻まれていた文字は、この時の俺には読めず、また読めても意味の分からないものだったのだから。
兜の側面。そこには見た事もない文字で、小さくこう書かれていた。
『日本神国軍』、と。
用語説明のコーナー! (今回は初回という事もあり多いです。注意)
『マサキ・コウノ』
本作の主人公。男。二十三歳。
冒険者組合に所属する冒険者の一人であり、『デッドオーバー』の称号を持つSランク冒険者。
世間一般では『使えないもの』扱いの魔法剣に拘りを持ち、使い続けている魔法剣愛好者でもある。
その実力は自他共に認める所であり、故に『力持つ者の責任』を強く意識している節がある。その為、指名依頼などは危険を承知の上で受けることが多い。
好みの女性は『守ってあげたくなる可愛い子』。塩気の強い食べ物が好きで、苦い食べ物が嫌い。
なお、魔法剣を馬鹿にした相手を殴り倒し、牢屋にぶち込まれた事がある。前科一犯。
『冒険者』
後述の『冒険者組合』に所属する者達の総称。
冒険者という名前自体は過去の名残であり、現在の彼等は何でも屋・或いは身近な傭兵という方が正しい。
その仕事は魔物の討伐から馬車の護衛、素材の採集、引越しの手伝いまで多岐に渡る。
自由な気風を好み、奔放な者が多いのも特徴。身近な依頼もこなしているとあって世間一般からの印象は悪くないのだが、貴族など一部上流階級の中には嫌悪・或いは見下している者も多い模様。
『冒険者組合』
この世界の各地に拠点を持つ、冒険者サポート組織。
元々はまだ世界に未開の地が溢れていた頃、その地を冒険する者達=冒険者を支援する為の組織として誕生したのが始まりである。
やがて未開の地がほとんどなくなると、冒険者の役割も変化。組合の仕事も変わって行った。
現在の組合の主な仕事は、依頼主と冒険者との仲介役である。その為どちらに問題があっても対応するが、同時に過度な干渉を避ける為、小さな問題事や揉め事は当人達に任せ基本手を出さない。
また、各国家との間にパイプを持ち恒常依頼の発注などにおいて協力関係を結んでいる。が、どの国家所属という訳でもなく、立場はあくまでも『自由』である。
組織自体はほぼ事務員のみで構成され、冒険者の自由な気風を反映してか、縦の権力構造が薄く横の繋がりが広い。引退した冒険者が職員として就職する事もある。
基本的な資金源は依頼を利用した中間マージンの取得、及び冒険者に必要な様々な物品の仕入れ・販売。また、冒険者が倒した魔物などの素材を買い取り、業者に販売する事でも利益を得ている。
ちなみに組合で販売されている各種道具類などは結構なぼったくり価格なのだが、面倒臭がりや酔っ払いの多い冒険者達には良く売れる、らしい。
『冒険者ランク』
冒険者組合から冒険者に送られる、一種の実力区分。
S、A、B、C、D、E、F、G、の八段階に分かれており、Sランクに近づくほど上位・かつ強者であると考えてもらえれば間違いでは無い。
ただし、ランクの上昇自体は実力に加えこなした依頼の数や質なども影響してくるので、中には例外も居る(非常に高い実力を持っているにも関わらず、あまり依頼をこなさない為にランクが低い者など)。
依頼の多くにはこのランクによる制限が掛かっており、特定ランク以上でなければ受けられない。ほとんどの冒険者にとって、このランクを上げる事は目標の一つである。
以下、主な目安。
S……超一流冒険者。才能あるものが十年以上の時間を掛けて達する領域。
A~B……一流冒険者。秀才の溜まり場。凡人の限界点。
C~D……平均的冒険者。気楽にのんびり過ごす事の多い冒険者の大半が此処。The・普通。
E~F……駆け出し冒険者。まだまだ未熟。冒険者にも慣れてきたかな?
G……見習い冒険者。始まりは皆此処。戦闘系の依頼はほぼ受けられない。
尚、魔物にもランク付けは存在するが、実力はこのランクとイコールとは限らない。注意。
『魔物』
この世界に存在する特殊な力・魔力(後述)の影響を受け、特異な進化を遂げた生物達の総称。
総じて凶暴であり、様々な生物を捕食する。特に人間を好む固体が多く、これは人が優良な魔力を保有している為と見られている。
繁殖方法も様々だが、中には濃い魔力が凝固しただけで生まれてくる固体も居るとか、居ないとか。
冒険者の主な収入源。基本狩られ役だが、調子に乗っていると一撃で叩き潰されたりするので要注意。
『魔力』
不思議パワー。
『魔法』
不思議パワーを使った不思議現象。物理法則も何もあったもんじゃねぇな。
『魔法剣』
ゴ☆ミ。何やこれ、はーつっかえ(ry
魔法を剣に宿す事で、剣を強化する技の事。威力増強・属性付与などの効果が見込めるが、世間一般では玩具・ガラクタ・産業廃棄物扱い。
主な理由として、
・習熟が難しく、これを使う位ならば普通に剣技や肉体を磨いた方が強い。
・威力が低く、魔力効率が悪い。また、維持に高い集中力や慣れが必要。
・わざわざ剣に属性を付与して斬りかかる位なら、直接その魔法を飛ばした方が手っ取り早い。ついでに遠距離から攻撃も出来て安全。
・この魔法を主力にしようとした場合、剣と魔法の両方を磨かなければならず、総じて器用貧乏になりがち。
などが存在する。
かつては後衛職の護身術として使われた事もあったが、後衛ならばそもそも『近づかれない』or『近づかれたら離れる』が基本であり、そのまま魔法剣で斬りあうという選択は愚策でしか無かった為、結局衰退した。
唯一の利点は『見た目が綺麗で格好良い』と揶揄される弱技である。
ただ、主人公はこれらの欠点を『魔法剣がまだ未発達なだけだ』と考え、独自に改良を行い発展させた。
結果として強力な『魔法剣専用魔法』の開発や、維持の簡易化・魔力消費の効率化などを経て強力な技へと昇華させたのだが、独自性が高すぎて彼以外には扱えない、普及の難しい技となってしまった。
その為世間一般での認識は結局産廃のままである。悲しいね。
『魔法剣 レイルーン』
マサキが努力の末生み出した魔法剣の一つ。雷の魔法剣。
専用の雷撃魔法を剣に纏わせる事によって、切断力の強化、及び対象を感電させる事が可能になる。
最低出力はスタンガン程度で、最高出力は雷にも並ぶ程。またマサキの生み出した魔法剣共通の特徴として、発動と同時に身体能力にもバフが掛かる。
ちなみに名前のレイルーンとは、この世界における雷を司る神の名前である。髭の逞しいジェントルメン。
『ベヌー』
魔物の一種。凶悪ワンコ。魔物ランクはC。
大きさは大型犬程で、シュッとした狼のような外見をしている。
全身が赤く、戦闘時には毛が逆立つ特徴がある。素早い動きと鋭い牙を武器とし、集団で連携を取って狩りを行う。
単体の戦闘力としてはDランク下位といった所なのだが、その数の暴力及び連携力から、Cランクと評価された。多い時には十匹以上で襲い掛かって来る。
主な生息地は森林。肉食だが木の実も食べる。
肉は筋張り不味いが、毛皮はそれなりに質が良く需要があり、結構な値段で取引される事も。高ランク冒険者にとっては良い獲物である。
『オーガ』
魔物の一種。筋肉もりもりマッチョマン。魔物ランクはB。
人型の巨大な魔物で、大きさは三メートル前後。全身真っ青で、筋肉が非常に発達している。顔はヤクザばりに厳つい。
攻防兼ね備えた強者であり、その豪腕は岩をも砕き、その堅牢な皮膚は刃物をも弾く。ただし知能が低く、スピードにはあまり優れない。お馬鹿な暴れん坊。
低ランク冒険者が出会ったらまず死を覚悟する相手。高ランクの冒険者でも、安全の為には複数人で掛かる事が推奨される。
主な生息地は肥沃な土地全般。砂漠や雪山など極端な環境でなければ何処でも生きていける。ただし餌の肉類は大目に必要。
肉は硬すぎて食べられないが、肝臓と心臓は柔らかく珍味として一部の美食家から人気があるらしい。地味に高級食材。