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04 ~クロニクル~

 ゴフッ。

 しょっぱなから吐血失礼します。

 今回は色々やらかしたと思いますので生暖かい目で罵ってください。

 前回の簡単なおさらい。

 菅原高校の体験入部が始まった。

 ヴァーチャルハンティング部にきた龍也。

 だが、烏頭ウズ ケイ先輩に部室に閉じ込められてしまう。

 ちなみに冥界の主神ハデスは神なのに紙がないらしい。

 ヤバさでいえばどちらもおなじぐらいヤバイ。


「お前何者だ? 本当に烏頭 鶏なのか?」


「ん? 知りたいか? じゃあわかりやすいヒントを二つ。まず一つ、俺は形をもたない。二つ目、烏頭 鶏は死んだ。ここまで言えばわかるだろ?」


 赤髪の女性が考察し、言う。


「もしかして正反対の私ドッペルゲンガー?」


「んー、違うなぁ。僕はピュシスだ。ま、もうここでは充分なくらい戦力を集めれたし、退散するかな」


「させないぞ、お前の悪事はここで断たせてもらう。軍を造るのは法で禁止されている」


「ははっ、邪魔するってんなら容赦はしないぞ。出て来い。ヴァーチャルハンティング部の剛力三武衆。こいつらは弱いからなぁ、あんたらこいつらと遊んでやってくれ」


 現れでるは目が虚ろな3人の男達、息荒く理性が飛んでいるように見える。

 ―――――猛獣、そう感じた。そう思った。

 その瞬間、烏頭 鶏と呼ばれていたものは窓から逃げ去ろうとする。

 阻止しようと走り出すが、男の一人がもっている槍に阻まれ、逃走を許してしまう。

 冥界の主神ハデスは居らず悲冷の剣アケロンもない。

 どうするべきか一人で此処をどう切り抜けるべきか。


「あいつは窓から逃げた! ドアは開くか!」


 ドアに一番近い三つ編み眼鏡ちゃんが確かめる。

 

「あ……開きます!」


 わっとほとんどの生徒が逃げ出す。

 残るは俺と炎のような赤髪の長躯の女生徒と金髪のバッテリーエセ関西弁女生徒、あとは剛力三武衆と呼ばれた男達三人だ。

 男達三人はそれぞれハルペー、ランタン・シールド、二叉の槍といったマイナーな武器を携えている。

 無手でもなんとかなるが対武具戦闘だとどうしても劣ってしまう。

 まぁ武術を習った師匠からは対武具戦闘をみっちり仕込まれたので、一対一なら怪我無く倒せると思うのだがどうなることやら。


「そこの二人! 逃げろ! ここは俺が何とかする」


「あなたこそ逃げて、えっと、小林 龍也君」


 赤髪の彼女が言う。

 なんで俺の名前を知っているんだろう。

 はっ!これはもしやどこかで一目ぼれをなされたとかそんな感じなのか!?

 いや勘違いするなよ俺、あくまで冷静に冷徹に自分を徹しろ。

 でもこれはフラグというものではないか?

 フラグは立ったのか?

 喜んでいいよね、いいよねこれ!?


「とか思っておるじゃろ?」


 とりあえずデコピン。人差し指と中指で同時に二連撃。

 痛いのを一発冥界の主神ハデスにお見舞いする。


「あ……私、学年全員の名前覚えてるから……別にそういう気持ちは全然ないし、ごめんね」


「ククク、振られてしまったのう。……あ、やば、ほれ、悲冷の剣アケロン!」


 デコピンを回避するためか、悲冷の剣アケロンを放り投げてくる。

 今度は薬指を交えた三連撃をしようと思ったのだが。

 悲しく冷たい剣が幼い頃から手にしていた物のようにしっかりと手に馴染む。

 アケロンの渡し守の櫂だった物を悲冷の剣アケロンにしたという。

 

「というかいつ来たんだよ冥界の主神ハデス。あと念のため、凍泣の軽鎧コキュートスガードナーも用意しといてくれ」


 紙なんてなかった。それ以上は言えぬ。

 と後々冥界の主神ハデスは語った。

 そして金髪の乙女が言う。


「あれ? ウチめっちゃ空気やん。あ、こっち来るわ」


 男らが槍を振り回し、盾を振り、二本の曲刀を打ち鳴らす。

 凍泣の軽鎧コキュートスガードナーを着け終えた龍也が三人に向かう。

 槍の男と曲刀の男がばらける。

 龍也は盾の男との対峙になる。


 ―――――――――――――――――――――


 槍の男と対峙するは、赤髪の美麗なる女性。

 さながら戦乙女のよう。

 上着を脱ぎ、両手の革手袋を外す。

 彼女の革手袋とブーツは特別性だ。

 絶対に熱を通さない。

 最低でも2000℃はある灼熱の両手足の熱を決して外に漏れさせない。

 灼熱の両手両足、それは彼女の業、鍛焱の神ヘパイストスの娘である罪なのだ。

 腕を上から下へ振ると、手に付く前のホコリが燃え、炎の線を描く。

 

 どっと近づく二叉の槍の男、略してフタマタヤリオ。

 片仮名にしたのはなんとなく。

 同様に略したのもなんとなく。

 彼女は槍撃を難なくかわす。

 手を振りかざし槍を真っ二つに融かす。

 すばやく蹴りをいれ気絶させる。

 圧倒的である。

 最も早い決着、他の二人はまだ戦っている。

 彼女の名前は戌亥いぬい ショコラ。

 何も知らない乙女。死を怖れぬ傀儡。

 穢れを知らず恐れすら無視する。

 自らを省みずその身を死地に晒す自己犠牲の塊。

 彼女の歩む人生、人生を道と例えると、彼女の道には塵一つすらない平坦な一本道だろう。


 ―――――――――――――――――――――


 倒した順でいえば次は小林 龍也だろうか。

 盾、ランタン・シールドを両腕に取り付けた巨躯の男との一騎打ち。

 最も盾にはランタンが取り付けられて居らず、ランタン・シールドとは言い難いが。


 数度打ち合う。

 遅い、武器を扱いきれてない。

 ただがむしゃらに腕を振り、自分から遠ざけようとしている。

 理性を失っていても溢れ出る優しさ。

 自分という脅威を龍也に立ち入れさせまいとしている。

 ただ神通力の能力がパワー系の強い力を擁しているというだけで、このようにされてしまったのだろう。

 元々は心優しき青年だったはずだ。

 いや、優しいからこそこのような狂った猛獣になったのだろう。


「今、楽にしてあげます」


 殺すわけではない。

 殺すなんて以ての外だ。

 やってはならない、禁忌だ。

 死を取り扱う神の所有者であるからではない。

 人として人を殺さないし、人として人のルールを守っているだけだ。

 だが、どうしたものか。

 彼を無力化し、怪我をさせないとなると――――――。

 そうだ、忘却の極薄水レーテークォーターだ。


冥界の主神ハデス! 忘却の極薄水レーテークォーターを!」


 この瞬間も打ち合っている。


「ダメじゃ、効かんじゃろ。こいつらは記憶がどうのこうのじゃなかろうし」


「じゃあどうしたらいいんだよ?!」


「ん? そうじゃなぁ、ま、儂に任せるのじゃ。主はそのままやりあっておれ」


 なにがなんやらわからないが任せてみるか。

 冥界の主神ハデスが後ろから近づいてきている。

 いつになく真面目な顔だ。

 ただの下ネタ元ジジィのロリババァじゃないことは重々承知しているのだが、最近の行動を見ていると不安になることばかりで仕様がない。

 すう、と一拍置いて息を吸っている。


我が格ステータス我が身体フィジカルある親子ペアレントアンドチャイルド献身トゥービーコントリブーションにより現界せりアリビングゴッド此の身ボディ此の姿アッピアランス変換を請うリクエストコンバーション変格を求むアスクリデクション母なる姿マザーフィギュア御技を用いるためユーズアンアクトオブゴッド神格フォアランキングワン彼の者ザットマンフロムためのアイウォントゥーアビリティを」


 奏でるように紡ぐ言葉。 

 魂が呼応する。

 今度は俺も共に言わなきゃならないようだ。

 次の言葉、詠唱が自然と口から勝手にでてくる。

 

承認オートリゼーション変化開始エクスチェンジングスタート我が世に来たれアイプレゼンティッドフェイバーフロム我が捧げた寵愛よカモンマイワールド!!」


 冥界の主神ハデスが変わる、あの懐かしい姿へ。

 白銀の髪はそのままだが幼女から大人の女性に、可憐から優美へ変わっている。

 体つきも立派な凹凸もかなり激しい大人の姿だ。

 服はそのままなのでよりその豊満な体を際立たせている。

 自分には見る資格がないと思いながら、でも見ていたいとも思う。

 ずっと近くで寄り添いながら見続けていたかった、なんて失ってから思うのはダメなことなのだろうか。

 蘇る忌まわしき過去の記憶の断片が。

 ここで語るべきではないだろう真実が複雑な感情とともに心に入ってくる。

 

 冥界の主神ハデスが青年の真後ろに立つ。

 そして青年の頭を人指し指で弾く。

 頭から少しだけ霊体が飛び出てすぐ戻る。

 ―――――ように見えた。

 人形を操る糸が途切れるように、ふっと青年の身体から力が抜け、崩れ落ちる。

 幸い、ランタン・シールドが身体に当たることなく倒れたため、怪我は無く、ただ単に気絶しているようだ。


―――――――――――――――


 ハルペーというより金属製の電気が通る物を扱う者との戦いで一番相性がいいのが彼女。

 つづみ 之乃ののである。

 ただ今回運悪くハルぺーの柄には絶縁体が使われていたため感電させることができない。

 お察しの通り彼女の神通力は雷だ。

 雷神バッテリー、それが彼女の力だ。

 パチン、パチンと指を鳴らす。

 バチッ、バチチッと雷が指から放出される。

 雷撃が男に飛び散り、剣撃が之乃にかする。

 まだ倒せてないのは彼女だけだ。

 かなりの冷や汗がでている。

 ただ状況的に有利なのはこちら側のはずなのに。

(いやだってショコラちゃんさっきからめちゃくちゃ熱いし、あの龍也っていう子の神通力の冥界の主神ハデス?っていう女の子が急にぼいんっきゅっぼんのお姉さんになっちゃうし、でその三人がこっちに向かってきてるのはさすがに誰でも怖いやん?)

 龍也の蹴りが男に脇腹に突き刺さる。

 冥界の主神ハデスがデコピンをし、気を失わせる。

 冥界の主神ハデスが先ほどと似たような詠唱をし、いつもの幼女形態に戻る。

 男三人を見回し、龍也は冥界の主神ハデスにこいつらになにをしたんだと質問するとこう返ってきた。


「こやつらに掛けられていた力はかなり奥深くまで根付いておったのじゃ。記憶を消したぐらいでは解除することが出来ぬぐらいにな。じゃから一瞬仮初めの死を与えた。そして甦らせた。これよりもっといい方法があったとしても今できる最高のいい方法がこれなのじゃ。龍也、お主が不殺主義者なのは重々承知しておる。じゃからこそお主に惚れ込んだのは言うまでもないがの」


 そうか、わかったと短く返す。

 ただ自分自身それをすんなりいいことだと言えない。

 相手を敵だ、悪だと決め付けて殺し尽くすよりはいいのだろう。

 いいのだろうと思うことにする。

 見てくださってありがとうございます。

 もし気になることがあったら、是非是非感想をよろしくお願いします。

 続きますよ?

 あと英語これあってねぇよ!!と思った方は直した物を教えてくれてもいいんですよ?

 ギリシャ語にしてくれてもいいのよ?

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