02 ~幼女はのじゃがいい~
心理、戦闘描写苦手すぎるのでは?
と思う今話。
その他色々ダメなところがあったらしいです。
すみません。
彼が、細身の剣を持つ男が口裂け女と対峙する少し前。
そしてが智明が首を裂かれた少し後、廃墟にて。
麻薬を秘密裏に製造、販売をしている組織、
神通力を悪事に利用している組織の一つの拠点に彼は今立っている。
組織の用心棒である佐治布津神(サジフツノカミ)と、稲氷神(イナヒノノカミ)を倒し、一通りの事を警察に説明し、救急車と警官数人が駆けつける事となった。
ふう、と彼が息をつく。
眼鏡をかけているがインテリという雰囲気はなく、むしろ眼鏡によって優しそうな雰囲気を醸している。
中途半端に整えられた頭を左手で掻き毟り、もう片方の手は、青白く輝く両刃の細く長い剣を握っている。
剣は中身の詰まった鉄パイプ(鉄の棒といったほうがいいだろうか)、鉄の棒をそのままプレス機にかけたような、いうなれば無骨な、洗練されていないように見受けられる。
そこへ一人、少女いや幼女、大体小学1~2年生ぐらいの銀髪ロリだ。
妙に艶かしく、特殊な紋様のピッチリスーツの上にデニムの上着とスカートを履いている。
そんな幼女が白銀の髪をくるくるといじりながら彼に話しかける。
「龍也、浮かない顔してどうしたのじゃ? 生理か?」
数秒間が空く。
ごつんっ。
「イッタい! せ、、せめてパーじゃろ!? グーはダメじゃろ! バカたれぇ!」
ぺしっ。
「なぜじゃ! なぜ2回も叩かれにゃならないんじゃ!」
3回目はさすがにない。
彼が小林 龍也が、自らが使役する幼女の姿をしている神通力に向かって言う。
「あのなぁ、前から言ってるだろ? 下ネタとのじゃ口調はやめろって」
あとバカたれって言うな、と付け足す。
「えー、でも下ネタとのじゃがなかったら、なんか儂じゃないっていうかぁ? アイデンティティがなくなるんじゃよぉ」
知らんがな、そういいそうになるのを堪える龍也。
「ま、そんなことはどうでもいいんじゃが」
急に真面目な様子になる。
「まさか、死の臭いか?」
廃墟の積み上がった瓦礫を上りながら、艶やかに麗しく幼女はこう返す。
「そうじゃ。濃厚で重厚な香しく悔しそうなでも安心している、そんな死の匂いじゃ。
それもここからすぐ近く、どうする龍也ぁ?」
嬉しそうに、気持ちよさそうに、楽しそうに、幼女はある言葉を期待している。
きっと死の臭いがする場所で言うであろう言葉を、聞ける事を悦んでいる。
「行くに決まってるだろ。それが俺だ」
「クククッ、やはり面白いなぁ、オマエ。それでこそ我が主に相応しい」
「さっさといくぞ。悪は見逃せん」
「わかっておるわ。でも儂の案内なしじゃあ辿り着けないじゃろ」
「じゃ早く案内してくれ。冥界の主神」
「儂、その呼び方好きじゃないんじゃが」
冥界の主神とは
説明不要なほどの知名度を誇るギリシャ神話の冥界の王。
クロノスとレアの子の中で唯一オリンポス12神に入っていない。
姿の消せる兜をもっているが、自身がそれを使う機会はあまりなかった。
冥界のイメージから悪神と見做されがちだが、冥界の性質によって秩序に厳格な神になっているのだろうと推測される。
彼の統べる冥界には、誓言の河、忘却の河、悲冷の河、凍泣の河などの河や、英雄達の理想郷や無間地獄などがある。
世界中では彼、小林 龍也一人だけがもつ神通力だとされているため、かなり謎が多い。
――――――――――――――――
そして今、悪と善が対峙している。
「勧善懲悪、お前は許されないことをした。覚悟しろ」
フードの女が肩を怒らせ言う。
「はぁ、まじなんなの? そういうのくっそつまんないんだけど」
一気に不機嫌になっていく。
龍也が何か言葉を掛けようとするが、その前に、
「あぁ、もういい、口裂け女やっちゃって」
剣戟が開始される。
龍也がハサミを捌く。弾く。押し込む。
が、圧倒的に手数が足りない。
龍也が剣を両手持ちしているのに対し、口裂け女は両手にそれぞれ長大なハサミを持ち、巧みに操っている。
間一髪、目が裂かれそうになる。主に顔を狙っているようだ。口を裂きたいのだろうか。
「・・・・っあぁ! 冥界の主神! もう一本、悲冷の剣!! 」
「まったく世話の焼ける主じゃのぉ」
どこから声が聞こえてくるのかわからない。
闇から現れでる冥界の主神、その手を虚空に、まるでそこに何かあるかのように突っ込む。
ズォッという音と共に引き抜かれ、青白く輝く悲冷の剣と呼ばれる長剣が姿を現す。
龍也が持っているものと完全に形が同じだ。
冥界の主神の1,5倍はあろう長剣を軽々と持ち上げ、龍也の元へ投げつける。
龍也は難なく受け取り、攻撃するがハサミに阻まれる。
やっと互角になる。
しかしまだまだ彼には策がある。
「あとは! 忘却の極薄水!!」
「あぁもう! 神使いの荒い! ほれ!」
白く淡い光を放つ液体のはいった小瓶を受け取り、口裂け女にぶちまける。
これで龍也は忘却の河の水による記憶抹消の効果で多少の錯乱を狙った。
忘却の極薄水は忘却の川の水をかなり薄めたものだ。
それでも触れただけで数秒間、記憶がなくなるほどの効力がある。
だが、彼女が特殊な神通力だったため別の作用が起こった。
口裂け女には表の顔と裏の顔がある。
表の顔は非常に理性があり、面倒見がよいただの人間のような状態だ。
あと察しがとてつもなくいい。
対して今の状態である裏の顔は朝になるまで決して変わらず、凶悪な、まさに都市伝説といった風貌だ。
忘却の河の水が触れた瞬間裏の顔が剥がれ落ち、表の顔が出てきたのだ。
「つっ! ここは・・・・・・そういうことですか。マスター退散しましょう。」
ちなみに龍也は何が起こったか理解していないのでフリーズしている。
「はぁ!? ちょっ! 口裂け女?! なにいってんの!? 私はまだ殺し足りないの! 降ろしてよ!」
もう一度言うが龍也は何が起こったか理解していないのでフリーズしている。
口裂け女がパーカーの女を担ぎ、闇の中へ紛れる。
「おい、龍也。」と、冥界の主神が腰を突く。
呆然としていた。
多分口裂け女だろう神通力とこれから死闘になるだろうと予想してたからだ。
一応言っておくが戦闘狂ではない。
あぁと短く返し、口と首の裂かれた男の遺体へ近づく。
そこへ立ってはいないが立ちはだかる一人の人。
泣いているのか顔はぐしゃぐしゃで、かなり震えている。
呼吸も荒く、本当に辛そうだ。
「なにするつもりだっ、おまえらぁ。」
きっと途轍もなく恐怖したのだろう。
最後の少しだけの勇気なのだろう
「冥界の主神、やってくれ。」
ビクンッと龍也の発言に恐怖し、最後まで耐えられず、失禁してしまう。
俺たちが死神で冥府に連れ去られるとでも勘違いしているようだ。
「あ~、後ろ見てくれ。」
幾分というか、かなり龍也は言葉足らずのようだ。
ちらりと振り返る。
そこには、死んだはずの智明の姿が。
「な!? 智明やっぱ生きてっ!?」
言葉が詰まる。
だって半透明だから。
つまるところ幽霊だ。
残留思念だ。
声とも言えない、不思議な心が、思いが伝わってくる。
そんな泣くなよ。おまえはそんなやつじゃねぇ・・・・・いやそんな奴だったな。
お前は臆病モンだ。だけどそれがおまえだ。胸張って生きろ。
勇気なんて少しだけ持ってりゃいいんだよ。だってお前はユウキだろ?
なんてな。・・・・・なんで最後の最期にダジャレなんだ俺・・・・・・
あぁ後な、俺おまえの気持ち気づいてたわ、スマンな。
答えることはできそーにねーわ。
そういいながらだんだんと消えていく。思念が消えていく。
泣くな、か。
でも、この後の涙ぐらいは許せよな。
――――――――――――――――
その後、ユウキという子は警察の事情聴取のため署に連れて行かれた。
もちろん俺も。
実は犯人に疑われもしたが、俺が冥界の主神の神通力だとわかり、その疑いは晴れた。
事件を何度も防いだりしていたら、警察のあいだで有名になっていたらしい。
「龍也はストーリーテラーに向いていないのじゃ。儂がかわりにやろう」
ちょ!いきなり登場すんなよ!
えーっと気を取り直してプロローグ
「プロローグじゃったか? この話」
うっさい!学校入学前だからいいの!
「でも、儂らのこと説明不足なのじゃ」
それは後々わかるから!!
次回、学校編はじまるよー!
「儂がほとんど空気になるのじゃ! 乞うご期待!!」
見てくださってありがとうございます。
もし気になることがあったら、是非是非感想をよろしくお願いします。
筆が遅くて、やばい・・・・・