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chapter 5 〈古代魔術〉

 翌日、その日最後の授業である魔術実技で、実践形式の授業が行われていた。


「これからペアを組んで、お互いに戦ってもらいます。校庭にはダメージを軽減する結界を張っておきました。それではみなさん、ペアをつくってください」


 教師が声をかけると、生徒達は仲の良い者同士でペアをつくり始めた。それは、アヤも同じだった。


「ユキ、一緒にいい?」

「いいけど、手加減してよね」


 アヤが魔術学校の教師よりも強いことを知っているユキは、そう一言付け加える。


「もちろん」


 ペアが決まると、教師の声かけで模擬試合が始まった。

 アヤとユキも、他の生徒達と同じように戦い始める。

 数分後、ユキが何度目かの攻撃をしかけてきた時だった。

 少し試してみようと思ったアヤは、普段とは違う防御魔術を展開する。普段、呪文詠唱をほとんどしないアヤだが、今回はしっかりと言葉を紡いだ。

 発動された防御魔術は、学校で習うものではなかったが、それを見ていたのはユキだけだった。他の生徒はお互いと模擬試合をしていたし、教師もその時はアヤとユキを見ていなかったのが幸いした。

 アヤが試した防御魔術は、発動こそしたが、不完全だった。ユキの攻撃魔術の威力を弱めただけで、術自体は崩れていない。それは、まっすぐとアヤへ向かっていった。

 まずい、と思ったアヤは、とっさに無言でいつもの防御魔術を張った。しかし、攻撃を完全に無効化することができず、後方へ飛ばされる。


「ぅわ!」

「アヤ! 大丈夫?」


 心配したユキが、地面に倒れるアヤのもとへ駆け寄った。


「――っつー。大丈夫」


 アヤはゆっくり立ち上がりながら告げる。


「一応、防いだし、先生の結界もあったから、怪我はしてないよ」


 制服についた砂ぼこりを両手で叩き落とすアヤに大きな外傷はみられない。本人もけろっとしているのを見て、ユキは胸を撫でおろした。


「よかった」

「心配しすぎだよ」

「予想外のことが起きれば心配にもなるわよ。それに、手加減してとは言ったけど、失敗してとは言わなかったわよ?」

「んー、ちょっとね」


 ユキの問い詰めに、アヤはもごもごと返答を濁す。それは、よくあることで、ユキはしつこく問うようなことはしなかった。どうせ聞いたところで流されてしまうのが目に見えていた。

 先程アヤが使ったのは、古代魔術だった。失敗した防御魔術のことを考えながら、ぽつりと感想をこぼす。


「やっぱり難しいな……」

「何か言った?」

「何でもない。それよりどうする? もう一戦する?」

「できればお願いしたいけど、疲れてない?」

「私から聞いたんだから大丈夫だって」


 魔術を使えば魔力が減る。魔力が減れば身体的に負担がかかる。それは、魔術師であれば誰もが理解していることである。そして魔術師の魔力の量には個人差があるため、身体的負担で動けなくなるまでの時間に差があるのも当たり前のことだった。

 ユキも杞憂だろうと思いつつ、アヤのことを心配して声をかけた。答えは予想通りのもので、二人は再び模擬試合を行った。




 授業が終わり、教師は生徒達にしっかり休んでから帰るように伝えた。

 授業開始前に全力を出さないよう注意をしたが、模擬試合で魔術を使えば魔力が減る。魔力切れを表す症状が出た生徒は少ないが、体調が優れないまま下校させるわけにはいかない。アクマに会わないとも言いきれない今、体調が優れないまま帰るのは危険だと、誰もが理解していた。

 それは、アヤも同じだった。

 誰もいなくなった教室でぼんやりと校庭を眺めていると、見回りにきたハルルが声をかける。


「帰らないの?」

「ちょっと休憩してからね」

「午後の授業で何かあったの?」


 アヤが魔術実技の教師の一人を苦手としていることを知っているハルルは、何か嫌がらせでもされたのかと心配になる。


「いや? ただ、模擬試合させられて、ちょっといつもと違う魔術使ったら疲れちゃっただけ」

「いつもと違う魔術?」


 嫌なことはなかったようで安心するが、新たな疑問が浮かび尋ねる。


「古代魔術だよ。昨日の夜、城の書庫で調べて、今日の授業でこっそり使ってみたんだよね」

「使ったんだ……」

「うん。失敗したけど」


 アヤの言葉に、ハルルは一瞬目を見開いた。


「はるるんは私を何だと思ってるの? 私だって初めて使う魔術で失敗することあるんだからね」

「うん、まぁ、それは分かってるんだけど、やっぱり失敗しないイメージがあってさ」

「……難しかったんだよ。予想はしてたけど、かなり魔力を使ったし」

「そうだったんだ」


 話が終わると、アヤは荷物を持って立ち上がる。


「休めた?」

「それなりに。そろそろ帰らないと遅くなっちゃうからね」

「気をつけて帰ってね?」

「うん。じゃあ、また明日」





 学校を出て賑わう街の中を歩いていると、前方にユキの姿が見えた。城から戻ってきた様子を察したアヤは、気付かれる前に逃げようとする。


「アヤ」


 しかし、ユキに声をかけられてしまい失敗に終わった。


「……ユキ。こんなところでどうしたの?」

「それはこっちの科白よ」


 どうやら怒っているようだ。面倒だなと思っていると、ユキが勝手に話し出した。


「アヤに会いに行けば、まだ帰ってきてないっていうんだもの。少しすれば戻ってくると思って待たせてもらったけど、なかなか帰ってこないから諦めて家に帰ることにしたのよ。なのに、アヤはこんなところにいるんだもの」


 ユキが怒るのも無理ないなぁと内心で思いながら、恐る恐る聞く。


「ちなみに、どれくらい待ってた?」

「二時間よ! 一体、どこで何をしてたのよ!」


 案の定、怒鳴られた。学校でぼんやりとひと休みしていたら、そんなに時間が流れていたらしい。

 何年も同じようなことを繰り返してきたアヤは、ユキの怒りにすっかり慣れていた。


「それは悪かったね」

「全然悪かったと思ってないでしょう。で、どこで何をしてたの?」


 形ばかりの言葉を返すと、じろりと睨まれる。それにも慣れっこになっていたアヤは、平然と受け流した。


「学校にいたんだよ。ちょっと休憩してた」

「まさか、最後の実技授業で無理してたの?」

「無理はしてないよ」

「でも、見たことない術使ってたし、珍しく失敗してたわよね?」


 ユキのことだから、気付かれているだろうとは思っていた。


「まぁ、確かに珍しい魔術を使ったけどさ」

「その魔術のせいで帰れなくなったんじゃなくて?」

「あながち間違ってはいないかな」


 苦笑を浮かべて言うと、再びユキから鋭い視線が飛んでくる。そんなに睨まなくてもいいじゃないかと思いつつ、アヤはユキに疑問を投げかけた。


「ところで、何か用事があったんじゃないの? 城に行ったんでしょう?」

「あったけど、もう済んだわ。この前借りた本、返しに行ったのにいないから、部屋に置いてきただけよ」

「ありがとう。でも、学校で渡してくれてもよかったのに」

「借りといて何だけど、あんな重たい本、学校の教材と一緒に持ち歩くなんて嫌よ」

「まぁ、そうだろうね」


 そう返事をしながら、ユキが部屋まで本を届けてくれていたことに感謝する。ユキと同じように、教材の他に貸した本まで持ち帰るのは面倒だと、アヤも思っていた。


「なんか騒がしい気がしない?」

「ん? あー……」


 ユキの声に辺りを見渡すと、進行方向であるところで騒ぎが起きていた。


「よりによって噴水広場前……」


 アヤがぼそりと呟く。

 噴水広場を通らなければ、城へは帰れない。しかし、その噴水広場へ続く道の先でアクマが街の人を襲っていた。


「何落ちついているのよ。早く逃げるわよ」


 ユキがアヤの腕を掴み、騒ぎから離れるために歩き出す。


「家が遠くなってく……」

「ぼやいてないでちゃんと歩いてくれない?」

「分かってるよ」


 そう答えたアヤだったが、突然足を止める。そして、大通りから横へそれて細い道へ足を向けた。


「ちょっと!」


 無言の行動に、ユキが抗議の声をあげる。


「何で急にこんな小道に入るのよ」

「アクマから逃げるためだよ」

「それなら、さっきの道のままでも問題なかったでしょう?」


 それは間違いではない。誰もがユキと同じように動いただろう。現に、他の街の人達は大通りをまっすぐ進んでいた。


「まぁ、そうなんだけど、アクマの気配感じたからさ」

「そんなの感じなかったわよ?」

「まぁ、まだ遠いからじゃない?」

「そんなに離れてるの?」

「うーん、こっちに向かってきてるからそろそろユキでも魔力感じるんじゃないかな」


 大通りから離れるように歩きながら言う。すると、ユキもアクマの気配を感じたのか、少しだけ身体に緊張がはしった。


「……ユキ」


 ユキがアクマの気配を感じとってすぐ、アヤは顔をしかめて名前を呼ぶ。


「何?」

「ユキはこのまま家に帰って」


 いつになく真剣な声に、ユキは身構える。


「どうして?」

「詳しく話してる時間はないかな。お願い、早く逃げて」

「アヤは、どうするの?」

「ちゃんと帰るよ。大丈夫」

「無理、するつもりじゃないよね?」


 何かを感じとったユキはアヤに尋ねる。


「無茶はしないよ」


 アヤはそう言って笑った。


「無茶はって――」

「ユキ、さがってて」


 ユキが何か言おうとしたのを遮って、アヤはユキの前に立つ。そしてすぐに、防御魔術で道の奥から飛んできた攻撃を防いだ。


「やっぱり」


 大通りから二人のいる小道へ入ってきた三人のアクマを見て呟く。アヤには、アクマがこちらへ来ることが判っていたようだった。


「ユキ、ここから動かないでね」


 アヤはそう言うと、ユキの足元に魔法陣を出現させた。それは、陣の中にいる人を魔術による攻撃から守るためのものだった。ユキは、そのままアクマの方へ行こうとするアヤを追いかけようと手を伸ばす。


「アヤ!」


 しかし、伸ばされた手は見えない壁に当たり、それ以上前へ進むことはなかった。

 アヤが魔方陣を敷いた時と同時に、中にいる人を陣の外へ出られないようにする術もかけていたのだ。


「アヤ! どういうつもり?」


 ユキの問いかけに、アヤは足を止めて答える。


「ユキ、学校で習う戦い方と実際は違うものなんだよ」

「でもっ――」

「ユキも判ってるでしょう?」


 何か言おうとするユキの言葉を遮って、静かに言い聞かせるように話す。


「実際は一対一になることなんてほとんどないこと。アクマが単独行動してることが少ないから、当たり前だけどさ」


 ユキへ背を向けたまま話しながら、アヤはアクマの動きに注意していた。

 そろそろ、時間がない。

 あまり長話をしてしまっては、ユキをこの場で足止めした意味がなくなってしまう。そう思ったアヤは、顔をユキの方へ向けた。


「それに、狙われてるのは私だからね」


 無関係の友達まで巻き込むわけにはいかない。


「少しだけここにいてね」


 ヤはそう言って笑うと、アクマがいる方へ走っていった。


「アヤ!」


 ユキが叫ぶのと、アクマの攻撃が飛んでくるのはほぼ同時だった。

 アヤは難なくそれを無効化する。そして、火の球を飛ばし、アクマとの距離をつめた。

 アクマがアヤの攻撃を弾き終わるころには、三人の前に立っていた。


「わざわざお前の方からこっちへ来るなんてな」


 リーダーらしきアクマが、アヤへ声をかける。


「やっぱり、狙いは私だったってことかな? そうでもなければ、まっすぐこんなところへは来なかったでしょう?」

「そうと判っていながらここへ来たお前は、間抜けなのか?」

「失礼なこと言うね」

「三人を相手すると判っているなら、逃げるのが普通だろう?」


 アクマがもっともなことを言う。


「逃げたところで追いかけてくるくせに、よく言うよ」

「否定はしないな」

「なら変わらないでしょう? 中級しかいないうちに対処した方が楽だもの」

「この中に上級がいるとは考えないんだな」

「考えないんじゃなくて、いないのを知ってるだけだよ」


 アクマの脅しに動じることなく答える。


「そういうのは、もう少し上手に魔力を隠せるようになってから言ってくれる?」


 すると、目の前にいるアクマから、魔力を感じやすくなる。どうやら、話しかけてきたアクマが魔力を隠していたようだ。

 アヤは大通りでアクマの気配を感じた時から、中級クラス三人であると判っていた。だから、ユキが留まろうとした時、応援を呼ばれる前に対処してしまおうと考えた。


「そろそろお喋りをやめようか。中級三人だと侮ったことを後悔させてやるよ」


 アクマがそう言い終えるや否や、アヤの足元が光りだす。


「なるほど」


 足元に描かれた魔方陣を見て、アヤは呟く。

 アヤがアクマと話をしている間に、残りの二人のアクマが準備をしていたようだ。


「でも、まだ足りないかな」


 落ちついたまま言う。


「私が気付かないと思ってたなら、大間違いだよ」


 アヤが指を鳴らすと、アクマの足元に魔方陣が現れ電撃がはしった。

 攻撃を受けたアクマは、発動していた魔術から意識をそらす。すると、アヤの足元にあった魔方陣がふっと消えた。


「くそっ。いつの間に準備してたんだ」

「それくらいの術だったら無詠唱でできるよ。だから、まだ足りないって言ったでしょう? さてと、ちょっと試させてもらおうかな」


 アヤは三人の前に立つと呪文を唱える。

 言葉通り、試しに古代魔術を使う。

 相手を眠らせる術は成功し、アヤの前には夢の中にいるアクマが三人いた。


「やっぱり結構消費するなぁ……」


 古代魔術を使ったアヤは、ぼそりと呟くとその場を後にした。


「ユキ、お待たせ」

「アヤ、早くこの術といて」

「判ってるよ。ほら」


 アヤがユキにかけた術を解く。

 ユキはすぐにアヤへ詰め寄った。


「無理はしてないでしょうね?」

「してないよ。大丈夫。それより早く帰ろう。いつまでも眠りの術が効いてる訳じゃないから」

「そうね」


 二人が大通りへ戻ると、騒ぎはいつの間にか治まっていた。

 そのまま噴水広場まで歩く。


「じゃあ、ユキ、ここで」

「えぇ。アヤ」


 城へ向かって歩き出すや否や、ユキがアヤを呼び止める。


「なに?」

「守ってくれてありがと」

「お礼はいいよ。それより、閉じこめたりしてごめんね? 私じゃ、ユキを庇いながら戦えなかったから。あと、もし明日休んでも気にしないでね?」

「アヤ、やっぱり無理したんじゃ……」

「無理ってほどじゃないって。ちょっと疲れちゃっただけ。またね」


 ユキが何か言おうとしたのを遮って言うと、アヤは城へ向かって歩き出した。

 先程の戦いで疲れてしまい、ゆっくりと歩く。

 噴水広場を抜けてすぐ、アクマの気配を感じて後ろを見た。

 すると、アヤの背後にクリスが立っていた。

 予想より近い距離にいることに驚き、後ろへ飛ぼうとした。しかし、疲労で身体が重く、数歩後ろへ下がるだけになる。


「随分と気を抜いてたな」

「……弱ったところを捕まえにきた感じ? それとも違うのを期待してもいい?」


 すぐに攻撃されなかったことから、後者であることを期待する。


「今のお前なら捕まえやすそうだけど、なんとなく判ってるんじゃないのか? 街にいた時から気付いてただろ?」

「まぁ、ね」


 指摘された通り、街でアクマ騒ぎが起き始めた時から、アヤはクリスの気配に気付いていた。ただ、中級クラス三人を倒した後からクリスの気配を感じられなくなり、先程の失態をおかしてしまった。


「彼奴ら倒した時、見かけない魔術を使ってたな」

「古代魔術だよ。ちょっと試しに使ってみただけ。まぁ、捕縛の魔方陣とあの術でほとんど魔力もってかれちゃったけどね」


 クリスに捕まえる気がないことを確信したアヤは、正直に話す。


「敵に正直なこと言ってどうするんだよ」

「普通は言わないよ。今のクリスは、私を捕まえないでしょう?」

「頷きたくはないがな。それにしても、かなり魔力あるんだな。普通なら、倒れてもおかしくはないだろう?」

「多分ね。でも、症状が何もないわけじゃないから、そろそろ帰りたいかな」


 本当は歩くのも辛い。話が長引けば、城まで歩いて帰れなくなってしまう。


「友達には否定しておきながら、かなり無理してんじゃねーか」

「気付かれなかったのが不思議だよね」


 クリスの言葉に、アヤは苦笑を浮かべながら返す。

 もし、ユキに無理していることが知られていたら、城までついてきただろう。ユキの前で平静を装っていてよかったと思ったが、その反動が今きていた。


「ふざけたこと言ってる場合じゃないだろ。そこまで送ってってやるから、歩け。それとも、おぶってやろうか?」

「歩けるよ」


 そう言って歩き出すが、その歩みはクリスが声をかける前より遅くなっていた。


「見てられっかよっ」


 辛そうに歩く姿を見て痺れを切らしたクリスは、アヤに近よると横に抱き抱えた。


「えっ? ちょっ!? おろしてよ!」


 突然横抱きされたアヤは驚き、抗議の声をあげる。


「暴れるなよ。落ちるぞ?」


 クリスの言葉に、アヤは大人しくなる。


「街を出るまでだ。そこから先は歩けよ?」

「ありがと」


 街でアクマ騒ぎがあったばかりだったため、街を歩く人は少なかった。クリスは自身の魔力を隠していた。それも幸いして、奇妙な組み合わせに気付く人はいなかった。

 街を抜け、城へ続く一本道になる場所で、アヤは地面に足をつけた。


「ここまでだな。あとは歩けるか?」

「歩くよ」


 無理してでも歩きそうな答えに、クリスはじとっとアヤを見る。


「大丈夫だよ。クリスがここまで連れてきてくれたから、さっきより楽だしあと少しだから」

「……俺が言うことじゃないけどさ、あまり無理すんなよ?」


 クリスの言葉に、アヤは一瞬目を見開いた。そしてすぐにクスッと笑う。


「お前な……」


 心配したのに笑われたためだろう、呆れた声が返ってきた。


「タクトもそうだけどさ、クリスもアクマらしくないよね」

「タクトがそうなのは否定しないが、俺は自分の都合で動いてるだけだ」

「じゃあ、もとの性格が優しいんだね」


 そう言って微笑むと、クリスは嫌そうに顔を歪めた。


「お前だけだよ、アクマに優しいなんて言う奴は」

「そうだろうね。今日はありがと。じゃあね」


 アヤはクリスに別れを告げると、城へ向かって歩き出す。クリスが途中まで横に抱き抱えて運んだおかげか、街で会った時よりも足取りはしっかりとしていた。その後ろ姿を見て、大丈夫そうだと判断したクリスは移動魔術でその場から姿を消した。




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