第四話 やり過ぎました
眠たい……
気を失ってから一時間位が経過した。
ふむ、この程度の魔力消費ならばこの程度の時間で済むのか。
たぶんだけど、魔力消費を抑えるスキルなんてものがあるんだろうな。
それと、魔力を消費すれば魔力量を増やせるっぽいな。毎日続けてみよう。
それから俺は毎日のように魔力を使い果たし手は気絶し、復活すればまた魔力を使い果たすという暴挙を繰り返した。
もちろん家にいれば母さんにばれてしまうので、外でやることにしている。
もちろんやる場所は森の仲である。
テンプレのように近くに魔物が住んでいる森があり、その森が世界でも4番目に大きい森であるならば尚更である。
書斎で詳しく調べてみると、あの森は魔物の心臓たる魔石と呼ばれる結晶を作っている瘴気と呼ばれるものに覆われており、多少破壊されてもすぐに修復されてしまうのだそうだ。
これならいくら暴れてもばれることはない。
父さんも母さんも妙に鋭いところがあるが、基本的に天然なので、多少のことはしても大丈夫だろう。
まあ、別に犯罪に手を染めるわけでもないし、悪いことじゃないからそんなに気にしなくてもいいんだろうけど。
というわけで俺は森にいる。
地球神の加護によってスキルは自分の努力次第でいくらでも取ることができるので、一通りの魔法を使ってみようと思う。
まずは基本の七属性を試してみる。
まずは火だ。
「【火炎玉】!」
そう叫ぶと、俺の手から1メートルの巨大な火の玉が出現した。
―――――火魔法を習得しました。
無詠唱を習得しました。
俺は出現させた【火炎玉】を遠くに見えたゴブリンらしきものに発射する。
…………緑で人型でキモイ生物と言ったらゴブリンなんだけど、違うのかな?
そんなどうでもいいことを考えている間に、【火炎玉】がゴブリンに直撃し、そのまま燃やし尽くした。
―――――レベルアップしました。
ステータスアップしました。
お、レベルアップした。
俺はゴブリンらしき死体の近くに向かう。
うーん、死体を見てもなんとも思わない。
この世界に転生された時に、そういう耐性もつけられたのかな。
鑑定を使ってみる。
【ゴブリンの死体】
ゴブリンの死体。討伐部位である耳が焼け落ちており、回収することができない。
討伐部位とは、魔物を討伐したという証拠となるものらしい。
将来の夢は冒険者なので、先に獲っておいた方がいいよね。
これから魔物はなるべく火で倒さないようにしよう。
一分くらい経つと、ゴブリンの死体が消え去り、代わりに紫の結晶が現れた。
……なにこれ?
これも鑑定してみる。
【ゴブリンの魔石】
ゴブリン変えることができる魔物のを作っている結晶。ランクはE。
魔力を貯蔵することができる。
なるほど、魔力を貯蔵できるのか。色々使えそうだな。
俺は無限収納にゴブリンの魔石を収納する。
俺は辺りを見回す。
まだまだ魔物はいるっぽいが、ちゃんと場所を特定できないので、ここでチートスキルを使うことにした。
そう、スキル習得(無制限)である。
このスキルによって、俺は全てのスキルを習得できるはずである。
ならば、できるはずだ。
俺は、目を閉じ、周囲を視覚以外の五感で感じ取るようにする。
……
…………
………………
―――――索敵を習得しました。
お、できた。
なるほど、条件さえ満たせばスキルが得られるのか。
よっし、この調子でどんどん狩っていくぞー!!
*
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*
大体三時間くらいだろうか。
どれほどの収穫なのか、ステータスと無限収納の中身を見てもらおう。
名前:グレイ・ストルリース
種族:ハーフエルフ
年齢:3歳
職業:
Lv28
HP:340/340
MP:780/780
STR:190
AGI:340
DEF:200
MST:490
MDE:490
INT:500
魔法
生活魔法Lv3・火魔法Lv4・水魔法Lv5
風魔法Lv3・土魔法Lv2・雷魔法Lv4
スキル
体術Lv6・鑑定Lv5・隠蔽Lv1
身体強化Lv4・魔力感知Lv4
魔力制御Lv3・索敵Lv3・無詠唱Lv-
ユニークスキル
無限収納・言語理解・経験値獲得率(極大)
スキル習得(無制限)・上昇率(極大)
ステータス上昇(極大)・レベル無制限
称号
創造神の加護・地球神の加護・蹂躙者
うん、やり過ぎたよね。
たった三時間で、レベルが28になってしまった。
三歳児がレベル28とか、俺だけじゃないかな?
それと、無限収納の中身がこちらである。
【ゴブリンの魔石】X47
【フォレストフォックスの魔石】X63
【コボルドの魔石】X59
【オークの魔石】X88
薬草X160
毒草X150
毒消し草X122
ダークウッドの原木X99
うん、自重しろという声が聞こえそうな気がする。
なにより、急激なレベルアップの原因であるオークを三歳児が蹂躙したことが自分でやったとはいえすごいシュールな絵だと思う。
それに、薬草や毒草、毒消し草の数もすごい。まだまだ残っている。
これなら調合スキルみたいなのも取れそうだよね。
さて、そろそろいい時間なので、家に戻る。
お昼の時間すっかり過ぎちゃったな。
…………怒られるかも。
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*
私の名前はエルリア・ストルリース。
グレイの母親だ。
最近、グレイが魔物の森によく行くのを見かける。
本人は隠しているつもりだろうが、まるわかりである。
このことは夫であるダリウスも知っているが、彼は「あいつの好きにやらせてやればいいさ」と、止めようとしない。
たしかにグレイは、三歳児にして魔法大全を理解できるほどに頭がいい。
少し親ばかかもしれないが、あの子は天才だと思う。
だからこそ心配なのだ。
いくら天才だといってもまだ三歳。危険の判別がつくかどうかの年頃だ。
もしあの子に何かあれば、私は、私は――――――
だからこそ、ダリウスと相談して決めた。
あの子を、最強の魔法剣士に育て上げると。
ちなみになぜ魔法剣士なのかというと、私は魔法師と育てたかったのだが、ダリウスが「男は剣だろ!」と言って頑として譲らなかったので、ならばいっしょに教えればいいとなってこうなった。
早速明日から修行開始ね。
「ただいまー!」
あら、グレイが返ってきたわ。
今日も無事に帰ってきたことに私はほっと息をつきながら、グレイの元へと向かい、そうして言った。
「おかえりなさい」
と。
最後の部分が母親じゃなくて恋人みたいになってしまった。
タイトル詐欺だったので、タイトルを変更しました。