第19話 森を抜けて
森を走り抜けるとそこには広大な平原が広がっており、日は沈みかけ辺りを真っ赤に染めていた。そしてそして視界の中止には遠目でも分かるほど巨大な城壁がそびえ立っていた。あれこそがエルケードが騎士として仕えていた『赤狼王国 ソル』。この世界の国々は『神獣』と呼ばれる存在を祀っており、国の名前にその神獣の名を借り受けている。この国に祀られているのは太陽の化身とされる赤い狼『グラン・ソル』、そしてその名前を借りこの国は『ソル』となっている。ふと、エルケードは自分の前方に小さな影があることに気がついた。最初は岩か何かかと思っていたが違う。子供だった。歳は恐らく10歳に満たない小さな女の子だった。服はサイズが合っていないのか袖から手はかろうじて見えており、口元は襟で隠れていて裾の部分はスカートのようになっていた。その少女が立ち上がってエルケードは一つの違和感を覚えた。その子供らしい印象とは真逆の腿の辺りまである鉄のブーツを履いていたのだ。そのブーツには尖っている箇所が幾つかあり攻撃的な印象を受けた。更にはその少女は鉄のブーツのまるで感じていないかの様だった。そしてその少女がこちらに振り返った瞬間エルケードは驚愕した。薄緑色の髪はツインテールと呼ばれるしばり方をされており、瞳も同様に薄い緑色をしていた。そしてその顔は、
ミレーネと瓜二つだった。
その少女はこちらに駆け寄ってくると、エルケードの着ているローブの端を掴み不思議そうに首を傾げた。




