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旧復讐のパラドクス・ロザリオ  作者: 殻守
反逆の十字架
13/26

第13話 契約の朝

大変遅くなってすいません。

「そこにいたんですね」

後ろから声をかけられたエルケードは顔だけ後ろに向けた。そこには朝日に照らされたベルフが立っていた。そしてその手には古めかしい本が抱えられていた。

「どうです?十字架は馴染みましたか?」

手袋によって隠された右手を見て、ベルフは口元を緩めた。

「いやまだ違和感が拭えない。」

右手からは未だ何かの存在をハッキリと感じていた。

「それで」

エルケードはゆっくりと立ち上がりながら

「何の用ですか?」

と目を細めながらそう言った。

ベルフはクスッと笑うと、

「いえいえ、その十字架について詳しい話をしようとしただけですよ。」

右手を指差しベルフはそう言った。

「十字架に13個の宝石が付いていますよね。」

エルケードはベルフが言ったことを確認するように右手の手袋を外した。

埋め込まれた十字架には13個の宝石が付いており、無色透明だったその色は黒く濁っていた。

「今その右手を使っても本来の力を出すことはできません。」

ベルフは続ける。

「その宝石の濁りをすべて払ってください。そうすれば本来の力を取り戻すでしょう。」

エルケードは右手から視線を外し、

「どうすればいいんだ?」

と尋ねた。しかしベルフは笑みをこぼしながら、

「それは私には分かりません。」

そう言った。エルケードは怪訝そうな顔をして、

「ふざけているのか?」

と怒気を含んだ声で言った。

それでもベルフは笑いながら、

「そうは言われましても私は知りません。知りたいならそれに聞いたらどうですか?きっと教えてくれますよ。」

そういいながらベルフはエルケードの右手を指した。エルケードは呆れてものも言えないように溜め息をつくと、

「分かった、俺はもうこの村を出るからな。」

と言った。ベルフは表情一つ変えることなく、

「それは寂しくなりますね。」

とそう言った。エルケードがその場から離れようとベルフの横を通り過ぎ、

「そう言えばいい忘れたことがありました。」

と不意に後ろから声をかけられた。顔だけ振り向きベルフを見る。相も変わらず笑みを絶やさないベルフは、

「契を果たせ」

「は?」

「『契を果たせ』と唱えればその右手は力を貸してくれますよ。」

と言った。エルケードは何も言わずに正面を向き直し、その場から離れた。

ベルフはただただ笑いながらその様子を眺めているだけだった。

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