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嘘告してきた女の子を洗脳したら、何故か幼馴染まで嘘告してきた。

作者: 井村吉定
掲載日:2026/02/28

脳がバグります。理解しようとはせず、感覚でお楽しみ下さい。

「アハハハハ!」


 その会話に一体何の生産性があるのだろう。彼女達の言葉は、僕には全て薄っぺらく思える。


 意味もなく机に腰掛け、これ見よがしに太ももをアピールしてくる。パンチラしたいんだか、したくないんだか僕にはよく分からない。


 ちょっと距離のある席に座ってるのに、鼻に付く匂いがプンプンする。可愛いくない系女子が、自分を可愛いと思い込んで嬉々として付けるタイプの香水の匂いだ。先生に怒られるぞ。


 辟易しているおしゃべりの中心には、相模(さがみ)陽菜乃(はなの)がいた。互いにとって不幸なことに、彼女は僕の幼馴染なのである。


 陽菜乃はいじめっこ気質で、些細なことで誰かに罰を与える。パンを買ってこいだとか、宿題を変わりにやれだとか、そんな分かりやすいのはまだいい。


 だが質が悪いのは人の心を弄ぶことだ。彼女はは独裁者で。NOと言えない状況を作り出す。人を従わせることに果てしない幸福を感じる。


 事が思い通りに進むとほくそ笑む。目鼻がはっきりしているせいで、それが端から見るといじめだと思えないのがまた憎たらしい。


「今週の罰ゲームする人って……誰だっけ?」


 うわ、うっざ! 間違いないく、これは分かってて言ってるパターンだ。自分から言わないと、あとから酷い目に遭わせるぞと暗に脅している。


「私……」


 手を上げたのは、如何にも優等生って感じの(すめらぎ)佳名(かな)さんだ。見た目は地味だが、男子には刺さるタイプ。丸渕眼鏡が妙に可愛らしい。


「佳名だったんだ。じゃあさ、そこで突っ伏してる陰キャに嘘告してよ」


 こいつ……。僕――円山(まるやま)光二(こうじ)が本当に寝てると思ってやがるな。全部聞こえてんだよ、くそが!


 こちとら推しのVTuberに彼氏にがいる疑惑出て疲れてんだよ! ホントもう……静かにしてくれ。


「いや……でも、円山くんに悪いよ……。彼にだって好きな人くらいいるだろうし……」


 円山くんにだってとか、犬猫みたいな扱いじゃないですか、やだー。皇さんは雰囲気は優しいけど、クラス内カーストには敏感で、たまにえげつないことを言う。


 そこは嘘でも僕の事が好きな素振りは見せてほしい。男って生き物は思いの外単純だ。下心あることよりも、下心があるかもしれないと思わされる方が、すんなり受け入れたりするんだぜ、お姉さん。


「ねえ……皆我慢してるのに、あんただけ何もしないわけ?」


 出たよ。皆とかいう、この紋所が目に入らぬかー! 的な単語。まるで黄門様だね。……あ、○門じゃないよ? やかましいわ!


 陽菜乃の中心とする女子グループでは、ゲームと称し、皆平等に罰を与えられる。嘘告白もその一貫だ。


 苦しみを共有させ、連帯感を強くさせる。幼馴染をそれを無意識やっている。

 ギャル風の見た目なのに、その行動は独裁者である。こえーよ。


 陽菜乃はいつの間にか化け物になっていた。昔はあるがままの現実を受け入れ、一喜一憂していたと言うのに、今ではその裏を読み、コントロールしている。


 皇さんは罰ゲームから逃げられないだろう。女子独特の同調圧力、そこに抗うには、相当強い精神を持たなければならない。

 僕としては罰ゲーム利用され、甚だ不快なのだが、少しだけ彼女を気の毒に思う。




「円山くん、好きです。私と付き合ってください」


 放課後、案の定皇さんは僕に嘘告白をしてきた。彼女は罪悪感からか、僕と目を合わせようとはしない。


 疲れる。僕が嘘告されたのは人生で計3回、皆陽菜乃が主導である。一週回って幼馴染は僕のことが好きなんじゃないか?


 でも面白い気がしてきた。腹立たしいことではあるが、この状況利用してやりたい気持ちもある。

 ほらよくあるだろ? 嘘告したら本気で好きになっちゃった系とかラノベとか。


 僕がそれを実践するんだ。圧倒的に下に見ている人間からのさりげないアシスト、考えていないように思えて考えている姿を見せる、人はそんな構図に弱い。


 皇さんの告白は嘘だと僕は理解している。ならばそれを全面打ち出して、罪悪感を植え付ける。


 彼女は根が優しい人だ。道義に反する行為は本能的に嫌っている。

 その場でバラせば傷は少なくて済む。だが真面目な人ほどそれができない。


 だが、優しいけどプライドはある。彼女は努力に嘘を付けなくて、努力を目的になってしまうタイプだ。


 喰える……。喰えるぞ! 皇さんは絶好のカモだ。僕が幼馴染の裏をかくための踏み台になれる。


 ぐへへへ、見てろよ陽菜乃。僕と付き合うことが罰? そんな驕った考えをぶち壊してやる。



 ★☆★☆★



「皇さん、無理してない?」


 生理的に受け付けない、陰キャの円山くんが発した言葉は、思いの外柔らかいものだった。嫌々だったこの任務も少しだけ心が温まるものとなる。


 一人は嫌だ。仲間外れにされたくない。自分の知らないところで、知っている人達が幸せそうにしている。それが私には堪らなく嫌だ。


 見える限りの世界で、私は幸せを手に入れたい。

 世界では貧しい人がいる。だからお前も苦しくなれ。私はそんな価値観が嫌いだ。


「ごめんね、変なことに付き合わせちゃって。陽菜乃ってさ、昔からああなんだよ。無理しなくていいからね」


 でも円山くんはそんな醜い私を受け入れてくれるように思える。ごめんねなんて言えるのがその証拠だ。


 彼もまた周囲の圧力に苦しんでいる。言いたいんだけど、言えない。そのもどかしさ理解してくれるように思える。


「ううん、無理してないよ」


 ついつい抱きついてしまった。やっと理解者に出会えたような気がして。


 彼はきっと安心を与えてくれる。これでバッチリだ。嘘告白としてはこれだ体裁が保たれる。


 でも離れられない。彼は嘘告をした私を受け入れてくれるように見える。その事実が私を雁字搦めにした。


「それいいね。皇さん」


 付き合って1ヶ月、私は彼に強い罪悪感を抱く一方で、円山くんは飄々としている。


 彼は常に背中を押してくれる。私の想いを応援してくれる。乗せられてる気がしないでもないけど、それが思いの外心地いい。


「全部分かってるんでしょ! わたしが円山くんのことが好きじゃないことなんて!」


 ある時私は叫んだ。耐えられなくなって、思いの丈をぶちまけた。


「嫌だなぁ……佳名。僕は佳名のステータスが好きなんだよ。地味だけどおっぱい大きいし、黒髪で清楚な感じが好きなんだ。性格とか相性とからいくらでも変えられるでしょ? ありのままの佳名が僕は好きなんだ」


 だめだ……。どんどん彼のことを好きになってしまう。理性のタガが外れ、気付いたら、毎日のように行き過ぎた行為をするに至ってしまった。


 本当に気持ちいい。頭の中を快楽で塗り替えられてるような感覚がする。もうたまらない。


 だけど教室片隅で拳を握りしめる女がいる。その女は歯を喰い縛って、私を睨み付けた。


『え!? 嘘告した人をガチで好きになっちゃいけないルールとかあるんですか?』


 そんなマウントを取りたくなる。気持ちいい。今まで好き勝手やっておいて、思い通りにならない不快感を露にする。なんなのこいつ。


 相模は私に陰キャに告白させて、馬鹿にされる構図を見たかったのだろう。


 でも実態は違った。彼女は結果的に私と光二くんお見合いさせる形になった。光二くんは私の人生のパートナー、もう逃がさない。


 アヒャヒャヒャヒャヒャ! 相模、そんなに光二くんのことが好きなら、別れてあげてもいいわよ。好きにしなさい。光二くんの大事なものは全部私の手にしたのだから。


 あんたが欲しかったのは、光二くんとの静かで安心できる未来。でも結果的にあんたはそれを私に差し出してしまった。


 相模、もう遅いわよ。私は絡め取ったの、光二くんを。何をするにしても彼は私の顔が思い浮かぶ。


 私から離れられない。常に私を心のどこかで抱えてる。そんな状況あんたは耐えられる?




「光二……あのね」


 うわ、やべぇよ。突然皇さんフラれたかと思ったら、いきなし裏イベントが発生してんだけど。


 なんで陽菜乃が僕に告白する展開になるの? 言っとくけど、薬とか盛ってないからね。


 幼馴染は佳名さんよりおっぱい大きいけど、僕の好みじゃない。なんか香水がプンプンする。髪の色は校則違犯じゃないから色鮮やかだ。


 警戒は怠らない。こいつは人を陥れることに快楽を得る女だ。


「光二、分かってるんでしょ? 私はもう上の人間じゃないの」


 ああ……そういうことか。随分と落ちたもんだ。クラスカーストのトップが罰ゲームを受けるなんて。


 なら容赦はしない。徹底的に弄んでやる。僕を裏切った苦しめた代償として。



 ★☆★☆★



 なんかよく分からないけど、変なことを言ったら、光二と付き合うことになった。

 私が口にしたのは、落ちたとか、上に入られなくなったとか、そんな曖昧な言葉だけ。


 でも光二は食いついてきた。付き合ってから、彼は妙に寄り添ってくる。


 ずっと光二のことが好きだった。でも彼は私の思い通りには動いてくれない。


 だから私は嘘告白をさせた。疑心暗鬼させて、安心できる存在は私しかいない、そう思わせたかった。


 でも逆効果だった。光二は私を警戒し、信用しなくなった。


 苦しくなった私は全てを嘘で塗りかためた。好きじゃない、興味もない、そんな感じで彼に告白した。


 すると光二は満面の笑みを見せた。彼は私をお姫様のように扱うようになった。


 幸せだ。幼馴染が誰かとキスしたとか、付き合ったとかそんなことはどうでもいい。彼が傍にいるだけで私は満たされている。


最期まで読んでいただきありがとうごさいました。

書きなぐった作品なので、お手柔らかに評価して頂けると幸いです。

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