支えてくれてる人たち
今日は、中学時代の仲間に会う日だ。
地元の中学は、数年前に廃校になった。
過疎化、統廃合、効率化。
理由はいくつもあったけれど、要するに「もう集まる場所がない」ということだけが残った。だから同窓会も、自然消滅した。
駅前の小さな喫茶店。
ドアを開けた瞬間、声が重なって聞こえる。
ワイガヤ。
あの頃のままの音量。
一気に、時間が巻き戻る。
制服はない。
髪型も、立場も、みんな違う。
それでも、顔を見た瞬間に分かる。
「あー、変わんないね」
「いや、そっちでしょ」
どうでもいいやり取りが、妙にあたたかい。
コーヒーが来る前に、もう話は散らばっていく。
仕事のこと。親のこと。戻る予定のない実家のこと。
誰も仕切らない。結論も出ない。
ふいに、隣に座った彼女が言った。
「なんか、痩せたね。無理してない?」
私は、一瞬だけ言葉に詰まる。
「……話したいことあったら、聞くよ」
「困ってたら、力になるから。言ってよ」
その言い方が、あまりにも昔と同じで。
評価も、分析も、心配の理由探しもない。
ただの、声。
涙腺が、少しだけゆるんだ。
泣くほどじゃない。
でも、ちゃんと揺れた。
ここでは、私は
役に立つ人でも
気が利く人でも
便利な人でもない。
ただの「同級生」だ。
店を出る頃には、もう夕方で、
次に会う約束も決めないまま、みんな散っていく。
それでいい。
それがいい。
私は、少しだけ背筋を伸ばして、駅へ向かった。
●次回から
「ある人」の過去について更新します
(全5話予定)




