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追放された支援術師、実は王国の損失を消していた件 〜勇者パーティを抜けたら、判断役として国家案件を任されました〜  作者: 鷹宮ロイド


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第2話 失敗の責任は誰のものか

 次の依頼は、予定より難度が高かった。


 事前情報では「中規模ダンジョン」。

 だが実際に潜ってみれば、魔物の数も配置も明らかにおかしい。


「……嫌な感じがする」


 俺は足を止め、周囲に視線を走らせた。


 空気の流れ、足音の反響、魔力の揺らぎ。

 どれも、増援が来る前兆を示している。


「一度戻った方がいい。

 この先、挟撃される可能性が高い」


 珍しく、俺ははっきり口にした。


 だが――


「はぁ?」


 レオンが振り返り、露骨に顔をしかめる。


「またそれかよ。

 ビビりすぎなんだって」


「敵の気配は感じないわ」


 ミレイアも同意するように頷いた。


「私の感知魔法に反応はないし。

 アルトの勘って、外れることも多いでしょ?」


 外れたことは、ほとんどない。

 だが、それを証明する術はなかった。


「進むぞ」


 レオンは俺の意見を切り捨て、前に出る。


 嫌な予感が、胸の奥で膨らんでいく。


 ――そして、その予感は外れなかった。


 戦闘開始から数分後、背後の通路が崩れ、魔物が雪崩れ込んできた。


「っ、後ろから!?」


「増援だと!?」


 混乱する前衛。

 俺は即座に支援を重ね、退路確保のための指示を飛ばす。


「右壁際に寄れ!

 突破口はそこしかない!」


 だが、遅かった。


 連携は乱れ、ミレイアが被弾し、ゴルドが吹き飛ばされる。


 辛うじて撤退には成功したが、全員が満身創痍だった。


「……チッ」


 ダンジョンの外に出るなり、レオンが地面を蹴った。


「最悪だ。

 こんな被害、久しぶりだぞ」


 沈黙が落ちる。


 その中で、レオンの視線が――俺に向いた。


「なぁ、アルト」


 嫌な予感が、確信に変わる。


「お前、さっき言ってたよな。

 挟撃されるとかなんとか」


「……ああ」


「じゃあ、なんで防げなかった?」


 一瞬、言葉を失った。


「それは……

 警告はした。進路変更も――」


「結果は?」


 レオンは言葉を遮る。


「被害出たよな?

 ミレイアもゴルドもやられた」


 ミレイアが腕を押さえながら、ちらりと俺を見る。


「……確かに。

 支援がちゃんとしてたら、ここまでにはならなかったかも」


 その一言で、空気が決まった。


「そうだよな」


 ゴルドも頷く。


「アルトの支援、最近微妙だし。

 前みたいにうまく回ってない気がする」


 俺は、何も言えなかった。


 警告を無視したのは誰か。

 撤退を決めなかったのは誰か。


 それを口に出した瞬間、

 この場で俺が「面倒な奴」になるのは分かっていた。


「……次は気をつける」


 そう言うしかなかった。


 レオンは満足そうに息を吐く。


「頼むぞ。

 支援術師なんだから、ちゃんと仕事しろ」


 その言葉を聞いた瞬間、

 俺ははっきり理解した。


 ――このパーティは、失敗の責任を俺に押し付けるつもりだ。


 功績は奪い、

 失敗は押し付ける。


 ここに、俺の居場所はない。


 だがまだこの時点では、

 俺は「切り捨てられる側」だとは思っていなかった。


 それが、彼らのほうから言い出されるまでは。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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