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追放された支援術師、実は王国の損失を消していた件 〜勇者パーティを抜けたら、判断役として国家案件を任されました〜  作者: 鷹宮ロイド


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第1話 役立たず扱いの支援術師

※本作は、いわゆる「ざまぁ系」の作品です。

ただし、主人公は怒鳴ったり復讐に走ったりはしません。


追放された支援術師が、

淡々と評価を積み上げ、

気づけば立場が逆転している――


そんなお話になります。


静かな逆転劇がお好きな方、

どうぞお付き合いください。

 ――また、か。


 血と土の匂いが混じるダンジョンの通路で、俺は一歩後ろに下がった。

 前に立つ勇者レオンが、大剣を肩に担ぎながら振り返る。


「おいアルト、支援まだか? 遅いぞ」


「……もうかかってる。防御補正と反応速度、両方だ」


 俺の声は、戦闘の熱気にかき消されるように小さかった。


 支援術は派手じゃない。

 剣が光るわけでも、魔法陣が炸裂するわけでもない。


 だが、パーティ全体の生存率を左右する――

 少なくとも、俺はそう信じてここまでやってきた。


「は? 実感ねぇんだけど」


 レオンが舌打ちする。


「結果がすべてだろ。前より敵の数多かったし、今日ちょっと被弾多くね?」


 横から、魔法使いのミレイアが口を挟む。


「確かに。

 支援って、正直誰がやっても同じじゃない?」


 胸の奥が、わずかに軋んだ。


 俺は何も言わない。

 言い返したところで、空気が悪くなるだけだと知っている。


 このパーティで評価されるのは、いつも前衛の戦果だけだ。


 勇者が斬った。

 魔法使いが焼いた。

 戦士が守った。


 そこに至るまでの

 「失敗しなかった理由」は、誰も数えない。


「まぁいいじゃねぇか」


 戦士のゴルドが笑いながら肩をすくめる。


「勝ったんだし。

 細かいことは気にすんなよ、アルト」


 ――細かい、か。


 俺は心の中で苦笑した。


 罠を避けたのも、

 奇襲を察知したのも、

 敵の増援を読んで進路を変えたのも、

 全部「細かいこと」らしい。


 ダンジョンを出たあと、報酬の分配が行われた。


「今回もいつも通りな」


 レオンが当然のように言う。


 前衛が多め。

 俺は最低限。


 支援術師は消耗品だ。

 代わりはいくらでもいる――

 そういう扱い。


「異議あるか?」


 形式的に聞かれたが、視線は一瞬も俺を見なかった。


「……ない」


 そう答えた瞬間、

 胸の奥に溜まっていた何かが、静かに沈んだ。


 俺はこのパーティに必要とされていない。

 それだけは、はっきり分かる。


 だが、この時の俺はまだ知らなかった。


 俺を「役立たず」と切り捨てるという選択が、

 勇者パーティにとって

 取り返しのつかない“致命傷”になることを。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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