見知らぬ街
パラレルワールド、異世界駅。そんな話を聞いたことがある。
神隠しに遭うとどうなってしまうんだろう。
実は僕は子どもの頃に一度そうじゃないかと思われる場所に迷いこんだことがある。
あれは小学生の高学年ぐらいの頃に、近所の山を探索していた時だ。
急に山が開けて見知らぬ街にたどり着いたことがあった。
どこからおかしくなってたか分からない。どうやって入り込んでしまったかもわからない。
まだ小学生だったが、それまでそこにそんな街があったことも知らなかったし、実際そんな街は地図では存在していなかった。
その後も友人を連れて探しに行ったことがあったが、たどり着くことはできなかった。
中学、高校と活動範囲が広がっても、地元にそんな街があるとは確認できなかったのである。
だからあれはよくいう異世界とゆうやつだったんじゃないかと思っている。
子どもの頃のことだし、どうやってその入り口を通ってしまったのか、境界がどこだったのかは謎なままだ。
なんで帰ってこれたのかも分からないのだ。
その街では人がいなく、音が全然しなかったのを覚えている。
僕が探検をしていたのがまだお昼だったのに、街に入った時は夕方の空模様になっていたのも記憶にある。
こんなとこがあったんだ。とか、もうそんなに時間が経った?
なんて思ってその街をさまよっていた。
怖いことは何も起こらなかった。
ただ、オレンジ色の空をみて、帰らなきゃと思った。
夜の山は怖いし、どこまで来てしまったのかも分からないので急いで帰ろうとしていたのを覚えている。
でも帰り道が分からないのだ。
どの道からきたかもなんだか思い出せなくて、街から出れるような大通りや標識なんかも見当たらずとにかく焦っていた記憶がある。
街の端には鬱蒼とした山があって、自分はそっちからきたはずなのだが、なんだが怖かった。
でもそうは言ってられず僕は山の方へ走っていった。
方向的にはこっちの方だったはず、そう思って自分がきたと思われる道を探すけど、それが見当たらないのだ。
それでも山の中へ続く道があって、来た時と同じ道だとは思わなかったが意を決して入っていったのを覚えている。
だけどその後のことが全然記憶にないのだ。
気づいたら泣きながら自分の街の脇を通る国道を歩いていた。
いつ山を抜けたのか、その時は全然気づいていなかった。
結構な時間さまよった気がして足も疲れていたが、まだ夕方のままだった。
とにかく自分の街に戻ってこれたことが嬉しかった。あの時の安心感は相当なものだったと思う。
家に帰って母と会った時もすごく安心した。
僕を見るなり違和感を感じたのか、
どうしたの?と母に聞かれ、迷子になった話をし、子どもだけで山や遠くにいくのはやめなさいと注意を受けた。
しかし、母もそんな街は知らないと言っていた。
その時は、そんなところがあったんだと母もあまり気にしてない様子だったが、
自分も周りの知人たちも誰もそれからその街へ行ったとゆうことを聞かなかった。
夢じゃない?なんて言われたこともあった。
でも僕はあれはやっぱりこの世のものじゃない異界にあたるものだったんじゃないかと思う。
ただ僕がとても焦っているのが、あの時に見た見覚えのある街が今僕の目の前に広がっているからだ。