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怖い想像。  作者: 逃げ水
2/14

二本目の電柱

 僕の住んでいる町にはちょっとした噂がある。


この町の1丁目と2丁目を分ける通りに幽霊が出るとゆう噂だ。


通りと言っても大きいものではなく、車通りも多くはない。夜になれば街頭は点々とつくものの暗さが際立っている。町自体が静かなもので、夜になると深夜でもないのに寝静まったような雰囲気になるのである。


この町の2丁目は高台になっており、1丁目側からみると2丁目は壁になっており、その壁の下を通っているのがその道なのである。


その道の角を曲がって2本目の電柱に女の人の霊が出るとゆうのが僕の学校で有名な話なのだが、先輩はもちろん卒業生である姉まで知っている噂だったので、出所はわからないがずっとある噂なのだろう。


こういった話が好きな連中はどこにでもいるわけで、ほんとか嘘か、見ただの見てないなどと騒ぐやつがいる。


血まみれだったとか、足がなかったとか、長い髪だとか、人によって言うことも違えば、1人の話に同調して同じのを見たなどと話すものもいて、どうにも信憑性に欠けていた。


男子とは馬鹿なもので、僕のグループも遊んだ帰りにそこを通ると必ずその話を持ち出すやつがいて、最終的にうわー!とふざけて叫びながら走り出すのがいたものだ。


僕も1人でそこを通る時はその噂が頭をよぎったりすることがあるが、それまで霊を見たことはなかった。


見たというやつも、怖がるとゆうより自慢気に話をするものだから、よくある誰かが作った話なのだろうと思っていた。


その噂もある程度時間が過ぎると流行りのようにみんな興味をなくしはじめ沈静化する。


僕も特別気にしなくなっていた。


その為いつも特に気にせずその道を通っていたのだが、


ある日友達と公園でグダグダたむろしてから1人で帰っている時だった。


夕暮れ時のそれも少し時間が進んで、空はまだ青さを残しているものの、辺りは暗くなってきてもう幾許で夜になるぐらいの時であった。


噂の電柱の影に女の人が立っているのが目に入った。


僕の頭にあの噂がよぎった。


ビクッとして一瞬で鳥肌が立った。


引き返して、別の道から帰ろうかとも思った。


しかし、たまたまそこに人が立っていただけで、普通の人だったら…


とか、


その道は直線なため、いきなり引き返すのは逆に変に見られるんじゃないか


とか考えてしまっていた。


実際かなりビビっていたが、僕ももう身体が大きくなっていたし、逃げ出すのもダサいと思った。


なので、内心怖がりながらもそこを通ろうと足を進めた。


あんなところで何をしていたのだろうか、あんな中途半端なところで誰かと待ち合わせするだろうか、なぜそこで立ち尽くしているのだろう、向こうも歩いているならただの通行人だと認識しただろうが、電柱の脇でじっと立っているだけなのが不気味なのだ。


そんなことを考えだすと不審なことだらけだが、その時はそこまで考えが及ばなく、人がいる!おばけ?通るか通らないか、など表面的な思考で精一杯であった。


僕はできるだけ平然と通り過ぎるよう努力した。しかし、怖い気持ちが早歩きにさせていた。そして怖くて見てはいけないとゆう気持ちと、怖いものみたさとゆうか、気になるとゆうか、見たい気持ちもあり、目線を落としながらもチラチラと視界の端でその女の人を気にしていた。


近づいてみるとその女の人の服は、赤っぽいとゆうか茶色とゆうか、そんな染みのようなもので汚れていた。チラ見だったので曖昧だがそんな印象を持っていた。しかし、それよりもゾッとしたのが近づくにつれ、その人が何かをブツブツ呟いているのが聞こえた時である。


それが聞こえて思わず顔をあげてその人をみてしまったのだが、睨みつけるような目と視線が合ってしまったのだ。その目の鋭さにビックリして、その人がどんな人相をしていたかまでは覚えていない。でもすごい目でこっちを見ていたのはハッキリ覚えている。


僕はさらに足早にそこを通り過ぎていったのだが、

その時に、「違う」とゆう言葉が聞こえたように感じた。


その前から何かを呟いていたのでよくわかっていなかったが、とても怖かった。


通り過ぎてから少し歩を進めて振り返ったが、女の人はあいかわらずその場で反対方向を見たまま立っていた。


こっちを見てなくて少し安心したが、不気味なことに変わりはなかった。


あれが噂の幽霊だったのだろうか、近くの住民さんだったとしても怖過ぎる。

あの人を見かけた人がこんな噂を流したのだろうか。


その日はずっと怖くて仕方がなかったものだ。


次の日に友人にこの話をした。

友人はマジか!といった表情でおもしろそうに聞いていたが、多分それは目撃する前の自分と同じものなんだろう。信憑性に欠ける怖い話を聞いているだけのものなんだと思う。

実際に見てしまうとそんな反応はできない。


それからとゆうもの、その道に差し掛かると僕は自然とその電柱を確認するようになっていた。


あれからしばらくはその道を自然と避けるようになったし、たまに通る時もいるかいないかを確認してから通るようになった。


あれ以来あの女の人は見かけなかったので、あの日たまたまかとも思ったが、つい見てしまうのだった。








するとこの前、

あの日ぶりにその女の人、多分あの時の女の人を見かけた。


遠目からチラッと見ただけだったが、おそらくあの人だと思う。癖になっていたのだろう。その道を横目に確認した時だった。あの日と全く同じようにそこに立っているのが見えた。


あれから10年ぐらい経っただろうか、僕も社会人になってもう地元を離れていた。実家に帰省した時のことだったが、その人はいまだにそこに立っていた。

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