表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怖い想像。  作者: 逃げ水
15/15

笑顔の女性

 私は深夜の時間帯に散歩をするのが好きだ。人も車もほとんどなく、ガランとした雰囲気がなんとも言えず癖になる。


私の家から15分ぐらい歩いたところには大きい公園もあり、よくそこをブラッと歩いては深夜の空気を楽しんでいた。


その日もその公園を散歩していた。自動販売機でコーヒーを買って、公園内にある池の周りを半周ぐらいして、池の脇にあるベンチに腰掛けた。カシュっと缶コーヒーを開けてぐいっと飲んだ時だった。


池を挟んで向かいに女の人が立っているのが目に入った。公園には少数ではあるが、深夜でもちらほら人がいたりする。その人も散歩でもしてて、池でも見つめながら休憩をしてるんだろう。と最初はそう思った。


だけど急に気味が悪くなってきた。なぜならその女の人がこっちを見ているように思えたからだ。手すりごしに正面からまっすぐこっちを見つめている。池を挟んでいるので距離はあるが、目と目が合っている気がするのがなんだか気持ちが悪かった。


いや、きっと自分が向こうを気にしてるようにむこうもこっちが気になったのだろう。深夜は人もあまりいないためについ目に入った人に注目してしまったのだろう。そんなふうに考えて自分を納得させた時だった。


女の人がニタッ笑ったのが目に飛び込んできた。距離はあったが間違いない。衝撃的な顔だった。黒目の大きな目、大きく口角が上がった口、笑ってるのに感情が感じられない顔、私はゾッとして思わず立ち上がった。怖かった。なぜこっちを見ているのかも笑っている理由もわからなかった。とにかく不気味で早くその人から離れたかった。


私は怖くなって早足で公園の出口へ向かった。後ろをついてきてやしないだろうかと途中振り返ってみたが、女の人がついてきてる様子はなかった。


もうこのまま帰ろうと公園を出たとこだった。片側2車線の大通りの向かい側にさっきの女の人が立っていた。私は思わず声がでそうになった。さっきと同じお面のような笑顔で反対側からこっちを見ている。いつ回り込んで向こうに行ったのか、ありえないと思ったが、さっきと同じ人だと疑わなかった。それほど忘れられない顔だった。


私はできるだけそっちを見ないように大通り沿いを家の方へとぐんぐん歩いた。するとその先の大きな十字路で、私が行こうとしてる横断歩道向こうにまたあの女の人が見えた。私は恐怖でいっぱいになった。怖くて横断歩道は渡らず左へ曲がり思いっきり走った。


それから家に帰るまで、ところどころでその女の人を見かけた気がする。通り過ぎたアパートの3階、狭い路地。私はなるべき周りに視線をむけないように走った。途中振り返った時に後ろの方から変わらずこっちを見ていたが、それを最後に家が近づいてきたぐらいには見かけなくなってきた。


家についてからも心臓がバクバクして落ち着かなかった。怖くて窓の外が気になっても見ることができなかった。あの人がいそうで、あの人の顔が忘れられなくて仕方がなかった。


結局あれからその人を見たことはなかったが、私はもう深夜に散歩に行くのは辞めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ