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怖い想像。  作者: 逃げ水
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こっちを見てる。


 私は小学生の頃、近所の書道教室に通っていた。


自宅から歩いて5分もかからない近くにある教室で、戸建の家を改装してつくられた小さい規模のものである。


生徒数は多くなく、近所でできる習い事ぐらいのものだった。


学校が終わってからの習い事とゆうこともあり、夕方に教室があった。


私は書道に対して思い入れがあるわけではなかったが、嫌いではなかった。


学校で習字の授業があることと、何かしらの習い事をさせようとゆう両親が手始めに習わせたのがこの教室であった。


特別やりたいことがなかった私に、やっておいて損はないものを選んだのだろうか。


書道は面白いとも思わなかったが、先生は優しかったし、字を褒められるのは悪い気はしなかった。


ただ、その頃の私が苦手だったのが書道教室から自宅までの帰り道である。


その頃の私はまだ夜の暗さが怖かった。


夏はまだ明るいが、冬になると帰る時には日が沈んで暗いのだ。


私の自宅や教室は住宅地の中にあり、特別不気味とゆうことはなかったが、お店などがあるわけではなく静かで、夜になるとぐっと暗くなるのだ。


小学生の私はそのなんでもない暗さがまだ怖かった。きっとそうゆう子どもは少なくないと思う。


なので、冬になると教室から家まで小走りで帰ることも多かった。


怖い噂もない、昼間は平和そのもののご近所であるが、夜は家の中でも怖く感じるものだ。


そんな子どもが抱く恐怖心だったのだろう。


もちろん何か怖い思いをしたことがあるわけじゃなかった。


ただ、一回だけ。


一回だけゾッと不気味に思うことがあった。


冬のある日、いつも通り教室が終わり暗くなった道を走って帰っていた時のことだ。


一軒の家の前を通った時、その家の車庫に止まってる車が目に入った。

縦列駐車タイプの車庫で横向きに止まっていた車である。

その車は灯りが消えていて暗く沈んでいた。

それはいつも通りの風景だった。


住宅の車は大体この時間には各お宅の家に停まっていて、風景の一部として溶け込んでいる。


その日も変わりはなかった。


ただその家の車の前を通った時、青白い顔が四つその車の窓からこっちを見ていたのが目に入った。


私は驚いてステップを踏むように飛び退け、そのまま走り去ったのをよく覚えている。


いきなり視界に飛び込んできた一瞬の出来事であった。一瞬なため確実な情報ではないかもしれない。


でもびっくりしていまだにその時のことが頭にこびりついていた。


冷静に考えれば、ただその家の住民が車で出かけるのか帰ってきたのか、そのタイミングで私が通りかかり、こっちを見たとゆうだけのことだろう。


その時も今もそう思って自分の中に落とし込んでいる。


しかし、不意に飛び込んできた青白い顔が忘れられないのだ。


一瞬だが、驚いただけに強烈だったのか、私の頭には恐怖として残っている。

脳内の補正がかかってしまっているのだろうか。


無表情でこっちを見つめている4人の顔がその当時怖くて仕方がなかった。


その家は帰り道のある角から私が曲がる次の角までの直線にある家であるのだが、その道に進入してから車が出るような雰囲気はまったくなかったのである。


また走り去って、次の角を曲がる時にその家の方を振り返ったが、車を出そうとしてるようには見えなく、車のライトはあいかわらず消えっぱなしだったのは覚えている。


もちろん全てタイミングの問題だろうと思う。


だが、あの時車で何をしていたのだろう。

なんであんな無表情でこっちを見ていたのだろう。


おばけが怖い年頃の私にはその当時怖くて仕方がなかったのだ。


それからとゆうもの変に緊張しながらその家の前を駆け抜けて帰ったものだ。


結局その時の一回しかその顔たちを目にしたことはなかったのだが。


その家の住民とは会ったことはないし、どんな人が住んでいたか知らない。

住宅地で特に絡みがないとそんなものだろう。


特に深く知ろうとも思わなかったが


あの時の青白い顔は今でも印象に残っている。

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