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第12話

○警察署入口


<主要登場人物>

・鷺宮=<元>陸上自衛隊からの選抜ユニットメンバー

・婦警のウタ

・草薙=警察庁からの元選抜ユニットメンバー

・藤堂=元警察庁からの選抜ユニットメンバー・現在田舎警察の一刑事

・新人=田舎警察の新人刑事

・婦警のお局さん

・渡辺=新聞記者

・助八=運転手

・伝蔵=運転手助八高校時代の悪友

・婦警の神子

・婦警のミサ

* * * * * * * *


婦警のウタをかかえた鷺宮がやって来る。


草薙「動くな!」


草薙と同時に左右から入って来る藤堂、新人、婦警のお局さん。

みな銃を構えている。

鷺宮、不敵な笑みを浮べ銃口を婦警のウタに向ける。


草薙「動くな! 無駄な策動はもう止めろ!」

鷺宮「できるのか?」

藤堂「...止めないのなら、ここで撃ち殺すぞ!」

鷺宮「あーっはっはっはっ! 撃てる物なら撃ってみろ! こいつが生きていよう

   がそうでなかろうが俺には関係ない。こいつを盾にして俺は逃げるだけだ。」

藤堂「...くっ!」

鷺宮「知ってるだろう? 俺の目的を。ふっ! できるのか? 仲間を見捨てる事

   が...。」

草薙「...!」

鷺宮「...おろかだな。まったく学んでいない。」


警察署の出口のドアを後ろ手であける鷺宮。


鷺宮「...追ってくるな...。さもないとこいつをその場で殺す。俺が欲しいのは、

   こいつの命ではない...。」


集まった他の黒装束とともにゆっくりと出ていく鷺宮。

鷺宮の笑い声があたりに響く。


草薙「...くっ!」

藤堂「......鷺宮ーっ!」


構える銃を下に下げる2人。


新人「...何やってるんですか? 2人とも! 早く追わないと!」


ドアをあけ、外に出る新人、しばらくして戻ってくる。


新人「タイアが、タイアが全部、打ち抜かれている! なんてこった...。」

藤堂「...あいつは…、あいつはプロだ...。お前にかなう相手ではない。」

新人「......だったら! だったら手を出さずに見てろって言うんですか? 

   藤堂さん、あんたはひきょうだ!」

藤堂「...。」


受付の中から立ち上がる渡辺、婦警の神子、婦警のミサ。


渡辺「大丈夫ですか...?」

ミサ「......いたたた。たぶん、大丈夫だと思うわ。」

神子「......あー、びっくりしたー! 死ぬかと思った。」

渡辺「...銃を打ち込まれて、よく2人とも無事だったですねー?」

ミサ「...やつらが打ち込んだ銃弾、見事にこの十字架が私の危機からかばってくれた

   わ。ああっ、ありがたやっ! 主よ、ありがとうございます。」

渡辺「...本当にそんな事、あるんですねー。」

神子「...ねえちょっと、私の事は聞いてくれないの?」

渡辺「...あっ、はいっ! 無事で良かったですね!」


婦警の神子、打ち抜かれた分厚い電話帳を差し出す。

渡辺、そんな事も気にもせず、婦警のミサをいたわる。

入って来る伝蔵と助八。


助八「......あー、びっくりしたーっ! いったい何があったんすか?」

伝蔵「...あのー、すみません。へんなやつが来て、婦警のウタさん連れさらっちゃっ

   たんですけどー。俺、牢屋に戻った方がいいすかー?」


心配そうに草薙を見つめる婦警のお局さん。


藤堂「...草薙、はじまっちまったな。」

草薙「...。」

藤堂「こりゃ、みんなに説明しないと、アカンなぁ...。」


不満そうに藤堂を見つめる新人。


--------------------------------------------------------------------------

○敵アジト内


<主要登場人物>

・鷺宮=<元>陸上自衛隊からの選抜ユニットメンバー

・婦警のウタ

・黒装束の一団

* * * * * * * *


鷺宮、手錠でしばった婦警のウタを早足で引きずる。


ウタ「いたいっ、いたいっ! 何をするの?」


鷺宮、婦警のウタをずるずる引きずり、鎖で上に吊るし上げる。


ウタ「いたいっ! いたぁいっ!(悲鳴系)」


不敵な笑みを上げる鷺宮と黒装束の一団。


ウタ「何をするの? 放しなさい! こんな事して許されると思うの?」

鷺宮「...。」

ウタ「私が何をしたって言うの? 早く降ろしてよ!」

鷺宮「...。」

ウタ「...早く降ろさないと、大変な事になるわよ! 私が警察官だって知ってるで

   しょう?」

鷺宮「...別にお前が悪いのではない。お前自身に罪はない。」

ウタ「...何言ってるのよ! あなた絶対許さないから!」

鷺宮「俺が必要なのは、お前自身じゃない。俺が欲しいのは、お前の声だ。」

ウタ「...何? 私の声? 私が応募したオーディションの最終予選に残った事、

   恨んでるの? あなたたちも応募してたの? でも何であなた、私のオーディ

   ション応募用紙、持ってたわけ? ひょっとしてあなたたちオーディションの

   関係者? 私の声が欲しいわけ? だったら何でこんな事するの?」

鷺宮「...わかってないな...。いちいちお前に説明しているヒマはない。

   我々が欲しいのは、お前の声、ではなく、その音を発する、お前の咽だ。」


鷺宮、ナイフを取り出す。


ウタ「...何いってるの? あなた正気なの?」


鷺宮が指を鳴らすと、アジト室内に照明がつき、異形のオブジェが浮かび上がる。


ウタ「うっ!(吐きそう)...これ...、何? ...まさか...!」


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○警察署入口


<主要登場人物>

・草薙=警察庁からの元選抜ユニットメンバー

・藤堂=元警察庁からの選抜ユニットメンバー・現在田舎警察の一刑事

・新人=田舎地方の警察の新人刑事

・婦警のお局さん

・渡辺=新聞記者

・助八=運転手

・伝蔵=運転手助八高校時代の悪友

・婦警の神子

・婦警のミサ

* * * * * * * *


藤堂「それは今から、10年以上も前。俺たちは駆け出しの刑事だった。」


藤堂、そう言って草薙を見る。


藤堂「ある時、俺と草薙は特別任務についた。それは俺たち警察と自衛隊の合同チー

   ムの任務だった。その任務とは世間には知らされていないテロリスト集団を逮

   捕・壊滅させる作戦だった。

   警察側の俺たちと、自衛隊側の鷺宮の3人は妙に馬が合い、絶妙なコンビネー

   ションで任務を遂行していった。

   

   世間に知らされていないテロリスト集団とは、言わばカルト集団だった。

   警察と自衛隊の合同選抜チームは、無事テロリスト集団を制圧、事件は解決し

   たはずだった。

   合同チームは解散、俺と草薙は警察に戻り、鷺宮も所属部隊へと戻っていた。

   しかし。


   事件自体なかった事とされ、テロリスト集団も存在しなかった事となった。

   俺と草薙は多少は不服に思ったが、よくある事と思い、記憶の奥底へと仕舞い

   込んでいた。

   だが、鷺宮が殲滅したテロリスト集団について興味を持ってしまったのが間違

   いだった。


   このテロリスト集団は、この世の終わりを唱え、世界の破滅を待ち望む危険思

   想を持っていた。

   鷺宮は残された資料に不正にアクセスし、調べ、そして『信仰』していった。

   それが理由で、鷺宮は自衛隊を除隊、闇へと消えていった。


ミサ「それと、今回の黒装束の集団は何の関係があるの? ひょっとして?」

神子「ひょっとして、その元自衛官の鷺宮っていう人が関係してる?」


首を縦に振る藤堂。


藤堂「カルト的テロリスト集団の研究を継ぎ、今回の事件を引き起こしたのは、そう

   鷺宮だ。」

新人「彼が、鷺宮って人が、受け継いだカルト的テロリスト集団の研究って、いった   

   い何なんですか?」

藤堂「今ここで説明しても信じてもらえるかどうか。」

新人「信じるも信じないも、今、まさに事件はおきているんです。どんな事なんです

   か?」


たまらずそれまで黙っていた草薙が口をひらく。


草薙「彼らの研究内容は、こうだ。我々のこの世界は神によって作られた。この地

   球、この全宇宙は神によって作られた。」

渡辺「まじで?」

ミサ「そうそう。(十字を切る)この世界は神によって作られた。」

神子「でも世界を作った神は決してひとつじゃないわ。」

お局「それで? それから、どうなんですか?」

草薙「この世界を、全宇宙を作った神が、時を超えて、この世に再び姿を現わすと、

   言う事らしい。」

ミサ「ええっ? 神が? 主が再び姿を現わすんですか!」

神子「だから、神はひとつじゃないって!」

藤堂「...問題なのはここからだ。彼らの研究によれば、神が再びこの世に現われた

   時、神はこの世を破壊するらしい。」

渡辺「ええっ! 神が? なんでまた?」

ミサ「おおっ! 主よ! 時はきたのですね! 私はその運命をよろこんで受け入れ

   ましょう。」


婦警の神子、婦警のミサをつきとばす。


助八「...でもそれが本当だとして、いつ? いつなんすか?」


その横で、そうそうと頭を振る伝蔵。


藤堂「...今から、800年後、の事だそうだ。」

渡辺「なんだー、びっくりしたーっ! まだ先の話じゃん!」


お局「何だ、良かった! まだまだ時間があるわね。」

草薙「実はそうも言ってはいられない事態になってしまった。鷺宮は、それを速めよ

   うとしているようだ。

   鷺宮は言わば破壊の神の召還を、今行おうとしているようだ。」

伝蔵「なんで? どうやって?」

藤堂「......神を、今や我々の世界を破壊する事にした偉大なる創造の神を呼び出す方

   法は、7つのラッパを空に向って鳴らす事。」

伝蔵「...7つのラッパ?」

助八「...ラッパ?」

ミサ「あーあ、それ、黙示録のラッパ吹き。」

神子「黙示録のラッパ吹き?」

ミサ「7つのラッパが鳴り響いた時、神が再び世界に姿を現わして審判を下す、って

   事です。」

渡辺「...でも、7つのラッパって何?」

お局「...今起きている誘拐事件と何の関係があるんですか?」

草薙「...7人目。婦警のウタさんが誘拐されて、ちょうど7人目だ。」

新人「...それって...!」


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