表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/15

第9話

○警察署内廊下


<主要登場人物>

・新人=田舎警察の新人刑事

・草薙=警察庁からの元選抜ユニットメンバー

* * * * * * * *


歩いてくる新人。


新人「この件は、これで確認とれたと。やっぱりこれは、あれだな。」


新人、反対方向から歩いてきた草薙とすれ違う。


新人「...ん? 今のって、たしか...。」


首をかしげながら、部屋のドアを開ける新人。


----------------------------------------------------------------------------------------

○警察署内


<主要登場人物>

・藤堂=元警察庁からの選抜ユニットメンバー・現在田舎警察の一刑事

・新人=田舎警察の新人刑事

* * * * * * * *


西日の暑い陽射しを浴びて、藤堂が書類のたばを見ている。


新人「お疲れさまです。いやー、今年の夏はとても暑いですね。去年とは大違いです

   ねー。暑は夏い、なんちゃって。」


新人の語り掛けを無視して、新聞を広げる藤堂。


新人「...。ところで、この間の誘拐事件の件ですけど、あれですね。

   同じような誘拐事件は、随分前からあちこちで起きてますね。

   ずっと未解決事件だったようです。我々の所轄内での発生は、

   まだ1件目。地方での誘拐事件も入れると、合計で6件確認されてます。

   その範囲は、北海道の山奥から、九州は鹿児島まで。四国でも確認されて

   ます。誘拐事件の被害者は老若男女問わず、関連性はない。被害者が発見、

   救出された報告もありません。全てではないのですが、目撃者によると、

   誘拐犯は、みな黒い服、頭には帽子、

   そして腕には、例のタトゥーが確認されています。」


新人、報告を終え、藤堂の表情をのぞく。

藤堂の表情は新聞によってよく見えない。


新人「この感じですと、誘拐犯が我々の地域にやってきた、て言う感じですね。」


藤堂、おもむろに新聞を置き、窓の外を見てつぶやく。


藤堂「...そうか、わかった。」


藤堂、おもむろに席を立ち、ドアに手をかける。


藤堂「新人、今日は上がっていいぞ。」

新人「えっ?あ、はい。でも誘拐事件の捜査、続けた方がいいんじゃないですか?」

藤堂「...大丈夫だ。この誘拐事件は、まもなく終わるだろう。いざと言う時のため

   に、休んでおけ。」

新人「...へっ?」


--------------------------------------------------------------------------

○署長室入口付近


<主要登場人物>

・婦警の神子

・婦警のミサ

・婦警のウタ

・婦警のお局さん

・草薙=警察庁からの元選抜ユニットメンバー

・渡辺=新聞記者

* * * * * * * *


草薙、ドアをノックして署長室に入っていく。

その様子を見た三人の婦警、飲み物を片手にうわさ話をしている。


神子「ねえねえねえ、聞いた?」

ミサ「なになに? 何の話?」

神子「死神よ。死神! あいつ、うちの署に来るんだって!」

ミサ「えーっ! ほんと! マジサイアクー。あたし異動願いだそうかなー。」

ウタ「なになに? 何の話?」

ミサ「死神よ。死神! あんた知らないの?」

ウタ「?」

神子「あー、あんた去年配属されたばかりだから、知らないのよねー。」

ウタ「なにが、ですか? 出るんですか? この署に死神が?」

ミサ「違うわよ! もうここらへんの所轄でも有名なのよ。死神って。」

ウタ「だからー、何がですかー?」

神子「死神って、不幸を呼ぶ人物なのよ。死神が関わった事件、人物、証人、

   それらの関係者は、ケガして入院したり、みな変な病気ににかかったり。」

ウタ「へーっ。」

ミサ「前の署長なんて、死神を転勤させようとしたら、階段から転げ落ちて、胃潰瘍

   になっちゃったのよ!」

ウタ「階段から落ちて、何で胃潰瘍なんですか?」

ミサ「知らないわよ!」

神子「とにかく、死神にかかわったら、絶対いい事なんてないわ!」

ミサ「そうそう。」


草薙、署長室のドアを開け、署長への挨拶を終え外に出てくる。

署内の案内図を見入る草薙の近くを、頭を掻きながら通り過ぎる渡辺。


ウタ「あら、渡辺。」

ミサ「何?」

神子「チビでノロマな田舎日報の渡辺。」

ミサ「あー、いつもだるそうにやる気なさそうに報道資料取りに来る、あの新聞記者

   ね。」

神子「いいわよねー。私たちが作った資料そのまんま記事にするんだから。ワイロ欲

   しいわよねー。」

ミサ「楽よねー。」

ウタ「そうそうそう!」

ミサ「なになになに?」

ウタ「そう言えば、あのチビでノロマな田舎日報の渡辺、あんたの事好きみたい

   よ。」

ミサ「ええええーっ! うっそーっ?」

ウタ「だって、資料取りに来る時、いつもあんたいないかなー?って感じで探してる

   のよ。」

神子「そうそうそう! 私が受付してた時なんか、私と話してる事忘れて、

   ずーっとあんたの事見てるのよ! 失礼よねー。」

ミサ「えええー、何か、いやだなー。」

ウタ「いいじゃん、結婚しちゃえば。」

ミサ「えっ? マジ?」

神子「そうよ! 手を打ったら? いつまでも高望みしてないでさー。いいと思う

   よー。」

ウタ「そうよ、そうよ! 贅沢は敵よ!」

ミサ「でもねー。あの人、チビだし。センスダサダサだしー。」

神子「そんな事言ってると、婦警のお局さんのようになっちゃうわよ。」

ウタ「そうよ! いつまでも高望みして、白馬の王子様って待ってるオールドハイミ

   スのいやな奴ー!」


署内の案内図を把握して、その場を立ち去る草薙。

その後を吸い寄せられるように、フラフラと歩いてくる婦警のお局さん。

婦警のお局さん、目をキラキラさせながら、立ち去った草薙にずっと熱い視線を送る。


神子「しっ!」

ミサ「何?」

神子「うわさをすれば、何とやら。」

ウタ「ホントだー。でも大丈夫でしょ? ここから結構距離離れてるし。」

ミサ「何言ってるのよ! ハイミスお局さんは地獄耳なのよ!」

神子「そうよ! 婦警のお局さんは500メートル離れていても、悪口だけはちゃんと

   聞き取るのよ!」

ウタ「悪口だけは? 便利な機能ね。」

神子「何してるのかしら?」

ミサ「...。」

ウタ「...。」

神子「...まさか...。」

ミサ「こ、これはトピックスだわ!」

ウタ「地獄耳と死神のカップル。け、結構、お似合いかも。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ