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米寿の鶴の一声

作者: 名空

 とある時代のとある町に、とても仲の良い老夫婦が住んでおりました。

優しそうで貫禄のあるお爺さんと物静かで可愛らしいお婆さん、

近所の人達は二人を仲睦まじいオシドリ夫婦だと言って羨んでいました。

しかしいつの頃からかそのお爺さんが、

なにやら家に若い女を連れ込んでいるらしいという噂が立つようになりました。

最初はみんな信じられないという風でしたが、

噂が広まっていくにつれ1度その様子を見てやろうと

町内の人達でこっそり老夫婦の家を見回るようになりました。

ですが肝心のその姿を見たという者は一向に出てきません。

外へ出歩く時も大抵二人一緒で、女の影など感じさせるような雰囲気はないのです。

夫婦には子供や孫もいましたが、既に大きくなって家を出ており、

たまの休みや盆と正月に帰って来るくらいでした。

しかし確かに家からは少女のような声が時折聞こえてくる、

明らかに娘の声だ、という報告が何件も寄せられます。

その口調というと高飛車な感じで、どうも老人相手に痴話喧嘩をしている内容のようでした。

あげくの果てには夜中にまぐわいの声すら耳にしたという者も出る始末。

ついに痺れを切らした一人の者がお婆さんに、

旦那さんは夜な夜な遊女を自宅へ招いているのではないか?と問うてみました。

するとしわくちゃの老婆は狼狽えながら返しました。

「そんな筈はありません、何かの間違いではないでしょうか…?」

その彼女の生娘のような美しい声を聞いて、

驚いた町の者達はそれ以上何も言いませんでした。

どっとはらい

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― 新着の感想 ―
声って意外と衰えないひとがいるので、意外と実際にもありえそうな話w 「どっとはらい」 調べたら「これでおしまい」の意味なのですね。 ひとつ勉強になりました。
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