第1話
「もっと飲めよ〜〜!」
「無理無理」
「飲むよなぁ!?ほら、イッキ!イッキ!」
「いやいや飲まないぞ…」
「じゃあコーラにするか?」
「コーラよりは水で」
「なら飲めよ!」
目の前にはコップ満杯に入った水が置かれている。
そしてその奥では友人である坂本 誠が目を輝かせている。
その目には『飲めよ』と書かれているかのようにこちらを睨んでいる。
しかし、俺の腹は限界に近かった。
飲むべきか悩んでいたその時だった。
「塩ラーメンと醤油ラーメンお持ちしました〜」
店員さんがラーメンを持って来てくれた。
誠は塩ラーメンに塩コショウをたくさんかける。
……塩分の摂りすぎとかにはならないのかな?
そして俺は目の前の醤油ラーメンと向き合う。
俺は割り箸を二つに折り、ラーメンを食べようとしたその時だった。
「あ、すまんすまんwww」
誠が俺のラーメンの中に塩コショウをぶち込んだ。
しかも蓋が開いているので、俺のラーメンの汁の上には大量の白い粉が……
白い粉はよくないな、うん。塩コショウが汁を覆った。
「誠?ふざけんなよ……?」
「ふ、ふざけてなんて……あるな」
「「……」」
ということがありながらの帰り道。
時刻は23時を回っている。
「でさ、2組の友美がさ……」
「3回聞いたわそれ」
といったような、二人で他愛のない話をしていたその時だった。
「君たち、ちょっと時間ある?」
俺たちは後ろを振り返る。
そこには、青い服を着て、青い帽子を被った人がいた。
つまり警察だ。
時刻は23時を回っている。そんな中俺らみたいな奴らが外で出歩いてたら補導もあるかもな……
と考えていたら、誠が小さな声で
「逃げようぜ」
そう言ってきた。
実際、補導はめんどくさい。
2回以上はされてきたから実によくわかる。
そうしてお互い目を合わせ、その後警察官の方を向く。
……距離は5m。しかもここは大通り。
逃げ切れるかわからない。
迷っていた、その瞬間誠が走り出した。
それに釣られて俺も走り出す。
「おいコラ!待て!」
ザッザッザッ……!
俺たちは後ろを振り向かずにひたすら走る。
ザッ……ハァ…ザッ……ザッ…ハァ……
しかし息が上がってくる。
まだ振り切れないのかと思い、俺は後ろを振り向く。しかしそこには誰もいなかった。
「お…い…誠…ハァ……後ろ……ハァハァ……」
「んぁ?……ハァハァ……」
俺らは警察を振り切った。
そう思ってただけだった。
その瞬間奴が現れた。
シャァァァ……!!
「やべ……チャリかよぉ!?」
「逃げるぞ!」
そして走り出したが……自転車から逃げれるはずもなく。
「止まりなさい!」
キキーーッ!!
進行方向を塞がれ、俺は自転車にぶつかりかける。
そして俺は何を思ったのか、車道へと飛び出す。
誠は自転車へと突っ込む。
キキーーッ……
「危な……」
ドォォォオオン!!
それが、最後の光景だった。
全身に痛みを感じ、目を開けることさえ辛い。
しかし、次の瞬間にはその痛みは消え去った。
目の前には…暗い空間が広がっていた。
「どこだ?誠、いるか?」
しかし返事もない。
そして俺は立ち上がり、前へと歩き出す。
しかし何も変わらない。
それからどれくらい歩いただろうか。
ドン!
ずっと暗闇で一切周りが見えない中ずっと歩き、ついに壁にぶつかった。
「やっと端か……」
そう思い、一息つこうとした時だった。
目の前に光の玉?のようなものが現れ、『ピキッ……』という音を立て、閃光を放った。俺はその閃光を直に食らってしまった。
そしてようやく周りが見えるか、となった時には俺は草原にいた。
「……はは……まさかな……まさか……」
そう言った俺は自分の頬をつねる。
しっかりと痛い。
今度は俺の足をもう片方の足で踏む。
しっかりと重い。
そうして俺はこれが夢でないことを確認する。
「これって……まさか……!異世界転生!?」
俺は目をキラキラとさせ、歓喜する。
そして俺は覚悟を決める。
この世界で生き延びる、と。
異世界転生系の小説や漫画は沢山読んできた。
そしてそれに憧れを感じていた。
しかし今、その夢が叶ったのだ!
と思っていると。
「おい!そこのお前、そこで何をしている!」
俺は声のする方向を向いた。
そこにはガスマスクをつけ、防弾ジョッキのような物をつけた人がいた。
「いや、特に何も……」
この世界に来たばかりなのだからこの返事は間違っていないと思いたい。
「とりあえずこっちに来い!」
俺は指示通りその人の元へと行く。
「俺について来い。護衛してやる」
俺はよくわからないが、護衛はしてもらって損はないので、この人に従うことにした。
そして、数歩進んだ時だった。
目の前に突然謎の液体が出現した。
「くそっ……スライムかよ……」
どうやらあの謎の液体はスライムらしい。
だが、自分の知ってるのとは違う。
青い奴じゃなかったっけ?スライムって……
しかし奴は灰色で、ところどころ赤い色をしている。
「しかもerrorかよ……おいお前、あっちに逃げろ」
「え?いや、俺も残りますけど……」
「いいから行け……ここは任せとけ。あっちに行けば近くの街に着くからな……」
「わかりました!」
そうして俺はダッシュで言われた方向に進む。
後ろでは爆発音が聞こえたりするが、まぁ多分大丈夫だろう。
少し死亡フラグも建ててたけど。
そして走り疲れて歩いていたら、奥に建物らしきものが見えた。
しかし、それは街というには少し酷なものだった。
何故なら、その一軒しか見当たらないのだから。
新シリーズです。
初めましての人は初めまして。
こんにち(ばん)は。ASTです。
最近暑くなってきてますが、乗り越えましょう……