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四話 妖とは

どうぞご覧ください。

四話 妖とは


妖喰あやかしぐらいいとの戦闘でボロボロ

になった体育館を後にした猫探偵ねこたんてい達は、

ねこ目探偵事務所めたんていじむしょに来ていた。

「つっっかれた……。」

猫探偵ねこたんていが、ぼふっという音とともにソファーに倒れこむ。

その様子を見た心来みくるは、この場に居る全員の飲み物を取りに隣の部屋に向かう。

状況を全くつかめない彼岸ひがん部長と小林こばやし先生と、

状況は掴めるが、妖喰いと戦いによって満身創痍まんしんそうい久瑠くる秋雷しゅうら

はただ呆然ぼうぜんとしていた。

「……!」

応接室にある異様な気配に気付いた久瑠秋雷が、応接室の扉の方まで下がる。

「何……なのですか。その刀と、棚にある木箱から発せらている、存在感と、圧迫感は……」

久瑠秋雷が、窓台まどだいの上にある刀掛かたなか

に置かれた三日月柄みかづきがらさやおさめられている刀と、

猫探偵と心来が全力で封印した呪いの人形が入っている木箱に対して、

先程戦った妖喰いと同レベルの畏怖いふ恐怖きょうふの感情が体から漏れ出ていた。

「ああ、あれか。触ったりしなければ害はないが……いや待て。」

猫探偵が立ち上がり、窓台にある刀に対して〝封〟と書かれた札をる。

そのまま棚にある木箱に刀に貼った物と同じ札を三枚ほど貼り付ける。

「はぁ、疲れた。応急処置だけどこれで当分の間は沈黙ちんもくするはずだ。」

猫探偵はそのまま疲れた様子でもう一度ソファーに倒れる。

そのまま無音の時間が数十秒の間流れていると、

人数分のお茶をお盆に乗せた心来が戻って来た。

心来がその状況を察する。

「……あー、猫さんの反対側のソファーに座ってくれますか?」

その言葉に、呆然としていた三人が猫探偵が倒れている

反対側のソファーに座る。

全員にお茶を配り終えると、心来が猫探偵をソファーから起こし

空いた場所に心来が座る。

「えっと、生きて来られたので初めに小林先生の疑問から。

小林先生が知りたいのはあの怪物、あやかしが何者かですよね。」

小林先生がその言葉に頷くと、心来は話を続ける。

「彼岸部長も妖について知らないと思うので、彼岸部長も聞いてて下さい。」

「分かっ……た。」

彼岸部長はいまだに信じられないという目をしつつも、

心来の話を聞く体制に入る。

「まず、妖というのは人の感情から生み出された思念体です。

基本的には例えば噂とか、人の恨みで生まれます。

他には幽霊とか悪霊の肉体の無い存在も、一括りに妖と総称されてます。」

「七不思議もその妖に入るのか?」

ちびちびとお茶をすすっていた彼岸部長が心来に質問をする。

「入りますけど……一学校の噂なんてたかが知れていますし、

仮に強い力を持ったとしても日本術師連合会にっぽんじゅつしれんごうかい

の術師達によってすぐに潰されるか、

新人教育とかの実戦に使われるだけですね。」

その話に彼岸部長が納得していると、久瑠秋雷が小さく手を挙げ、

心来とその隣に座るだらけ切った猫探偵に質問する。

「私は久瑠くる家当主に試練として、

あの学校に巣くっている妖の討伐を命じられたのだが、

明らかに学校に居ていい存在ではないと思うが、

何かあの妖について知っていることは無いか?」

その質問に、心来があの妖について自身の記憶の中を漁っていると、

先程までだらけ切っていた猫探偵が口を開く。

「妖喰い、あれらはそう呼ばれている。」

「知ってたんですか。」

心来が知っているなら教えて下さい、

と言う目を向けつつも猫探偵に続きを求める。

「妖喰いは、稀に生まれる妖気を際限さいげんなく

喰らい続け、強く成り続ける力を持った厄災だ。

通常妖は強さの上限があり、格下の存在を喰らうことはあれど

同格の存在や、上位の存在を喰らう事は無い。

だが、妖喰いは上位も格下も関係なしに喰らう。

もし何年か放っておけば日本は容易く半壊する。」

「稀に生まれるって、まさかあれが何体もいるんですか!?」

その言葉に小林先生が小さな恐怖と驚きを持ちつつ質問をする。

「正確には何体もいた、が正しい。数十年に一体生まれるかどうか

と言う確率だからな。」

「猫さん、そう言えば何故妖喰いの場所が分かったんですか?

まあそのおかげで助かりましたけど。」

「最近妖の出現数が減っていてな、暇つぶしにパトロールしていたら

変な気配を察知した。それだけだ。」

猫探偵が話し終えると、全員が話す事が無くなり静寂に包まれる。

その静寂に包まれていると、猫探偵が応接室にある時計に目を向ける。

現在時間は丁度ちょうど十一時となっていた。

お茶を飲み切ると猫探偵が立ち上がる。

「猫さん、どうかしましたか?」

「夜食を作ってくる。ついでに全員分作るつもりだ。」

猫探偵がそう言うと、隣の部屋に消えていった。

「あの人料理作れるんですか?」

久瑠秋雷が、先程までだらけていた猫探偵の料理について心来に質問する。

「さあ?いつもカップラーメンしか作った所は見たことがないです。」

その言葉に、猫探偵を除いた全員の不安になる。

その不安を尻目に、猫探偵が夜食を作り始める。

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