やはり破壊。破壊は全てを解決する。
光が晴れる。
出た先は、倉庫っぽい大きな建物の中。
部屋中の騎士がボクの方を向き、
一瞬見とれ、
驚き、
そして憎悪に満ちた表情へと変わる。
おもしろ。
「魔女が出たぞー!」
「とうとう来やがったな!」
「我々には魔封じが付いている!
総員!ネズミ捕り作戦を発動せよ!」
ボクは騎士達に取り囲まれる。
イケメンはいるかな?
いない。
なんと言うか、みんなムサい。
ボクはさわやかイケメンがタイプなのに。
こん。
杖でひとつ、地面をつく。
【ドミネウスの咆哮】
ボクを爆心に、
無属性の爆発が起こる。
吹き飛ぶ兵士達。
最高に厨二くさい絵面だ。
「な…なぜ魔封じの術式が効かない!?」
「君達の言う魔封じは、
厳密には魔力の属性転換を妨害しているだけであって…
まあ良い。理解した所で、君たちにはどうする事もできないわ。」
ボクは歩み出す。
残った兵士達は武器を構えつつも、もう襲ってこない。
それどころか、ゆっくり後退して出口までの道を開けてくれた。
みんな紳士だねぇ。
分厚い鉄扉を杖で殴って破壊し、ボクは外に出る。
快晴の空。
お城みたいな大きな建物。
二機のゴーレムがお出迎えだ。
“オオオオオオオオオ!!!”
“アアアアアアアアアアア!!!”
苦しそうな声。
【グヌマトゥスの槍】を胸に打ち込んでやると、
ゴーレムは動かなくなった。
もう少し我慢しててね。
これから良いものを見せてあげるから。
お城の出入り口と窓が鉄扉で閉ざされる。
サービスの悪い博物館だなぁ。
ボクはお客だぞ。
杖で叩いて鉄扉を破壊し、入館する。
中世の宮殿風の、
落ち着きのあるクラシックスタイルの内装。
入ってすぐの場所に、
館内全体を示した案内板がある。
世界中から収集された魔女の脳みそが、
出没地域や危険度別に分けられ展示されているらしい。
「お。」
ニルキキキキさんの名前を見つけた。
あとほんの少しボクが感情的な人間であれば、
すぐにその場所に駆け出してただろう。
でも幸いなことに、
ボクは理性的な美少女だ。
目的地はここじゃない。
「はは、見つけた。」
転生して間もないころ、
失敗作ポーションでおなかを壊したボクの元に、
騎士の一団がやって来た。
彼らはこんなことを言っていた。
“魔力計が振り切れています。灼炎の魔女ガリカリウスと同格か、それ以上かと。”
案の定、
灼炎の魔女ガリカリウスの名前があった。
最上階の特別展示室にいるらしい。
教養を深めるべく、
ボクは最上階に行くことにした。
歴史と言うのはやっぱり、
生き証人に聞くのが一番だ。
大理石の床はすべすべひんやりで気持ちいい。
家を壊されてからずっと裸足で過ごしてるけど、
慣れてみると案外悪くない。
よく考えたら、靴が発明される前はみんな裸足だったんだ。
むしろ、人間にとってはこの状態が自然なのかもしれない。
「…うん?」
展示物を見つけた。
ホリマリン漬けの裸の魔女。
近くには脳みそ、
魔道具、
杖。
生の脳みそとか初めて見たし、
こんな晒し物状態は、
女の子として普通に可哀想。
古代のミイラだってもうちょい配慮ある展示の仕方されるぞ。
展示品破壊欲求をぐっとこらえ、
ボクは進む。
魔女の紹介っぽい物も何個かあったけど、
勇猛果敢な騎士団がどうたらこうたらとか、
神の奇跡があーだこーだとか、
おばかすぎて読む気が失せた。
お客さんも係員もいなかった。
遠くの方から声や足音は聞こえて来たから、
きっと避難しているんだろう。
親切な順路案内のおかげで、
最上階にはすぐに辿り着いた。
何重もの柵を隔てた先のガラスケースの中に脳みそが安置されてる。
体やその他物品は見当たらない。
高濃度の魔力でお肌がピリピリする。
肌荒れが心配だ。
ラクトムラクトムさんとルイカーちゃんには、
合図があるまで待っている様よう伝えてある。
ガリカリウスで奔流を起こしたら呼びに行こう。
ボクは杖を構え、
脳みそに狙いを定める。
【グヌマトゥスの槍】
銀の光線は柵を貫通し、
みごと脳みそに命中した。
パチュっと言う鈍い音とともに、
脳は粉々に破壊された。
「………」
何も起きない。
もしかして偽
〜〜〜
博物館の頂点で、高温を伴った大爆発が起こった。
島の地面全ては橙色に焼け付く荒地と化し、
空は分厚い黒雲に覆われ、
天からは燃え盛る流星が降り注いだ。
はじまりの爆発に呼応するように、
博物館に安置されていた魔女の脳が次々に誘爆。
高温、低温、光、闇。
全ての属性が塗り変わりすり替わり、
混ざり反発し中和し、
大気の魔力濃度は即死レベルまで引き上がった。
繋がったままの転移魔法陣を通して、
奔流は世界中に広がった。
魔道具に囚われ、
力の弱まっていた魔女達も次々と誘爆した。
その日人類は、
搾取と加虐の対価を支払うこととなった。




