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文化ガチャ大爆死乙

帰ったらボクん()無くなってた。


草原だったはずの荒れ地で、

双子の魔女と男が戦ってる。


足元に布切れが落ちてる。

ボクの帽子だ。


「ねえ。」


ボクは呟く。

3人はこちらに気付く。


「お前えええええええええええええ!!!!!!!!」


男はボクを見るなり叫ぶ。


「お姉ちゃん。」


「分かってる。魔女はみんながわるものじゃないけど、あの魔女はわるもの!」


双子の魔女も戦闘態勢に入る。


向こうもボクが嫌いみたいだ。


「闇に抱かれて死ねえええええ魔女おおおおおおおお!」


「ピコたちも行くよ、お姉ちゃん!【ポジティブブースト】」

「うん!【ネガティブブロークン】」


超火力純属性を叩き付けるディメンション魔法と、

攻撃のネガティブ魔法、防御のポジティブ魔法。

どれも対人勢御用達たいじんぜいごようたしの中堅魔法だ。


この魔法ならボクも知ってる。


ディメンション魔法の特徴は、良くも悪くも素直な所。

裂け目の範囲と向きを見れば、

どこに攻撃が来るかすぐにわかる。


闇の波動をかわし、

ボクは男の至近距離まで接近する。

中距離攻撃が主体のディメンション魔法は、

接近戦に難を抱えているのだ。


(けが)らわしい来るなああああ!」


男はエアディメンションを自身とボクの間に炸裂させ、

互いをノックバックさせ距離をとる。


残念。

距離の取り方わかってる系だったか。


「【ネガティブブロークン】」


横から赤黒い魔弾。


ネガティブ弾もディメンション魔法と似たようなもの。

破壊に関連する三属性の複合だけあって当たれば即死。

でも、軌道はほぼ直進で弾速も遅い。

撃ち方にバリエーションこそあるものの、攻撃範囲の自由度で見るとディメンション魔法にも劣る。

おまけに魔力消費も激しく防御も皆無なので、


「【ポジティブチャージ】」


アシストを受け続けないとまともに継戦できない。


「【ネガティブマシンガン】」


出た初見殺し。


弾が小さく沢山あるから、

一見すると威力が弱まっているように見える。

だが実際は、魔法の攻撃力は変わっていない。ただ玉の大きさを抑えて連射しているだけ。

帯を描くようなこの弾幕への正攻法は、ガードではなくこれだ。


秘技、徒歩


弾幕ゲー界隈の言葉を借りて、

ちょんちょん避けとも言う。


「舐めやがってええええ!」


男が次元を切り裂く。

パイロディメンション、略してパイション。

ディメンション魔法の代名詞。範囲魔法最高の攻撃力を持つ。

まあ、裂け目から直線にしか炎が吹き出さないから、これも簡単にかわせるんだけどね。


弾幕に合わせてゆっくり動きながら、

横に引き裂かれたパイションはしゃがんで回避。


最低限の動きで、高威力魔法を淡々といなしていく。

ああ…これぞカタルシス…

これぞVS魔法使いの醍醐味よ!


「クソぉ!当たりやがれえええええええ!」


男は十字にパイションを開ける。

回避困難にしようとしたんだろうけど、甘い。


十字の下部を掻い潜り、男の後ろに回り込む。

炎が術者の目隠しになっちゃうのさ。


「何度来ても同じだ!」


再びエアディメンション。

…て、え?

マジで?

正気?

今ボクから後退したら…


「ぎゃあああああああああああああ!?」


ディメンション魔法は、あくまでも有害な異次元を召喚するだけの魔法。

致死性のステージギミックを設置しているだけ。

ギミックの設置者でしかなかった男は、

風の魔力で増幅した、究極の炎に焼かれてしまった。

パイション自滅は、ディメンション魔法使い初心者の死因第一位だ。

ボクも慣れないうちはよくやったなー


「が…は…は…」


男は裂け目から照す光を浴びている。

とっさにライトディメンションを開いたのか。


ディメンション魔法唯一の回復だから仕方無く使われているけど、

ライトディメンションは、回復魔法の性能としては底辺。

あの重傷から復帰するのは(しばら)く先だろう。


「お姉ちゃん!」

「分かってる!【ネガティブブロークン】!」


ネガブロは威力こそ高いけど、とにかく遅い。

当てるには工夫が要る。

撹乱役と組んだり、状態異常や地形で相手の動きを制限したり。


「なんで当たらないの!」


とりあえず、ただ(とな)えまくればいいって代物(しろもの)では無い。


「ネガティブブロ…ぐえ!?」


ネガティブ魔女の首を掴み、持ち上げる。


「お姉ちゃん!」

ぎじゃ(来ちゃ)だめ!」


案の定、ピコちゃんに戦闘能力は無いらしい。


「ねえ。ボクの家壊したの、君でしょ。」


「あなだだって壊した!【ネガティブブロークン】!」


至近距離。

流石に危険なので、お姉ちゃんを遠くに投げる。


「お姉ちゃん!大丈夫!?」

「大丈夫だよ。」


ボクも壊した、か。

一理ある。


「あなたがナノたちのお屋敷を壊さなかったら、

ナノたちの国を壊さなかったら、平和だった!」


「仮にそれが、

魔女達の苦痛の上に成り立っていたとしても?」


「そんなの知らないよ!ナノの国が勝手にやっちゃった事でしょ!」


国が勝手に、か。

これも一理あるのが悲しいね。


運命は自分の手に有りとは言うけれど、

出生や性別まで決める事はできない。

親ガチャ文化ガチャ国ガチャ。

幾つものガチャガチャの結果次第で、自分の手で運命が決められるようになるまでの難易度が変わる。


この子達はどうだろうか。


「あなたさえ来なければ、ナノ達は平和だった!

結婚するまではパパの言う事を聞いて、結婚したら旦那さんの言うことを聞いて

子供が生まれたら子供の言うことを聞いて、魔女になっちゃったら優しく地獄に送ってもらう!

そうしていれば幸せになれる筈だったのに!」


文化ガチャ大爆死乙。


人の独立を極端に恐れた、旧時代的な思想。

三従の教えみたいだ。


「パパはナノ達を置いて避難しちゃった。

それに魔女になっちゃったから、もう旦那さんも子供もできない!

ナノ達、もう普通には生きていけないよ!」


「普通?君たちはそれが普通だと思っているの?」


「だって、女の子は穢れているから魔女になっちゃうんだよ!」


闇を感じる。


深くて不快な闇を。


「だから女の子は女の子らしく、

誰にも迷惑をかけずに静かに暮らしていれば、それで良かったはずだったのに…」


ボクは杖を構える。

もうこれ以上は聞きたくない。


「それがあなたの言う平和だったのね。

ボクの独善的な考えで、あなたたちの国を亡ぼしてしまってごめんなさい。」


フレイちゃんのせいにするような、つまらないことはしない。

だって引き金はボクなのだから。


それに今、ボクは心から思っている。

そんな国は滅んで正解だと。


「許せる訳ないよ!」


「そうね。罪無き人も沢山死んでしまった。

許されるべきでは無い。

だから、」


【グヌマトゥスの槍】


「力付くで、君達と言う罰をねじ伏せる。

(あがな)いのために死ぬくらいなら、

ボクは罪を背負って生きていくよ。」


放たれた銀槍は、

ピコちゃんのシールド魔法とお腹を貫いた。


「それが、正義を振りかざす者の責務というものだから。」

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