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醜い王子と地味令嬢  作者: 朝姫 夢
本編

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無謀な挑戦①

 長くなってしまったので、本日は二話に分割して更新しますっ(>ω<;)


 最終的な結論から申し上げますと、やはり首謀者はブロムスツ伯爵家でした。

 植物を取り扱い研究するお家柄の特性上、輸出入や使用を禁止されている植物を比較的容易に、日常的に手に入れることができてしまうという状況が、今回の一番の問題点でした。

 そこから一種の催眠状態を引き起こすような成分や、体内の魔力を一時的に狂わせてしまうような成分、果てはあの夜会の日にブロムスツ伯爵令嬢が纏っていた、強い魔力を持つ存在だけを惹きつけるような成分まで、明らかに人体に影響が出る量を採取し保管していたというのですから。本当に驚きです。


「自然界において強すぎる魔力の持ち主は、逆にその植物を食い荒らしたり利用したりする可能性があるからね。そう考えると、人間のほうが何倍も愚かだよねぇ?」


 そう言いながら、とてもいい笑顔を浮かべていらっしゃったホーエスト様。

 つまりあの日、ブロムスツ伯爵令嬢の纏っていた香りはそういった類のもので。さらにはホーエスト様に対して使用するには、あまりに無意味なものだったということなのでしょう。

 とはいえ王族に対して、そのような薬を使用したこと自体が罪。その上宮中伯令嬢の誘拐を企て、果ては公爵令嬢や魔術師にまで危害を加えていたというのですから、本来であれば死罪を免れないような大罪だったのですが。


(わたくし)の名誉を守るためという名目で、事件の全てを明らかにはしませんでしたからね)


 前回は夜会どころではなくなってしまったため、仕切り直しと称して本来は開かれるはずではなかった日程での開催となったのが、本日のこの時間。

 ただ正直なところ、おそらくそれも建前上なのではないかと思っております。

 仕切り直しなのでまだ日も浅く、そのため前回と同じ装いでの参加をと呼びかけられていたにもかかわらず、なぜか当然のように用意される飲み物や軽食。


(元からそのおつもりで、前回は最小限の用意だけに留めていた、ということですね。これはきっと)


 壇上の両陛下と、その脇にお並びの成人王族である殿下方。

 参列者からの挨拶を受けているそのお姿からは、前回のような緊張感は感じられません。

 あの状況での犯人確保を提案したのは、確かに私でしたが。逆に言ってしまえば、それ以外には一切関わらせていただいてはおりませんでしたので。


(私もまだまだ勉強不足、経験不足ですね)


 そういった状況になってしまえば、参列者の皆様へのケアは当然ですが。そのために抑えるべきところを考える、などということまでは、まだまだ頭が回っておりませんでした。

 これは今後のためにも、活かすべき反省です。


(反省といえば、魔術師の彼は確か……)


 普段ではあり得ない自分自身の行動に、驚くとともに深く反省していたのだとか。

 とはいえ私の乗る馬車を襲ったことは公になってしまいましたし、犯罪の一端を担ってしまったことにも変わりはありませんから。

 最終的には生涯魔力を封じた上で国外追放を、と陛下が命じられたのだとお聞きしました。

 彼もある意味では、被害者の一人ですからね。命や自由まで奪ってしまわずに済んだと知って、安心いたしました。

 ホーエスト様は、どこかご不満のようでしたが……。


(それでも今回の件に関しては、今のところ大きな被害も出ておりませんし)


 我が家の護衛や侍女も無事でしたし、そもそも私は連れ去られたことになっておりませんから。

 きっとブロムスツ伯爵家に下される判断も、最も重いところで終身刑といったところでしょう。身分はすでに剥奪されることが決定しておりますが。


「リィス」


 などと一人考えに耽っていると、不意にかけられた声。気が付けば、目の前にはホーエスト様がいらっしゃって。

 いつの間にか参列者の挨拶の時間は終わっていたようで、他の殿下方も思い思いにお過ごしになられているようでした。



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