ランキングの基準は量(pt)ではなく密度(pt/day)です~現在のランキングについて語る上で知っておくべきこと~
ランキングは作品の面白さを基準にしたものではないというのは、皆さん知っていると思います。
ランキングにない作品にも面白いと感じる作品はたくさんあるからです。
そもそも作品の面白さというのは主観的なものであるため、一概に比較することはできません。
なろうのランキングはポイントを元にして作られています。
作品の面白さなんてものは測れないけど、どれだけの人に応援されているかはポイントという量で測れるからそれを比較してランキングにしようというわけです。
しかし現在のランキングで、このポイントの量を測ることはできません。
実際にランキングの基準となる物とポイントの量を結び付けていた前提がなくなっているからです。
このことを順を追って説明しようと思います。
ランキングはポイントの量で決まると言われることが多いですが、厳密には違います。
総合ランキングを除き、ランキングは期間内に獲得したポイントの量を基準に決まっています。
単位時間あたりのポイントの量によって決まっているというのが正しいです。
紛らわしいですが、単位時間当たりの距離なら速さ、単位体積当たりの質量なら密度となるのと同じように、単位時間当たりのポイント量はポイントの量とは異なる意味を持ちます。。
ここではポイントの量との区別を明確にするために単位時間当たりのポイントの量をポイントの密度とでも呼びたいと思います。
このポイントの密度とポイントの量の関係は
ポイントの密度=ポイントの量÷獲得に要した時間
のような式で表すことができます。
ランキングの基準となるポイント密度には、獲得に要した時間も関係してくるわけです。
例えば、1000pt獲得した作品があったとして、獲得に要した時間が1日なのか10日なのかで、ランキング上の順位は大きく変動します。1日当たりでみると、前者は1000pt/day、後者は100pt/dayとなるからです。
日間ポイントや週間ポイントのようなランキングを見ていて出てくる言葉はポイントの量ではなく密度です。
こうしたポイントの密度の中で最も重要な物は、一日当たりのポイント量である日間ポイントです。
ランキングに乗ることで増えるポイントは多く、長期のランキングに乗るには短期の物を順番に経る必要があるからです。
そのため最小単位のランキングである日間ランキングは重要で、日間ランキングの基準となる日間ポイントは全てのランキングに関連してるといってよいでしょう。
ランキングで上位になるためには、ポイントの総量を増やせばいいというのは正確ではありません。日間ポイントを増やすことが重要です。
日間ポイントは密度のため、ポイントの量を増やすのではなく、獲得に要する時間を減らすことでも増幅することができるのです。
つまり作品の長さを短くすることで、作品が獲得するポイントを短期間に集中するというのも有効な手段になります。
以前までは、こうした手法はあまり有効ではありませんでした。
ポイントの大半がブクマによるものであったため、時間を減らそうとすると、ポイントの総量も減ってしまっていたからです。
ランキングに載るぐらいポイントを得るには、ある程度の期間連載してブクマ数を稼ぐ必要があったため、時間に関する部分をいじって密度を高めることはできなかったと言えます。
こうした状況だと密度=量となるため、ランキングはポイントの量つまりは読者の応援量を表すものと見ても問題ありません。
しかし、現在はその前提は崩れています。
評価方式の変更によって評価がポイントにおいて優勢になり、作品の長さはポイントの獲得における重要なパラメーターではなくなったからです。
実際、今のランキングを見てみると、短い作品がかなり多くなっています。
作品を短くすることが有効な手段となっている以上、ランキングから読者の応援量を語るのは無意味でしょう。
同じくらい応援されてる作品でも連載期間の違いでランキングの順位は変わるからです。
しかもランキングの上位にくれば、より多くの人の目につくことになり、ポイントも伸びます。
密度の違いが最終的なポイントの量の違いにもつながるわけです。、
長くなりましたが、ランキングの基準はpt(量)ではなくpt/day(密度)であることを覚えていてください。
特にポイントの獲得に連載期間が必要でなくなった現在のなろうにおいては、この2つを明確に区別しなければなりません。
こうした認識がないと、ランキングに載れない作品は応援量が足りてないというような妄言に惑わされてしまいます。
ランキングは密度で決まるため、ランキングへの載りやすさは作品の性質によって大きく異なります。
そうした個々の性質を完全に無視して、読者の応援や熱量が足りないと決めつけるのは狭量で、根拠の乏しい暴言の類といってよいと思います。




