【漫才】アンコール
二人「はい、どうもー○○○○です」
ボケ「僕ね、子供の頃からずっと引っかかってることがあるんだけどさ」
ツッコミ「何?」
ボケ「アーティストのライブにだけ、アンコールがあるのってズルくない?」
ツッコミ「え!?」
ボケ「アイツら、初めから自分が絶対アンコールされるつもりでセトリ組んでるわけよ」
ツッコミ「いや、言い方!」
ボケ「もしアンコールなかったら、どうするよ?」
ツッコミ「まぁ、それは……ないんじゃない? ほら、お客さんもそのアーティストを目的に来てるわけだし。沢山聴ける分には文句ないんじゃない? アンコールするでしょ」
ボケ「なら、漫才やコントにもアンコールがあったっていいでしょ? 何僕らは、3分、4分でしれっと帰ってんだよ!」
ツッコミ「まぁ、それはねぇ、そういうものっていうか……」
ボケ「ってか、お客さんもお客さんですよ? 何でとめないのよ! 僕らに対する愛は、たった3分、4分ですかって話。アーティストでも2、3時間やるでしょ。これ、一曲よ?」
ツッコミ「まぁ、そうなんだけど、ほらなんていうか、種類が違うからさ」
ボケ「単独ライブなんて、自分達だけのステージなんだぞ? お客さんも僕達だけを目的に舞台を見に来てるんだから。アーティスト方式なら、アンコールないわけないでしょ!」
ツッコミ「そうかもしれないけど、いきなりアンコールでネタやれって、できないでしょ?」
ボケ「だから、用意しとくんだよ! アーティストみたいに事前にな! (ドヤ顔)」
ツッコミ「いやいやいや……」
ボケ「ありがとう、下北〜! アンコール、どうもありがとーー! みんなの顔に、もうひとボケ欲しい! つっこんで欲しいって書いてあります。アンコールにお応えして、お届けします。漫才!」
ツッコミ「そんな煽って、絶対ウケないでしょ」
ボケ「そもそもだ! いいか、これはいろんなものにアンコールがあってもイイと思うんだ!」
ツッコミ「いろんなものにアンコール?」
ボケ「そう、アンコールは突然に」
漫才コントに入り、ボケMCで煽るように。
ボケ「本日はスーパーマーケットにお越し頂きまして、誠にありがとうございます! まもなく閉店時間となりますが、鳴り止まない声援にお応えしまして、アンコール営業をお届けいたします!」
ツッコミ「イェーイ! って、おい、なんだよそれ!」
ボケ「買い忘れたものを、是非この機会にお買い求めください!」
ツッコミ「しっかり買わせようとしてるじゃねーか」
ボケ「おいレジ! いけるか?」
ボケがジタバタするレジ店員役を演じる。
ツッコミ「おい、レジ、アンコール聞いてないから閉めてるぞ!」
ボケ「それでは買ってください、スーパーマーケットで『タイムサービス』!」
ツッコミ「閉店の時間から!? おかしいって!」
ボケ「スーパーだけじゃないから! 聴こえてますか、コンビニーー!」
ツッコミ「いや、アリーナーー! のやつ!」
ボケ「今、とってもイイ気分なので、時刻がイレブンを過ぎたけど、みんな、まだまだ買えますかー?」
ボケが、キャーと、声援を送る動き。
ボケ「えーー、僕は今日、このステージで、あなたとコンビになれた気がします」
ツッコミ「なんか、聞いたことあるやつ混じってんな。このステージで一つになれたかな? じゃないんだよ!」
ボケ「まだまだやれるか? 朝までオールナイトで行くぞー! うぉーー!」
ツッコミ「いや、コンビニ24時間営業!」
ボケ「大ヒット曲が流れるバージョンもあるから!」
ツッコミ「はい?」
ボケ「本日はデパートにお越し頂きまして、誠にありがとうございます! えーー、最後の曲『蛍の光』を聴いて頂きました」
ツッコミ「あれを最後の曲って言うな!」
ボケ「(噛み締めて)みんなの、まだまだ商品見たいよっていう熱い想い、とっても伝わってきました」
ツッコミ「アーティストぶるな!」
ボケ「えー、誰も帰ろうとする気配がないので、このままアンコール行きたいと思います!」
ツッコミ「いや、客帰れよ! あれは、本日は終わりですっていう合図なんだから」
ボケ「大ヒット曲を聴いたら、そのまま帰れるわけないだろ?」
ツッコミ「ちょっと、違うと思うけど?」
ボケ「僕はファンのみんなを大切に思ってる。だから、ファンを追い出さない! むしろ『蛍の光』からが本番だぜ!」
ツッコミ「ファンって言うな! ていうか、あれ本当は『蛍の光』じゃないんだって」
ボケ「えっ!? なんだって?」
ツッコミ「『別れのワルツ』っていう曲らしいよ。二つの曲は原曲が同じで、似てるから、みんな『蛍の光』だと勘違いしてるんだって」
ボケ「えっ!? 自分達の大ヒット曲、曲名間違ってたの!?」
ツッコミ「自分達のじゃないけどね? さ、『別れのワルツ』の話もしたところで、この漫才も、そろそろお別れのお時間です」
ボケ「えー、それでは、アンコールにお応えして……」
ツッコミ「いや、アンコールはないから!」
二人「どうも、ありがとうございました」