06 初日、夕方前
そして、幌馬車道中、再開。
私の定位置は、いつもの御者席。
今回の旅、カミスの定位置は、なぜか御者席の隣のようです。
「実は、御者が出来るようになりたいなと思いまして」
もしかして、旅の予定でも。
「予定とかは無いのですが、いつかはうちのみんなと長旅がしたいな、と」
アリシエラさんに、幌馬車、お願いしましょうか。
「良いのかな、僕なんかが頼んじゃっても」
アランさんやロイさんの幌馬車スマキなら、シブマと違って危なくないから大丈夫、ですよ。
「アリシエラさんへのお礼の分が貯金出来たら、お願いしてみますね」
ツァイシャ女王様からノラ召喚のお詫び、いただいてましたよね。
「あのお金は、家族みんなのために貯めておこうかと思って」
真面目なんですね。
「えーと、結構意志が弱いので、こっちの世界の珍しい物とか、すぐ欲しくなっちゃうんですよ。 だからなるたけ衝動買いしないように我慢してます」
確かに、面白そうな魔導具とか、つい欲しくなっちゃいますよね。
「モノカの部屋って、あんまりそういうのは無かったみたいだけど」
実は、地下倉庫にあれこれと。
「女の子だし、秘密もありますよね」
ありがと、です。
『むぅ、なかなか進展しないのです。 シジミはこれ以上のストーカーちっくムーブは嫌、なの』
「そうですね、いろいろ計画しておりましたが、あのふたりの自然体の仲良しっぷりを見ていたら、余計なお世話は無用みたいです」
「じゃ、これ以降は、ふたりの自然な進展に任せるってことで決まり、かな」
「夫を信頼することも妻の務め、なのですね」
「まあ、カミスならアレな急展開で困らされる事もあるまい」
「私は、モノカお姉さまのアレな急展開がぜひ見てみたい、です」
「皆さんのお話しを聞いていて、なぜだかとても悲しくなっちゃったのは私だけですかね」
一同、無言。
「お姉さんたちが静かになっちゃったよ、マクラお姉さん」
「大人のお姉さんたちもがんばってるんだから、私たちもがんばろっ、ハルシャちゃんっ」
「うんっ。まずは晩ごはんのお献立、だねっ」
「モノカお母さんもカミスお兄さんもお姉さんたちみんなも、すっごく元気になっちゃうお料理、いっぱい作っちゃおっ」
「それじゃ、このあいだスズナお姉さんから教わったお外で食べると元気になっちゃうアレ、作っちゃおっかなっ」
「私にも教えてっ」