05 初日、お昼すぎ
お昼は、まったり軽食尽くし。
美味しく楽しく、いただきました。
ノルシェは……大丈夫そうですね。
片付けも終わって、リラックスお茶タイム。
「クリスさんは、槍一筋なのですか」
クリスさんがにやりと微笑みましたよ。
「剣も弓もひと通り習得しましたが、一番楽しかった槍を修練しているうちに、いつのまにか『槍乙女』などと呼ばれるようになってしまいました」
命を預ける相棒なのだから、相性って大切だよね。
「モノカお姉さまは、槍一筋、でしたよね」
道場の師匠が、槍と結婚したような人でしたので。
「とても素敵だと思います」
誰よりも槍を愛して誰よりも痴漢を憎む、ちょっと変わっていたけど、良い師匠だったよ。
「モノカお姉さまに受け継がれたその気高き精神が、こちらの世界で華開いたのですね」
私は、槍と結婚するかどうかは分からないよ。
「もちろんですともっ。 モノカお姉さまのような素敵な女性には、まずは幸せなご結婚が必須。 言い寄る有象無象の成敗は、このクリスにお任せをっ」
ありがとうだけど、カミスを見初めたのはクリスが先なんだから、遠慮しないで幸せになってね。
「感激で胸がいっぱいですっ。 このような胸ではありますが」
えーと、お互い頑張ろうね。
「はいっ、お姉さまっ」
そのお姉さまって、出来れば、ね。
こっちが後輩婚約者なんだから、むしろクリスの方がお姉さんだよね。
「私はモノカお姉さまと家族になれるのであれば、妹でも姉でも娘でも構いませんっ」
じゃあ、槍が大好きな武芸者ふたり、親友って事で、呼び捨てでどうかな。
「…… モ ノ カ ……」
クリスが、真っ赤っかになっちゃったよ。
「モノカママが一緒に住んじゃうお姉さんを増やさないように見ててねって、クロ先生が言ってたんだよっ」
「クリスお姉さんなら一緒に住みたいな。 肩ぐるまが一番高いし、私とハルシャちゃんをふたり一緒に肩ぐるましたりもできちゃうもんね」
「でもササエお姉さんは、新しい素敵なお姉さんたちをいっぱい連れてきてねって、言ってたよねっ」
「モノカお母さんはカミスお兄さんに夢中だから、新しいお姉さんは連れてこないと思うな」
「やっぱり、みんなで一緒にくらしたいな」
「ツァイシャ女王様はカミスお兄さんのことが大好きだから、お城の近くにいてほしいのかも」
「そっか、カミスパパ、もてもてで大変なんだねっ」
「モノカお母さんも、もてもてで大変なんだねっ」
「「……」」