20 五日目、お昼前
帰り道は、何事も問題無しの楽しい道中。
みんな元気に王都に到着、です。
カミス邸の前にシブマを停めて、一同下車。
「先にツァイシャ女王様へご挨拶しに行きましょうか」
みんなではさすがに多いので、
私とカミス、マクラとハルシャちゃん、エルミナさんとクリスの、六人で。
「みんなはどうするのかな」
カミス邸のお掃除とお買い物など、だそうです。
では、ツァイシャ女王様の元へ。
「お久しぶり、ですね」
なんだか、女王様がそわそわしておられますね。
えーと、旅のお話しもそこそこに、私とカミスだけ退室することに。
残った四人は、今日はお城にお泊まり、だそうです。
「女王様は皆さんの旅のお話しをゆったりとお聞きになりたくて、明日のお昼までの政務を全て済ませてしまわれたそうですよ」
ルルナさん情報です。
そうですよね、女王様ともなれば気軽にご旅行も出来ないでしょうし、私たちの旅話で良かったら存分にお楽しみください。
おみやげのプリンセスまんじゅう、結構美味しいんですよ。
『どうでした』
ルルナさんが耳打ちしてきました。
にっこり笑顔が、お返事ですよ。
「ライクァさんにも、ご挨拶しようかな」
カミスがルルナさんに居場所を聞きましたが、今日は登城していらっしゃらないとのこと。
後ほどたっぷりと、お話しいたしましょうか。
お城を出て、カミス邸へ。
お掃除はすでに終了、
お買い物班はすでに出発、
お留守番は、シスカさんとネルコです。
「……」
なぜか、シスカさんのお顔が真っ赤っかですね。
何をやらかしたのかな、ネルコ。
あちゃぁ、どうやらネルコの『収納』に秘蔵していたお宝のアレな本をシスカさんに見せちゃったようだよ。
「アレってなんですか?」
いかん、カミスがあんなのを見ちゃったら、チームふたつが解散の危機に!
「乙女の、秘密ですっ」
あー、カミスまで真っ赤っかだよ。
ネルコめ、後でおしおきだ。
「なんとっ、カミスさんが大変なことにっ」
なんでこのタイミングで帰ってくるのかなっ、ノルシェ。
「婚約したとはいえ、乙女としての節度は守って欲しいなっ、モノカッ」
がっつり守ってますって、アイネッ。
「監視魔導具オフは失敗だったかも、なの」
おや、監視魔導具ってなにかな、シジミさん。
何やら怪しげな企みを感知しちゃったこのモノカ、
まずは『ゼファー』の準備をと『収納』に手を伸ばした瞬間、
「うひゃんっ」
「まずはお昼を食べて、落ち着きましょうか」
シスカさんからハグられちゃったよっ。
いかーん、相変わらずの素敵お姉さんハグ、
あんなに鍛えているのに、なにゆえこれほど柔らかさを失わぬのか。
おのれ異世界の神め、不公平にもほどがあるってもんじゃね。
あまりの気持ち良さに、意識が……
「シスカさんがアレしてくれている間に、お料理しちゃいましょっ」
泣く子とアレには、勝てぬ、のです……




